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naki's blog

Night Surfing with Christian Fletcher_アクションカメラの写真術_(2344文字)

これは今日の話ではないのだが、

きちんと書こうと思っていたので、ここにポストします。

私はNALU誌の取材を兼ね、

フィッシュゴッドことジャスティン・アダムスと夕陽サーフィングをして上がってくると、

遠くから「naki! naki!」と声が聞こえた。

その声の主はクリスチャン・フレッチャーで、

彼とはお昼頃にNALU用のインタビューと撮影を終えたところだった。

こうして取材相手がバッティングすることを業界用語で何と言うのかはわからないが、

フィッシュゴッドがクリスチャン・フレッチャーと出会った瞬間であった。

201505_ChristianF_Jastin_Adams_7136

クリスチャンはサンクレメンテ出身で、

ジャスティンはダナポイントだからどこかで会っていても良さそうだけど、

クリスチャンはジャスティンのことはもちろん、フィッシュゴッドも知らないのだそうで、

「へえ、フィッシュゴッドね」

そう言いながら懐疑的な顔、つまり唇を少し曲げて笑い、

さらによそ見をしながらフィッシュゴッドと握手していた。

魔王VS神という図式になるのだろうか。

201505_Christian_Fletcher_7140

ジャスティンはクリスチャンに会えて感動しきりな様子で、

ーー知らない人にはそう見えないだろうがーー

ボディアクションが少ない彼にしては十分なほど胸を伸ばしていた。

「あうー、クリスチャン・フレッチャーに会えて光栄だ」

「良かったね」

「うー、どうしてお前は(クリスチャンのことを)知っているんだい?」

そんな聞き方をしてきた。

「子どもの頃から知っているよ」

「うー、お前そんな歳か」

「そうだよ。今年50さ」

「いーう、やはり魚と野菜と米なのか」

話はジャスティンにしては珍しい話題ーー健康志向に及んだとき、

「hey naki撮るのか?」

クリスチャンが口をはさんだ。

ちょうどバックパックにGoProが入っていたので、

「撮れるけど、天気が悪いからもうすぐ真っ暗になるぞ」

「ヘヘ、波乗りは夜するものだぜ。誰もいないしな」

「それ、聞いたことがある。クリスチャンが夜サーフィングしているって、噂になっているからね」

「夜、いいぞ」

「俺は夜は好きでないな。まずは波が見えない」

「そりゃそうだ。夜だからな」

「見えないの?」

「そりゃ昼間みたいに見えないさ。当たり前のことを聞くなよ」

「じゃあサメは?」

「なんでサメの話になるんだ?」

「いや、夜はサメが補食するために岸に寄ってくるでしょ」

「ふーん。どうせ見えないから関係ないぜ」

「そうなんだ」

「パイプラインでもバリ(デザート岬のこと)でもかなり(夜に)やっているけど、

この通りぴんぴんしてらい。サメが(夜)来るなんて迷信だな」

「ふーん(私は釣り師だったので、サメが夜というか日没後と夜明け前に活発なのは知っている)」

「撮るのか撮らないのか?」

「撮るさ。もちろん」

「それがいい」

「ヘイ、フィッシュゴッド、明日また連絡するね」

「う、うー、またな」

そういうことになって、私はクリスチャンを、夜のサーフィングを撮ることになった。

DCIM100GOPROG0151558.

GoProなのでフラッシュはおろか、

夜撮ることができるさまざまな機能は限定されている。

まあ、魔界というか暗黒というイメージのクリスチャン。

妖逸なのが撮りたいから、闇の中に浮かび上がる彼はどうだろうか。

闇の中で、この雲があって、

クラシックな横からのアングルで、波の上の遙か高くを飛ぶクリスチャン。

そんなイメージができあがった。

けれど波乗りはモデル撮影のように、

「ここに立って、この格好で〜」とはできない。

特にGoPro(超広角)なので自分の前に来たものしか撮れない。

いつものようにあまり多くを期待しないでゲッティングアウトした。

DCIM100GOPROGOPR1129.

ISO感度を上げると、夜でも写真を明るくすることができる。

しかし像は荒れてしまう。

DCIM100GOPROG0041231.

しかもGoProの撮影ファイルはささやかなものであるから、

ダイナミックレンジというものを考えると極めて狭い範囲の画質作品になるだろう。

さらに言うと、あまり遅いシャッタースピードは使いたくない。

ブレブレになってしまい、被写体なのか、模様なのかがわからなくなってくる。

とすると露出補正はー2.0と最暗として、連写モードというセッティングとした。

少しして確認すると、もうすっかりと暗くて、液晶設定は見えなくなっていた。

とにかく撮り続ける。

こんなのが撮れていた。

街灯というか家の光がここまで明るくてありがたい。

けど、この時はそんなこともわからなかった。

(GoProにはプレイバックモニターがない)

クリスチャンの友だちビリーもセッションに参加して、

このバレルショットを得た。

想像力が湧き、なかなか好きな作品となった。

感無量。

夜、海で泳いでみての感想は、

「感覚が研ぎ澄まされる」

「よりシャープな記憶になる」

そんなことだろうか。

特にセット波が目の前で崩れて、

波の下深くに潜っていくと、

日中でも暗い波の底は漆黒の闇のようになる。

何も見えない。(日中でも目は閉じています)

その底魚がいるような位置で、

「ズドン」とインパクト音が聞こえ、その音の大きさによって、

すぐに海面に上がるのか、もう少し底で待つのかを判断していた。

そんな全ての波をいまだに鮮明に思い返せる。

精確すぎるほど精確なクリスチャンが好きな世界なのがよくわかった。

で、ファイル閲覧を進めていくと、こんな作品が映っていた。

まさに狙った、思い通りの作品が撮れていた。

クリスチャンに送ると、

かなり気に入ったようで早速RVCAに電送されてインスタグラムで公開されていた。

こうしてストーリーとなる写真もある。

今回学んだのは「未知なものを撮る」ということ。

さてさて、来たる6月27日の湘南T-SITEさんで私のフォトイベント

「海辺で使えるアクションカメラの写真術」を開催します。

ぜひともご来場ください。

 


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