チューブを知るということは、
異次元的な視界を愛することでもある。
リップという波先が、陸に向かって最速で放たれた。
その波先からはじき出されてきた飛沫を眉間で受けた。
つまり最速の中の最速の波の異端児を自身に得たのだ。
そのときの啓示や、邂逅のことを書きたいのだけど、
じつは感じたことは少なく、残像のみが記憶に残っていた。
ただ、そっとなぞるようにその飛沫の記憶を探ると、
それは燃えるような陽の色を明滅させた円い粒だった。
選ばれたこの美しい波を撮ろうとしたとき、
俺に向かって飛んできた粒に太陽のエネルギーが入り込んでいたのだろう。
太陽が教えてくれることは多い。
波は、生命力に満ちあふれたもの。
全てが天からのメッセージなのかもしれない。
さらに波に魅せられた俺がここにいる。
波を滑るだけでなく、波写真を撮る至福。
波乗りではなく、波撮りか。
孤独な男の遊びでもある。
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