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【ウナクネ特別編】ワールドクラスの波に乗るために(その壱)_Blue誌より_(1854文字)

ワールドクラスの波に乗るために(その壱)

 

11月の終わりからコスタリカにいた。

波のオフシーズンということで、

仕事の合間にフィンレスかロングと予定していたのだが、

どうやら波の様子が想像と違う。

それは良い波が続き、

これはラニーニャの影響だとか、

20年ぶりだと聞こえてきた。

到着日はオーバーヘッド。

「終日オフショア、無人のパーフェクト」が続いた。

数日後に目を覚ますと、突然ゴーインオフしていた。

波質はバックドアのようにも見えるし、

自分が大好きなあの逗子の岬波にも見えた。

ピークはせり上がり、エグレながらウエッジし、

15m幅のファーストセクションを形成する。

分厚いリップ(波先)は、

速く、強くボトムまで飛んで炸裂し、

硬い波を伝える象徴的な破裂音を轟かせる。

バレルの最後はリーフが深くなるようで、

ピンチアウトして果てる。

完璧な地形だが、浅く、

干潮時はドライ(露出)なドッグロックや

岩群をたずさえてのインサイドセクション。

しかもここから先は一瞬で壁がバレル化していく。

恐ろしいほど掘れ上がる波の空洞。

波壁から落とされないようにレイルセットだけをギリリとして出口を目指す。

ワールドクラスの波があって、

陸続きならば、

サーファーたちがそれぞれのボードを抱えてパドルアウトしてくる。

この人はパイプラインガン。

あの人は昔のガンだ。

髭に白いのを蓄えた中肉中背は完全にボス格。

波の一番良いところを知り尽くしているようで、

武道の動作のようにバレルインする。

さて、このワールドクラスのブレイクで、

ビジターサーファーのファーストステップをここに。

①【あいさつし、口角を常に上げておく】

これはあなたが波を見て、リーフを見て、興奮するか、

または狼狽していないかの意思表示。

ものすごい波には、礼儀正しく、

冷静なサーファーだけが挑むことができます。

②【長い時間をかけて波を見る】

岩の場所、潮の流れ、

サーファーの質、ゲッティングアウトの方法等々。

スカウトして得られる情報は、

永年に渡り多大なる価値があります。

ゲッティングアウト後は、

ファーストセクションが見渡せるチャンネルから波を見ていく。

どれが滑り降りられる波なのか、どこからテイクオフするのか。

間違っても中小だったり、

些細な波を見て、「あれなら乗れる」と、安請け合いしないこと。

自分がきちんとセットの波に乗れるのかどうかの判断をする。

「みんながいるから」という理由でパドルアウトすると、

危険なだけでなく、他のサーファーへの障害物となってしまう。

③【波待ち】

冷静に、波を判断していく。

セクションの長さ、

入ってくるうねりの角度。重なるうねりの相互関係。

④【波を待つ】

「波の順番」は、最初はあなたには与えられていません。

⑤【波に乗る】

お、極上波が来た!

しかし、横のサーファーもパドリングを始めた。

あなたが「自分は奥だ、いや優先権だ」

そう考えたとしても乗ろうとしてはいけません。

なぜならあなたはまだこの時点では順番外なのです。

笑顔でGO!と送り出してあげましょう。

誰もがあの極上波に乗りたいのです。

(優先権というのは、安全のため、競技の目的で使用されています。

国や土地、場所によって、与えられる権利が違うかもしれません。

互いの安全のためにもこういう場合は乗らないように)

セットが連発で来た。

チャンネル側にパドルしながら、

全員のテイクオフを見届けると、沖には自分だけとなった。

さらに口角を上げながら沖へとパドルしていくと、

「!」

マンガのようなすばらしい波がやって来た。

これこそが”最大セット”だろう。

さらに「あそこがピークの芯になる」と確信した瞬間に、

あなたは「あれに乗れるのか?」という不安に襲われますが、

全ての不安要素を期待でコートしましょう。

この時を待ち続け、

幾億回も夢想してきた自分はきっとやれる、

いや「こんなの軽く乗れる」と、

瞬時に自分を前向きにさせます。

視界は衝撃的なほどのチャンスを伝え、

心が震えるように沸きます。

あなたがすべきたったひとつのことは、

「完全に波に乗る」ことです。

極めて正確にイニシャル・パドルを開始し、

最大トルクとなったインパクト・パドルを深く入れてテイクオフ。

すぐにテイル・トラクションを加え、

波腹に食い込ませるようにレイルセットしてバレルイン……。

すると、下位ではありますが、

あなたに晴れて順番が与えられ、

人生最高のセッションは極まっていくのであります。

Happy Surfing!

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