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【サーフボードの材質シリーズ】_ケアハナ・オリジナル、そしてケアハナ製サーフボードをご注文される前にお読みください_(4767文字)

業界が注目している新素材ケアハナ社の、

オリジナルグレードのサーフボードが先々週に届きました。

新しい素材なので、

「オリジナル」というグレードを手に入れたのははじめてです。

(それまではサンディングフィニッシュでした)

これら全てはCOLEが1本1本シェイプしたボード。

Keahana素材を使うと、

強く、弾力があり、比重までが完璧な軽量ボードになるのです。

https://www.nakisurf.com/faq/board/keahana.html

ブラジルで自社開発した素材のみを使ったケアハナは、

ポリエスターやエポキシ樹脂など、

通常のサーフボードとは違う特徴、特性を持っています。

(各ケアハナボードには、シリアル#付きのラミネートが封入されています)

.

ここではケアハナボードをご検討中のお客さまに対して、

実際にお手元に届いた際により満足していただけるよう、

お気をつけていただきたい点についてご案内いたします。

ご存じサーフボードは発泡フォーム、

ガラス繊維、不飽和ポリエステル樹脂、

またはエポキシ樹脂(プレポリマー)から作られている製品です。

ケアハナ社は独自のケアハナフォーム、

そして新素材ケアハナ樹脂とケアハナ繊維を組み合わせて

『ケアハナ・オリジナル』を仕上げています。

(クロス目がカーボンファイバーのように見えますね。

これが高強度を誇る理由のひとつでもあります。

.

先ほども書きましたが、

これらケアハナ個体は非常に強度が高く、

そして弾力もあるすばらしい素材です。

また、とても高い透明度を誇る樹脂、

繊維が厚く、目が粗い外見の高耐久性クロスは、

繊維内に空気(エアバブル、ピンホール)を含みやすく、

そしてそれが視認できやすい材質となっております。

エアバブルはご存じ良性と悪性がありまして、

悪性の場合はフォーム上のコートからクロス(繊維)、

さらには表層を覆うレジンコートまで貫通しているもので、

とても珍しく、かなり気合いの入った不良なので、

発見次第、工場で修理しております。

(不良なので修理よりは更生でしょうか)

良性はガラスクロス内に封入されているもの、

またはトップコート外側の気泡です。

※ピンホール、エアバブルと呼ばれる気泡について:

サーフボードの中側に1mmほど空気が入り、

へこんでいることがあります。

これはクロス繊維内からの空気が樹脂に浮き出て、

そこに穴が開いて、

サンディング後にへこんでしまった「ピンホール」という現象です。

使用上はなんの問題もありませんのでご安心ください。

こうした細かい気泡。

(気泡がこのように内封されています)

.

どうしても気になる方は、

ポリエスター製を選択いただいて、

グロスフィニッシュという工程で塞ぐことができます。

(この難点は重く、価格も高くなることです)

現代の基調仕上げであるサンディングフィニッシュは、

上記したように貫通していない気泡は何も問題ないので、

そのまま出荷しております。

この気泡の発生を防ぐためには、クロスから空気を取り去って、

サーフボード工場内を真空気密状態にしてグラッシングするしかありません。

外側の気泡は、

完成後に「サンディンググロス」

という薄い膜状の樹脂を一層コートすることによって、

ほとんどを塞ぐことができます。

日本製ではこれが一般的ですが、

USA製は需要が全くないので、

こちらは特殊な工程とされて今に至っています。

NAKISURFは厳選したブランドとの密接な関係を築き、

優秀なUSA製品を正規輸入するオンラインストアであり、

またサーフ業界の「広き門」、「ニコリンサーフ」

という革新を担っているところもあるので、

同業者さんから好意的に見られていない面があります。

よくお客さまから

「これはエアバブル、ピンホールではないでしょうか?」

または、

「知り合いのショップの人にオーバーサンディングと言われました」

という苦情をいただく場合のほとんどは、

「オンラインストアでUSA製品を購入されたことを疎ましく思っての発言」

されたことがほとんどのようです。

NAKISURFでは、工場出荷時、サンクレメンテオフィスで受領した際、

USA発送前にベテランの検品担当がしっかりと検品し、

さらには千葉到着後に千葉スタッフが最終的に確認し、

のべ4回もの検品をしているので、

悪性個体製品がこの検品網をすりぬける率はとても低いです。

よって、お客さまからの苦情のほとんどが、

この「日米の基準の違い」ということであるようです。

アメリカの考え方では、

サーフボードは工芸品ではなくて、

サーフィンするための道具なので消耗品と考えられます。

そんな違いもあって、

サーフボードを扱う同業者の方からは、

かんじんなサーフボードの性能はさておかれて、

見た目の部分で難癖を付けられたり、

ユーザーを洗脳させようとすることも多いのです。

実はケアハナ社製サーフボードが2年前に登場してから、

NAKISURF内ではこの工場から出荷されてくるボードが頭痛の種でした。

理由は上記したように、

a.気泡が封入されている。(良性)

b.細かな気泡が封入されている。(良性)

c.ロゴ(ディカール、ラミネート)に陰影、気泡がある。

d.フィン周りの仕上げが汚い

e.グロスフィニッシュなのに表面にサンディング跡がある。

というものでした。

全てご使用には何も問題ないのですが、

少しでもこの外見を減らせたらと思いまして、

私はサンディエゴ、オーシャンサイド市にある

『ケアハナUSA社』を訪問し、その解決策を探りました。

工場内をつぶさに見学し、

工程をひとつひとつ見て歩きました。

すると、そこには問題点に対してかなり明快な回答がありました。

さらにわからないことは全て代表のラウルに聞きました。

まず気づいたのが、

硬化したケアハナ樹脂の透明なこと。

樹脂なのに水族館のガラスのような透明度です。

ブランクス=発泡フォームの目が粗いことが大きな驚きでした。

工程を確認していくと、

1.

COLEがシェイプしたブランクスに第一ケアハナ樹脂(シーラーレジン)

のコートをし、ブランクスを硬化耐水シールさせていました。

これは通常のサーフボード工程には存在しないもので、

ラウルによると、これをケアハナの第一層と呼んでいました。

2,

ボトム側からケアハナクロスをKグラスレジンでラップ(巻く)し、

オーブンと呼ばれる高熱窯で24時間加熱されます。

このケアハナクロス繊維を手に取ったときに気づいたのが、

やたらと目が粗く、そして分厚いのにやたらと軽いこと。

これによって、強度増で軽量にできるという特徴がありました。

3.デッキ側も「2」と同様に。

4.ラフサンディング

5.ケアハナオリジナルのホットコートレジンで、その外側を包みます。

6.フィンプラグ、リーシュカップを設置し、

7.サンディング

8.最後にケアハナグロス(gloss)レジン で全体をシールします。

9.軽くポリッシュサンディング(バフではない)

これで4層にも渡る弾力に富んだ耐久性の強いケアハナボードが完成します。

こんなに手がかかっていたのですね。

通常のサンディング仕上げのサーフボードよりも四工程も多く、

そして両面を24時間加熱するので、

その作業時間は4?5倍となります。

だからこそ逸品となるのですね。

で、問題点の全てをラウルに説明してもらうと、

まずはケアハナ繊維の目が粗く、

厚いため気泡を含みやすい。

内側のフォーム(ブランクス)がレジンでコートされているので、

空気の逃げ場がなくなるので、一度封入してしまうと、

そこに残ることとなる。

さらにケアハナ樹脂が透明なために可視性に優れているので、

余計に目立ってしまう。

これを解決するには上記したように

真空状態でグラッシングをしなくてはならず、

それはサーフボードの価格的に現実的ではないということです。

これで問題点のa~cまでの説明がついてしまったのですが、

そしてdもクロスが厚いので、

フィンカップ周りにはギャップ(段)ができやすいのです。

これを工芸品の用に細かなサンディングで削りだしていくこともできますが、

5フィンプラグ仕様でフィンカップが10ヶあるので、

作業量は多く、製品をさらに高価格にさせるわけにはいかない、

という認識だそうです。

最後にe問題も樹脂の透明度に起因していまして、

どんなに細かくポリッシュしても、

内部についたサンディング跡が視認できてしまう。

これを解決しようとすると、

価格が倍近くになるそうで、それならと、

試行錯誤した上、「グロスフィニッシュ」とは呼ばずに

「ケアハナ・オリジナル」とネーミングして、

一般的のグロスフィニッシュと違う仕上げとして理解していただいている。

ということです。

一般的なグロスフィニッシュというのは、

「ピカピカの美術品フィニッシュ」のことです。

ケアハナの場合は使用目的が、

ハイパフォーマンスサーフボードなので、

性能には関係のないこれらの細かいキズをたっぷりと追いかけて、

価格に反映させるより、そのままで、ということとなりました。

なので、美術品並の品質を求められている方、

「サーフボードはこうでなくてはならない」

と思われている神経質の方は、

ご注文の前にこのことをご確認ください。

「どうしてもケアハナ製で」

という方は、裏技としてSクロスをご指定いただければ、

気泡等が少なく完成してきます。

さらには安価です。

ただし、Sクロスはケアハナクロスを使用しておりませんので、

通常のボードのSクロスよりは強度はありますが、

オリジナルほどの強度、弾力はございませんので、

こちらはあらかじめご了承ください。

簡単に言いますと、

レーシングカーと同じで、

性能はピカイチですが、ピカピカボディではありません。

サーフボード製造は、

シェイプの完全反映を目指しているので、

ケアハナ社は、

COLEからシェイプを完全反映できている工場だと太鼓判を捺されています。

温度変化にも強く、

もし壊れても水を吸いづらいという特徴もあります。

修理の際はケアハナ樹脂が最適ですが、

ポリエスター、またはエポキシ樹脂、

紫外線硬化樹脂でも美しく仕上げることが可能です。

旅先や普段使いにはありがたいですね。

これは昨日のことですが、

先日の大きな南うねりで、

フォードアーズのショアブレイクに玉石が露出してしまいました。

ケアハナオリジナルの弾力と剛性に大満足した満潮セッションでした。

調子に乗っていたのか、

上陸の際にその玉石と自分の体重全てをボードのボトムに乗せてしまいました。

バキバギと嫌な音がして、

「ああ、早速壊してしまった」

と悔やんだのですが、上がって確認してみると、

その箇所には「スパイダー」と呼ばれる蜘蛛の巣状の亀裂が入っているだけで、

修理は全く必要のない状態だったので、驚きつつ喜びました。

ケアハナクロス、ものすごく強いです!

中央がスパイダーで、右は擦り傷。

玉石にボトムを乗り上げてこれだけですから、

めちゃくちゃ強いことがわかります。

この超が付くほどの新素材、

ケアハナ・サーフボードのご注意点を上記いたしました。

他にご質問等がございましたら、

NAKISURFショップメールまでいただけたらと思います。

NAKISURFの営業時間外、

および休業日にいただいたメールに関しましては、

お返事をさしあげるのが翌営業日以後になる場合がございます。

あらかじめご了承くださいませ。

左がケアハナCURVEBALL

右がポリエスター製です。

私はツインスタビ一辺倒なので、

トライフィンプラグとしました。

CURVEBALLは速いというデザインだが、

その速度はケアハナ製になってさらに増した。

.

高弾性なので、

このように力のある泡の前でも前に進もうとする特性があります。

それではすばらしい日になりますように!


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