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naki's blog

サーフィンとは、財産や名誉といった相対的な幸福から解放されるもの_(1133文字)

本日14:30の天気図+衛星画像。

台風20号シマロンが目の前にいて、

あと三時間でここを直撃するという。

瞬間最大風速 60m/s(115kt)から発生するうねりは、

さぞかし巨大かと思いきや、「強大」レベル。

かなりの波を見つけた。

こんな岬波が数十箇所もあり、

全て無人だった。

きっと広すぎる上に、

「強い波に乗りたい」

サーファーの絶対数が少ないのだろう。

SR500と名付けた岬波に向けてパドルアウトすると、

突然自分が小さくなった。

岬の大岩を見て、

波の威力を感じ、

人間とは、

なんとちっぽけなのかと再確認させられた。

Catch Surf ®ODYSEA Skipper Fish 6’0″

at SR500

.

波のパワーがすごいのか、

フィンにかかるストレスは増大で、

セッション後、

全てのFCSフィンスロットが緩んでいた。

こんなことは初めてで、

それほどまでにフィンに負荷がかかっているのだろう。

波が大きいときは、

あまり何も考えずに沖に向かう。

そして目の前で崩れたときは観念して、

違う世界に行くつもりで沈んでいく。

やがて波から外れ、

広大な、

いや壮大な海原に自分が浮いている。

ささやかな浮力であるスキッパーフィッシュの上で、

全開パドルや低いギアでのパドルをするが、

それはきっと8が9になったり、もしかすると10になる程度で、

実際にSR500波がこちらに要求するパワーというのは、

間違いなく4000位はあるようなので、

このとき自分がいかに無力だと実感するのである。

さらに言うと、これが11フィートのボードだろうが、

5’6″の有名ペラペラショートボードでも、

40リッターでも、

マクドナルドのトレイ、

魚屋の発泡スチロールの箱でも同じようなもので、

とにかく人は無力となる。

今日に限っては、

この腕の長さが10mくらいあって、

ようやく波とマッチするのだろう。

SR500は多数の隠れ岩があるようで、

テイクオフエリアはこんな難易度。

とにかくハッピーサーフというか、

自分にとって核となる行為をし、

それは修行でも行でもなく、

これこそが『正行(しょうぎょう)』ではないかと気づいた。

とにかく静かに、

そして穏便に、やわらかく、

そして観念という世界を通過して感じるのは、

怒りのような否定的感情の真逆であった。

無垢なる砂浜に再上陸、

つまり無事に生還したときは、

うれしくて逆サバ手をしてしまった。

波乗りとは、

財産や名誉といった相対的な幸福から解放されるもので、

生きていること自体に満足感を得られることだと、

確かに感じられた日。

雨と風が強くなってきたので、どこかに避難しなくては。

みなさんのご無事をお祈りします。

Happy Surfing Forever!!