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naki's blog

【企画編】さまざまなボードに乗ることについて_シングルフィンの世界_[中編]_(1768文字)

【企画編】さまざまなボードに乗ることについて[前編]_(2260文字)

今日は昨日の続き、

中編です。

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1973 (approx.) The Original Bonzer

以下のボードは去年、

全て2015年に乗ったものだが、

こうしてみると、

かなりの頻度でシングルフィンに乗っていたことに気付いた。

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千葉北ノースタイガー(北東浪見)

Tyler Warren’s 6’4″ Tracker (single fin)

その昔、シングルフィンのことは、

“むずかしい”サーフボードだと信じていた。

なので、コンテスト時代には、

6’4″のシングルフィンがあり、

パワーリスト(©リングにかけろ)

大リーグボール養成ギプス(©巨人の星)

カリン塔(©ドラゴンボール)

のようなものとして使っていた。

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Nation Hot Doggin’ Loggin’

けれど、

わかったのは、シングルフィンは、

トライよりもクアッド、

そしてツインフィンよりも”簡単”ということ。

さらにシングルフィンのときは、

ほとんどワイプアウトはしないということを確信した。

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Nation The Pink Champagne on Ice 6’11″ish

このことが何を意味しているのかというと、

「シングルフィンの世界がある」からだろう。

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1970’s single fin at Surfer Magazine

シングルフィンは、

テイクオフする瞬間にその独自のラインが出現する。

逆に言うと、そのラインを見たいから、

知りたいからシングルフィンに乗っているのかもしれない。

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Nation The Pink Champagne on Ice 5’11”

そのラインに乗っていれば、

ワイプアウトどころか、

夢で見たような波乗りができる。

クアッドやトライ、

またはツインだとこうはならないのは、

ボードの性能があまりにも良いあまり、

「欲」が出現し、

その欲がターンの強さ、

すなわち傾きすぎるボード角度に発展するからだろう。

傾きすぎるボード角度は「ワイプアウト」を意味している。

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1970’s Single fin.

それがシングルフィンだと、

自身が落ち着けて、

自分の丈に合ったターンをしたくなるから平穏となる。

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Tyler Warren’s Functional Hull 6’10”

「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず」

これは日本の三大随筆とされる鴨長明の『方丈記』の冒頭だが、

これは何を言っているのかというと、

『無常観』に他ならない。

波乗りは、

波瀾万丈というか、

常に先の見えないドラマ。

さらには波の有り無し、波の形、

質、風、地形、うねりの角度等等。

それらすべての複合で成り立っているのが波。

それに乗るサーファーたちは、

いつも無常観を心に抱いているだろう、

そう断定してみると、

その真理が自分に入ってくる。

その気持ちを持って、

「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず」

を再び読んでみる。

「常に形を変えるのが波、しかも、もとの水にあらず」

こうなってくるのだろうか。

こうして無常観を自分の身近なものに例えてみると、

心の平静がやってくる気がしてならない。

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「穏やかに生きていたい」

最近は特にそう考えている。

波が大きかったりすると、

穏やかではいられない気がするが、

大きくなればなるほど、

私の心は研ぎ澄まされるようで、

そしてとても穏やかになる。

で、道具話に戻ると、

そのひとつの答えがシングルフィンのピュアラインだと、

この項を書いていて突然理解できたのです。

波乗りとは、遊びであり、スポーツであり、

生き方やレジャーだが、

宗教のような不思議な要素や含みを持っているのは、

波が、つまり海が、

とてつもなく(精神的に)大きなものを私たちに教示してくれているからだろう。

改めて、波乗りを深く愛することに感謝する2016年の始まり。

(明日の後編に続きます)

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ご存じの方も多いでしょうが、

私はこの巻頭に連載コラムを持っています。

さらには、今年から文体を変えたので、

ぜひともご覧になってください。

BLUE. 57号 (2016年2月号)_『GO JAPAN!』〜僕らは日本人として〜入荷しました!


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