銀鯖道の夜 二十九 南十字路とタキビシン海岸2 俄かに、 車のなかが、 ぱつと白く明るくなりました。 そとを見ると、 金剛石や草の露やあらゆる立派さをあつめたやうな、 きらびやかな銀河の下を、 太東岬の浪は聲もなくかたち…
【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 29_(689文字)

銀鯖道の夜 二十九 南十字路とタキビシン海岸2 俄かに、 車のなかが、 ぱつと白く明るくなりました。 そとを見ると、 金剛石や草の露やあらゆる立派さをあつめたやうな、 きらびやかな銀河の下を、 太東岬の浪は聲もなくかたち…
銀鯖道の夜 二十八 南十字路とタキビシン海岸 . 「ホーオーは、 ぼくをゆるして下さるだらうか。」 いきなりシギパネルラが、 思ひ切つたといふやうに、 少しどもりながら、 急きこんで云ひました。 ジロバンニは、 (ああそ…
銀鯖道の夜 二十七 「ぼく、 アンダーをとつて、 飛び下りながらはりついて、 それから一氣に乘つてみせようか。」 ジロバンニは胸を躍らせて云ひました。 「もうだめだ。あんなにうしろへ行つてしまつたから。」 シギパネルラが…
銀鯖道の夜 二十六 「ああたいふうの浪が咲いてゐる。もうすつかり秋だねえ。」 シギパネルラが窓の外を指さして云ひました。 岬のへりになつた海の上に、 月長石ででも刻まれたやうな、 すばらしい形の浪がくずれてゐました。…
銀鯖道の夜 二十五 「ぼくはもう、すつかり天の世界に來た。」 ジロバンニは云ひました。 「それに、このキヤラバンは音がしないねえ。」 ジロバンニが左手をつき出して窓から前の方を見ながら云ひました。 「電氣かエー…