私は音楽が好きだが、演奏者ではない。
ただ縁あって、ペソズのライブに2日間同行して、
彼らの発している、伝えようとしているメッセージを受け取ろうとしていた。
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これは今回のツアーで一番気に入った作品である。
前置きしたいのが、メンバー全員がとても疲れていた。
前日ダナポイントでの長いライブを終え、
コスタメサ経由でロスアンジェルスにやってきたメンバーたち。
彼らは決して有名ではないが夢がある。
「音楽を続けていたい」
「自分たちの音楽を多くの人に聴いてもらいたい」
それだけの夢。
けれどその夢はある意味で壮大である。
なぜなら仕事にしようというのだから、この道は険しい。
この夜は報酬があったのだが、
それはほんの些細なもので、
例えばここまで来るガソリン代にしか満たない額だった。
ただ、そのおかげで自分たちが創った音を奏でられる。
集まってくれた人に演奏できる。
それぞれの人生の、夢が詰まった晴れ舞台。
しかしこの待ち時間の写真は、
そのメンバーたちの持つわびしさと、現実を切り取っていた。
しかし彼らは夢という燃料が尽きるまで、
荒れようが落ちぶれようが這っていくのだろう。
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そのライブ日、初日のダナポイントの様子の画像を見てみよう。
2015.4.22 / 21:32
Dana Point, Califonia
The Rib Joint Live
Joey Bonano
Tayler and Tarek Wegener
”リブジョイント”という名前の通り、
ドライスタイルスペアリブの店で、それはおいしそうだった。
かぶりついているのは、
翌日LAで女装してペソズの前座を務めるDMティナ。
ライブに出演するということは、
こうして他の人のライブにも来るというのが慣習なのだろう。
ここダナポイントはサンクレメンテの隣にあり、
ソルトクリークやドヒニー、グラブルズという名ブレイクを擁する街。
なのでこのライブには、名サーファーたちが多く集まっていた。
サム・シェイファーとブレーク(右)
このブレークは先日、私に大切なマジックフィッシュを貸してくれた青年で、
訳あって無名だが、その波乗りはタイラーやクリスチャンクラスと誰もが認める腕前。
彼の母がサーフィング歴史館で働いていることもあり、
「それら歴史あるボードのテンプレートは全て所有している」
というサーフィングマニア。
左からダニエル、ジョー、ノアのダナポイントサーファーズ。
彼らとはソルトクリーク、グラブルズ、
そしてサンオノフレで一緒にサーフしている。
総帥とトゥモローズ・チューリップス(TOMORROW TULIPS)を組む
フォーちゃんことフォード・アーチボルドも来ていた。
彼は”勝手にMC”をしたりと、ペソズライブを盛り上げていた。
驚いたのが、彼の追っかけが多かったこと。
聞いてみると、
トゥモローズ・チューリップスはヨーロッパ等でブレイクしていて、
チケットはすぐにソールドアウトして買えないのだという。
とすると、フォードは夢をつかみかけているのですね。
フォードのことは小学生のときから知っていて、
彼のお父さん(マット)と一緒に種子島やコスタリカに行っている。
これは種子島のホテルの前ですね。
もうこのホテルも営業していないと聞いた。
これはコスタリカのカリチェ岬。
満潮なので釣りをしようということで竿を持っているのですね。
フォードは身長2mくらいになっているものだから、
私の最近はいつものことだけど、時の移ろいを感じてしまう。
https://www.nakisurf.com/blog/naki/column/column-17
そのトゥモローズ・チューリップスとよく一緒にいるテレック・ウエグナーが、
このツアーでのオープニング(前座)。
ものすごいギタリストだが、
全くと言っていいほど売れていない。
曲目を伝票に書き出すヤーン。
ヤーンのギター、いいです。
音楽人生ブラッドフォードの年代もののギター各種。
ジョーイのベース。
カリスマであり、その音楽性は全員が認めるヤーン(ヤタくん)。
音楽に詳しいブラッドフォードをして、
「ヤーンは唯一無二の音楽天才」と言う。
先日は、ヤーンがスラスラと20曲連続で作詞作曲したそうで、
しかも全てが良い曲でさらにはオリジナル。
それらは全くの思いつきと勢いだという冗談みたいな本当の話。
“The Pesos”
Brenda Seapea, Joey Bonano, Bradford Walters,Yaan Pessino.
先日のサンディエゴライブで、
オリジナルメンバーのウエスが仮脱退しているので、
その代役ベースをするシーピー。
アンコール曲は無名過ぎる名曲『CUMDOWN』。
夢から覚めていく我が人生をヤーンが地で唄うからこその、
響きと重み、そして輝きがあると思う。
ライブが終わった後は、
ヤーンがDJをしていたのだが、
聴いたことのない名曲がずらりとかかっていたので、
多くの人がそれを楽しみにずっといたのが印象的だった。
天才ヤーンの笑顔に癒され、そして楽しかった夜。
翌日のLAライブの模様はこちらにポストしてあります。
https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/62723
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フォードの写真を探していたら、
12年前の作品が出てきた。
しかもマミヤ67というミディアムフォーマット、
富士フイルムの試作フィルムフォーティアで撮ったものだった。
大きなカメラは大きなフィルムを使う。
確か220(長さだと思う)を使っても、15枚くらいしか撮れなかった記憶がある。
光度計を使って光を知り、絞りからシャッタースピード、
そしてフォーカスリングを回して、ガシャリと一枚だけ撮る愉楽。
今はデジタルなので、撮ろうと思えば一万枚だって撮れるのだから、
これまたすごい時代であります。
この波はフィジーに浮かぶマトゥク島。
しかもまだ誰もサーフしたことがないという未踏波。
ほぼトンガの横にあり、
不思議なのが、
この島にある全てのブレイクが一癖も二癖もあり、
一番素直な波質だったのがこのディーパーズ。
「 遙か遠くまで行って乗る波」
私はそんな夢を見ていた時代でした。
どうぞすばらしいGWをお過ごしください。
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