波に乗ったことがある人は、
夏休みの自由研究の題材をサーフィンにしよう。
サーフィンには、歴史がたっぷりと詰(つ)まっているよ。
私が責任(せきにん)をもって調べてみました。
□
【人が波に乗ることの始まり】
西暦(せいれき)1778年(安永7年)、ハワイ。
島の人たちが木製の板で波に乗っているのが、
航海記録(こうかいきろく)に残っているんだよ。
[この航海記録は、ジェームス・クック=キャプテン・クックという人の
世界周航(せかいしゅうこう)の航海日誌(こうかいにっし)。
クックはイギリスの海軍士官(かいぐんしきかん)で、
海洋探検家(かいようたんけんか)、有名な世界地図を作った人だよ]
それはどうやら木でできた腹ばいで波の上をすべるパイポボードだったみたい。
今から235年以上も前に人は波に乗っていたんだね。
そして波の上に立ち上がるためにOLO(オロ)
という大きなサーフボードが作られたのが1800年代になってから。
これは6~7mの長さがあり、
その板の重さは50〜90kgもあったんだよ。
そのくらい大きくないと、
木の板の上で人が波に乗ることができなかったんだね。
□
【近代(きんだい)サーフィンの始まり】
その後、1900年代になると、
ハワイのデューク・カハナモクが登場します。
彼は近代サーフィンのルーツとなった人で、
サーフィンの歴史には最も重要(じゅうよう)な人なのです。
デュークは泳ぐために生まれてきたような人で、
オリンピックで金メダルを三度も取ったのですよ。
【1830年】
デュークは、ハワイで1番人が集まるワイキキビーチで、
多くの人にサーフィンを教えながら、
人命救助(じんめいきゅうじょ)や、
海岸(かいがん)の治安を守りました。
その後デュークのしたことが、
「ライフガード」という海(水)難事故(かい、すいなんじこ)
を守る職業(しょくぎょう)として確立(かくりつ)されたんだよ。
【サーフィンの普及(ふきゅう)】
デュークはハワイだけではなく、オーストラリア、アメリカに渡り、
多くの人に「安全に人が楽しく波に乗ること」ということを伝えました。
そこからサーフィンが人気となり、
2013年の今、
みんなが波に乗っていることは、
デューク・カハナモクが伝えたことが、
しっかりと残っているからなんだよ。
【日本のサーフィンの始まり】
日本のサーフィンの歴史を見てみますと、
上に書いたようにデュークが1912年(大正元年)にアメリカ、
カリフォルニアのコロナ・デルマーと、
サンタモニカ海岸(かいがん)でサーフィンを伝えると、
サーフィンブームとなりました。
そして1950年代になって、
当時の軍人(ぐんじん)が、
日本の在日米軍基地(ざいにちべいぐんきち)に
滞在(たいざい)しているときに、
湘南(しょうなん)や千葉(ちば)で波に乗って、
それを見た人(加山雄三さん、川井幹雄さん、他)が、
軍人からサーフボードを借りたり、
見よう見まねでボードを自作したのが、
日本では最初(さいしょ)の近代サーフィンとされています。
デュークが各地で伝えたサーフィンの種は、
大きな樹木(じゅもく)となり、
このように世界中に実を付けたんだね。
【サーフィンのいま】
今日(こんにち)、サーフィンは全盛(ぜんせい)時代です。
アメリカ、
カリフォルニア州ハンティントンビーチで催(もよお)される
『USオープン・サーフィン』は、
賞金総額(しょうきんそうがく)が$300,000ドル。
これは日本円にすると約3千700万円!
このコンテストを開催(かいさい)するハンティントン市によると、
「サーフィンのUSオープンは、
わが市におよそ16億(おく)円も
の経済効果(けいざいこうか)をもたらせます」
と公表(こうひょう)するほどの一大イベントなんだよ。
でもサーフィンで最も大切なことは、
競技(きょうぎ)でも賞金ではなく、
デュークが教えてくれた
「安全に人が楽しく波に乗ること」
ということです。
海を良く知り、無理せずに、
体を健康(けんこう)に、みんな仲良く、
海を保護(ほご)して、
自分の前にやってきた大切な1本を乗ろう!
【サーフィンの効果(こうか)】
サーフィンは自然からの教え、
新鮮な酸素(しんせんなさんそ)をたくさん摂(と)るので、
前向きな発想(はっそう)がめばえます。
自分への挑戦(ちょうせん)があり、
鍛錬(たんれん)、集中力、満足があり、
海を知り、季節(きせつ)を感じ、
視野(しや)をひろげるすばらしいものです。
波は、人の指紋(しもん)と同じで、
ひとつとして同じ形のものはやってこないのです。
不思議(ふしぎ)だね。
歴史を知って、
さらに波に乗ることを好きになってください。
この自由研究サーフィン編(へん)を勉強していて、
わからないことがあれば、
お父さんかお母さんにお願いして、
ショップメールにメールしてもらってください。
題名(だいめい)を『自由研究』として送ってね。
急いで返信(へんしん)します。
■