日本はGWだが、
こちらは通常のウイークエンド。
南うねりと西からの風波が入っているので、
いつものようにフォードアーズに。
懐古主義というか、
レトロ一筋のブライアン・ベントが、
1930年代のボードでサーフしていた。
ブライアン・ベントことBBには不幸があって、
海にはあまり来られなくなってしまったが、
少しずつ回数を増やしているようだ。
良かった。
そのBBと、
ヤタくんことヤーン・ペシーノの邂逅現場。
キャッチサーフ・マニアを発見してうれしくなる。
ビーター改造というのがすばらしい。
「良い波だったな。誰もいないのがすごいぞ。
NBAファイナル決勝とボクシングの中継のおかげかも」
「誰もいないわけだね」
「これからどうする。
ディナーでも一緒に食べるか?」
「いや、これからジョシュア・ツリーに総帥のライブを見に行くんだよ」
「ほんとか!すごいな」
「行く?」
「今夜はあそこまでは行けないな」
□
ミラーが言うように目的地のジョシュア・ツリーは遠い。
NAKISURF号では遠出できないので、
兒玉さんの車に乗せていただき、
インアンドアウトのハンバーガー経由で、
ジョシュア・トゥリー/ユッカ・バレーに向かう。
フリーウエイ5路線も乗り継ぎ、
一般道に降りるとそこは砂漠だった。
建物も何もない、
街灯もない、
月明かりと星の瞬きだけの空の下、
一本道が伸びていた。
「こんなところにライブ会場はあるのだろうか?」
「グーグルマップが違う場所を示しているのかも」
そんな自問が沸き上がり、
ずっと心配していたら突然到着した。
時刻は21:40分。
三時間近くのドライブであった。
総帥のライブ。
これだけだと何もわからないだろうから説明すると、
我々の属するウナクネ流派総帥であるアレックス・ノストと、
マットの長男フォーちゃんこと、
フォード・アーチボルドの二人組ユニットが
『トゥモローズ・チューリップス』だ。
音楽分類は何になるのだろうか。
オルタナティヴ・ロック
インディー・ロック
ポストパンク
ノイズロック
ノー・ウェーヴ
エクスペリメンタル
スウェルグランジ
こんな言葉を置いておく。
じつは『スウェルグランジ』は私の造語で、
その特徴は、
「うねりのようにビートがやってきて、
セットのようなリフの楽曲構造が融合され、
退廃しているもの」
という説明を置いておきます。
さて、
『トゥモローズ・チューリップス』。
アジアではあまり人気がなく、
しかしUSAでの評価は高く、
ヨーロッパではすでに火が点いていて、
彼らは今月10日からヨーロッパツアーに出発する。
これはUSAツアー最終日というか付け出し特別編。
このライブに来ることになったいきさつは、
先日オーシャンサイドのキャプテンズヘルムで、
総帥とフォーちゃんに偶然会って、このライブに行く約束をした。
https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/62565
フォードはそのことをきちんと覚えていて、
「ゲストリストに名前を入れておいたから」
木曜日に連絡が来た。
それで遙々(はるばる)ここまでやってきてみると、
砂漠の中の、
ホテルカリフォルニアの歌詞みたいな場所は人があふれかえっていた。
「すげ、それにしても一体みんなどこから来るんですかね?」
兒玉さんは興奮気味であった。
「開始50分前です。楽屋に行きたいから急ぎましょう」
そう言って入場すると、
すでに前座は始まっていて、
肉系の料理群と多量の酒が置かれたテーブル、
大音量のロック。
酔った人たちがあふれかえっていて、
楽屋のようなものは一切なく、
ライブハウスの横に総帥たちの機材が置いてあったので、
外にあるベンチエリアに出るとフォードがいて、
ペソズのブラッドフォード、
誕生日だという泥酔したテレックに、
10人くらいのサンオノフレガールズがいたので落ち着いた。
少し話をしていると、
フォードが、
「こちらキム」
そう紹介された。
それから三人で写真の話と波乗りの話をしていて、
そろそろ時間だというのでみんなでステージに向かうと、
兒玉さんが、
「あれ、ソニック・ユースのキム・ゴードンですよ。音楽界ではレジェンド中のレジェンドです!」
「へー、知らなかったけどすごい人なんですね。普通に話していました」
「それが良かったのかもですね。奉られるのは慣れているでしょうし」
「へー」
そんなこんなで今夜の幕が開いた。
“Tomorrows Tulip” with Kim Gordon
2015 May 1st, California
Ford Archbold (B,V)
Alex Knost (G, V)
.
左端にはカメラを構えたブラッドフォードが映っている。
盛り上がり、
そして盛り上がり過ぎたけど、
伝説のキム・ゴードンと
「明日のチューリップ」のライブは燃え上がって、
薪が破裂しながら崩れるように終演を迎えた。
観客のほぼ全員が陶酔していたのが印象的だった。
総帥もフォーちゃんも良かったよ。
外に出て、兒玉さんを撮り、
そして、
全米で辺鄙度トップ1000位には入るライブハウス入り口の写真を撮った。
深夜に帰る人たち。
今度は兒玉さんが私のことを撮ってくれた。
□
【おまけというか、その後】
運転中はあまりにも眠く、
幻覚を見るほどだった。
フリーウエイ横に見えたIHOPというパンケーキチェーンレストランで、
甘味を注文したが、
「これぞ体に悪いもの」
そんな主張の生クリームや偽リンゴジャムを食べた。
さらには味がわからないほど甘すぎる。
でもシュガーハイではないが、
甘いのを食べて目を覚まそうとしたのだが、
眠さが勝ってしまっていた。
深夜のファミレスなので、
レジ係もウエイトレスも全部一人でやっていた。
会計のレジになかなか来ない間に倒れていたのを兒玉さんが撮ってくれていた。
”ブルックリン・ラスベガスとラカ法王”
というメッセージがタキビ師ヤスくんよりあったことを思い出した。
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