September 23rd, 2020
.
「今年イチバンです!」
パドルアウトすると、
普段は感情をあまり見せないティムが、
うれしそうにそう言った。
ティムは、
「波乗りの達人」
として知られていて、
この界隈のサーファーにとっては、
エピソード4(スター・ウォーズ)の
オビ=ワン・ケノービという表現が最も的確だろうか。
こんなバレルもあんなバレルも、
チューブも穴蔵もみんなメイクしてしまう。
60歳台なのにこの実力は、
昔だったら魔法使いだと思われたことだろう。
ティムの卓越したサーフ力は、
長い経験と、
探求力や洞察力によって培われたものだ。
そして健康だということも重要だろう。
お名前はわからないが、
氏によるすばらしいドロップがあり、
長いバレルもあった。
速く、
強く、
硬い斜面の凝縮というか、
そんなことだ。
シャッチョ三部作で、
ここではすっかりとおなじみとなった社長。
そのシャッチョのセットアップに息を飲んだ。
(シャッチョ三部作については、
巻末リンクをご覧ください)
波乗り不動明王として知られるノブ氏。
ロングバレルの伝説や、
大波のフェアリーテールを持っている。
完璧な地形がこのような波を生みだす。
200m以上沖なのに、
足が付くほど浅い。
そしてまた、
砂利や石だけで形成されているので、
この速度で海底に当たるのはかなり危険だ。
ハイカラMのセッティングに、
偉人タマちゃんが歓声を上げていた。
こちらはチェリーさん(錯乱坊©うる星やつら)。
社長の友人で、
年季の入った見事なウェーブ・ライダーだ。
類い希な波のパワーで、
ロケットのように押し出されるのを、
レイルとテイルで抑えつける。
Tyler Warren 2+1 / 6’5″
Greenough Center + Vektor VMK
.
私は、
ギリギリまで波を待ち、
波先に引っかけて、
このタイラーの銘板を波底に落とし続けた。
これは二本目。
まん丸で、
大きなバレルを得た。
バレルの距離が相当あったので、
高いラインで滑走したかった。
なので、
この位置でレイルを切り替えた。
完璧な位置だったと自負している。
ここからレイルと、
テイル加重だけで高速滑走が始まるのだ。
丸く、
蒼く、
美しいバレルを見た。
ここからフルスピードで突っ走る。
なかなかこんなことはないものだ。
バレルはさらに大きく、
丸くなり、
そして私は速くなった。
波壁とサーフボードが、
たった一ミリ程度しか、
接水していないかのような錯覚に陥った。
このセクションは、
今まで持ち上がっていた壁が瞬時に下がり、
穴蔵を小さく変えた。
視界が暗くなった。
さらに体を小さくまとめて、
波の押し出しを感じながら滑っていく。
波のエネルギーが凝縮されていて、
ピュアなスリルと、
宇宙的な視界が続いていった。
シャッターはここまでしか押されておらず、
もっともっと滑っていって、
最後の最後まで行ったのだが、
運が悪かったのか、
縁がなかったのか、
メイクこそはできなかったが、
「ものすごい波」
という記憶を残した。
台風による波はまだ続いている。
□
【巻末リンク:シャッチョ三部作とは?】
Happy Surfing and Happy Life style!!
◎