ショールーム出勤前に「朝一のみ波乗りするべし」と、
朝5時半にアラームをセットし、いそいそと準備をしていたとある日曜。
前日のショールーム勤務の帰りにお持ち帰りした
COLE AVISO BD3を愛車のリアシートに横たわらせ、
イグニッションをONにすると、何やらいい1日を予感させる数字が並ぶ。
「朝一行くべよ」と、昨晩約束した友人1号に電話を入れると、
しゃきっと起きて”あたかも起きてたぜ”的な姿勢を見せるも
「あぁ、飲み過ぎて気持ち悪い…膝が痛い…風が△◯×」とつれない様子。
そんなことは友人1号にゃあよくあることだから、と気持ちを切り替え、
友人2号に電話すると、「1号と行くって約束してんだよね」という。
「あいつ二日酔いでグダグダだぜ」と伝えても、律儀な2号は1号の連絡を待つという。
こちらも小1時間しかサーフできない状況なので、そんな波乗隊とは別行動するべしと、
朝日に照らされながら東関道・市川ICを目指す。
強い南風を吹かせた日本海側の低気圧が北海道の釧路沖へ抜け、
波情報を開いてみると、千葉にも茨城にもそこそこのウネリが届いているようだ。
風予報は一日通して、弱めの西風。どこを選んでもコンディションはそこそこ良さげ。
こんな時は、東関道を走っているときいつも、分岐点ギリギリまで悩んでしまう。
「今日はどっちが正解なんだろう…?」
これまで10余年の波乗り人生で幾度となく通ってきたこの分岐点。
いくら年と経験を重ねても、その日の波は、海に着いてみないとわからない。
まぁ、正解がどこのどの波かなんて、答えは一生出ないものかもしれないけれど、
それでもワクワクしながら期待を膨らませ、いつもの分岐点を過ぎていく。
この日は週末日曜ということで、混雑した海が何より嫌いな俺は北側への道を選んだ。
3月中旬、暖かい日が増えてきたとはいえ、水はまだまだ冷たいまま。
けれど、今年は数年ぶりに新しいウエットスーツをゲットした上、
初めてもじもじ君スタイルのヘッドキャップを買ってみた。
それが思った以上に暖かく快適で、これまで冬に茨城へ行くことは皆無に等しかったが、
今冬は足繁く通うこととなった。
暖かい道具を手にすれば、波乗り出来る範囲もずいぶんと広くなるもんだなぁ。
7時前にサザン茨城のとあるポイントに着くと、
こんな波がコンスタントにブレイクしていた。
ゆる目のオフショア、朝日に照らされる緑色の波、
人の少ないラインナップ。
そんな絶好のコンディションで、初めてのBD3ライドを楽しむこととなった。
今回持ち出したのはBD3 5’0″。
こんな感じでリアシートにすっぽり収まるコンパクトサイズ。
(ちなみに車はゴルフ4ワゴン)
ショールームに来てくれるお客様の多くは、このBD3 5’0″見たさでやってきます。
そんな方々から良く聞く声としては、
「俺の体重でも本当に乗れるのかなぁ?」
「短すぎて立つのが大変じゃない?」
といった声が主立ったところ。
「船木さんが体重62kgで、膝波から8フィートまで乗っていますよ」とか、
「ライダーの勇人くんは体重75kgだけど、エアまで決めちゃうほど乗りこなしてますよ」と伝えるが、
プロだからできるんじゃないの? と斜に構える方も少なくないです。
さて、今回インプレッションをお届けする自分は、
身長172cm、体重70kg、レベルは中級で、
現在乗っているボードはHPSの6’0″x18-1/2″x2-1/4″です。
それに対し、BD3のサイズは5’0″x 20-1/4″x 2-5/8″。
フィンセッティングは、標準設定となるFCSのM5を装着しました。
ひんやりと張りつめた外気の中で着替えをすまし、いざパドルアウトする。
いつも顔の先まであるはずのノーズがアゴあたりにあり、
未だかつて目にしたことのない不思議な光景に驚いたが、
たっぷりと幅がとられている恩恵か、浮力に問題は感じなかった。
パドリングのスピードに関しては普段のボードとほぼ同等だった。
ゆっくりといい波を待ちながら、いざ1本目の波にテイクオフ。
一番の不安だった点は、あまりの短さに足を踏み外すことだが、
BD3はテイクオフ時のボードの滑り出しが早く
かなり余裕を持って立ち上がることができるため、
ズルりとすることなくテイクオフすることができた。
1本目の波は、ファーストブレイクでトップのみがブレイクし、
そのまま厚いショルダーが続いていくような波だったが、
BD3は緩慢なセクションでもスタックすることなく
するするとスピードを上げていく。
そして、ひとたび斜面が切り立てば、
1?2ターンのup&downで驚異的な加速力を見せつける。
これは、AVISOの中空構造によるフローテーションがもたらす恩恵なのかはわからないが、
トップスピードに至るまでの加速力は特筆すべきものがあった。
ノーズにボリュームを持たせてテイルを絞り込むデザインといえば、
レトロなロケットフィッシュや、そこから派生する現代のラウンドノーズ系が主流だが、
そうしたモデルは、ノーズワイドなデザイン特性によるテイクオフの早さや、
大きな弧をフェイスに刻んでいく様なライディングを得意とする。
BD3は、そうしたラウンドノーズ系の特性を持ちながらも、
ボディをぎゅっとコンパクトにまとめ、さらにテイルをシャープに絞り込むことで、
優雅なクルーズ感と、ヴァーティカルなマニューバーを可能にするようだ。
というのも、ボード自体が軽量性に優れ、さらにノーズが短いということもあり、
ボードのコントロール性が非常に軽く、そして鋭いのだ。
普段ショートボードでリッピングする際と同じアプローチで全く問題なく、
蹴り込むようにリップに当てればむしろボードが回転しすぎてしまうほど。
(フィンのM5がボードのボリュームに対してバランス的に小さいのか、
ルース性を強く感じました。それを活かしてスライド系リッピングを楽しむのもありかも)
BD3の魅力をもうひとつ付け加えるとすれば、ターン時のふくよかな反発力。
これもAVISOならではの中空構造によるものだと思うんだけど、
フルスピードからのボトムターン時などに、スピードと遠心力、
そして自身の体重をフルに活かし、ボトムで思いっきりボードを押さえ込んだ際、
まるで足元でボードが蠢いているかのような力強くエネルギーに満ち溢れた反発力を見せてくれる。
ここからのターンの伸びは驚異的で、これは今までPUフォームの板で感じたことがない特性だった。
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このショールーム出勤前の1セッションに加え、
その後腰?胸程度のよくあるビーチブレイク波で幾度か試乗し、
自分がBD3に試乗して感じたところを書いてみました。
千葉や茨城、湘南などの典型的なビーチブレイクの小波でも十分に楽しめて、
(自分では未経験だけど)ノースハワイの強波でも真価を発揮するBD3。
その幅広い守備範囲とポテンシャルは、自分にとっては未体験な領域でした。
AVISOならではの優れた耐久性で長いお付き合いもできるこの1本、
ある程度の技術を身につけた貴方なら、きっと存分に楽しめることと思います。
そう遠くない日に、原宿ショールームでのレンタルも開始される予定ですので、
ぜひ新しい世界への扉を開いてみてください。
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そんなわけで、サザン茨城の少人数セッションでマンライ数本をごちになり、
サーフィンの新たなる楽しさを味わってにっこにこで海から上がると
当初予定していたサーフィン終了時刻を1時間オーバーしていて、
超焦りつつショールームへとかっ飛ばしつつ、こんな一日が続いたのでした。
そして、律儀に友人1号からの連絡を待ち続けた友人2号は、
二日酔いの1号に放置プレーされつつ、波乗りお預けの週末を送ったのでした…。
おわり。
質問です。そちらに用事がありまして、帰りにショールームに寄りたいと考えているのですが、定休日とかありますか?
うん、うんと頷きながらインプレ拝見しましたよ。
BD3、やばいですよね?
いつも言ってますけど他の板に乗れなくなります。(笑)
こんなに中毒性が高い板も珍しい、てか無いでしょ?
もう虜ですな。
>カタヤマさん
お問い合わせありがとうございます。
定休日は特にありませんが、nakisurfのスタッフは
基本的に週末しかおりません。
店内には、SOLという女の子向け古着店のスタッフがおりますので、
何かあれば声をかけてみてくださいね!
>Fgさん
実オーナーさんにご共感頂けて光栄です!
本当に楽しい板ですよね!
中毒性の高さ、乗ってすぐにわかりましたよ?。
そして、自分も1本欲しくなっちゃいました(笑)
こんにちは、ゆうすけさん!
BD3インプレ待ってました!! 私も自分で乗るまでは、プロの方々だから調子良く乗れるんだろうなぁ、って思いつつBD3に乗り、ものの見事に中毒患者になった1人です(^^)
まだまだ頭以上では上手く乗れてませんが(涙)
BD3の加速・回転性は堪能させてもらってます!
インプレ、凄く伝わって来ました!! いつかはショウルームにて、ボード談義などさせていただけたらなぁ、って思ってます。
他のボードのインプレも、ぜひ?っ!!
>トメ.カレンさん
こんばんは!コメントありがとうございます!
トメさん、そしてご来店頂く多くの方と同じように、
“プロの方々だから?”と僕も思っていました。
BD3 5’0″は、そんな予想をいい意味で裏切ってくれました。
今度はショールームでボード談義ぜひぜひです!