3.8フィートの週末
片岡鯖男
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1-2 波
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タヌーマン、マコト、NAKIというサーファーたちがいなかったなら、
その波はそれほどすばらしいものには見えなかったもしれない。
萩岬から見たなら、
ほとんど沖合いだと言っていいほどに、二百メートルほど走っていくその波は、特別なものだった。
あるいはふと立ちあがったその波の稜線は、その高さを安定して維持しつつ、立ちあがるはしからもの憂げに白く崩れながら、ゆったりした速度で室戸岬にむけてまっすぐに進んでいった。
彼たちがいるおかげで、その美しい波は、いわく言いがたい不思議な生き物のような生命と雰囲気を獲得していた。
タヌーマンのキャッチサーフが鮮やかに波の上に浮き出た。
マコトの赤や、NAKIの黄色のフィッシュも、水の被膜ごしに太陽の光を鋭く反射させていた。
タヌーマンが乗った。
そのタヌキ人(びと)は、長くまっすぐにのびていく3.8フィートの波の内側に入り込むように消えていった。
そして波の中から再びあらわれると、スクリューと舵がついてでもいるかのように、彼は波の斜面の上でサーフボードを意のままに正確に操り、波の速度とおなじ速度で前方にむけて進んでいった。
ショアブレイク付近で両膝を折って腰を落とした彼は、両腕を空中にのばし、サバ手で加速していた。
土佐弁で言うところの「サバ手、しゆう」といったところだ。
そしてキックアウトの敬礼ポーズ。
全てのスタイルがタヌーマンそのもので、こちらまでがうれしくなった。
波に乗ることは、浅間のかなたに見た入道雲のように、遠いものに感じられた。
彼たちの姿をもう一度確かめ、白い朝もやのなか、葉に宿った冷たくて透明な朝露で、顔を洗い、気を引き締めた。
ぼくはシェビィ・ヴァンからタイラー・ウォーレンのシングルフィンを出して、ワックスもかけず、駈け出していた。
このままショア・ブレイクに飛びこみたい、それほどまでに昂奮していた。
波のピークが見えてきた。
ゆっくりと、しかし確実に、走りながら波との距離をつめていく。
ピークのえぐれかたが、はっきりと見えはじめる。
オフ・ショアの飛沫の後ろ側にヴィラ・サントリーニが小さく見えた。
(2019.6.3)
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【私の通常ブログ】
宇佐ショッピングセンターで売っていた宇佐獲れ鰹をさばく玉ちゃん。
元特級漁師のポイくんの一番弟子であります。
「ここ(ハランボ)は生で食べると危険やき」
そんなことが聞こえてきた。
パドルアウトすると、
なんとアパッチ(亮太くん)が波に乗ってきた。
彼と初めて会ったのが、
エルサルバドルのスンサルというマイナーブレイク。
それから幾度も偶然会っている。
そして今回もうれしい再会となった。
「おいしいもの研究家」のクルミちゃんがいて、
アパッチ同様にワンハンドクリーンをしていた。
土佐清水から学(マナブ)くんもやってきた。
それほど良い波。
マナブくんは、
朋輩うどんを主幹しているが、
お味の方は宇宙一と名が高い。
「マナブがさ、アベンジャーズ・エンドゲームの最後の方に出ていたよ」
そうタヌーマンが教えてくれたことを思いだした。
その朋輩(ほうばい)うどん謹製の
超健康食でもある『ヘンプうどん』が完成し、
GWはそのお披露目で平野サーフィンビーチだったり、
enだったりで毎日250食が完売するほどの大人気だった。
で、私は手打ちうどんの「アタリ」という箇所、
つまりハジやカドが大好きだと知っているマナブくんから、
ヘンプ・うどんのバチとフシをプレゼントしていただいた。
私がしんじょう君好きなのは、
きっとクレヨンしんちゃんのほっぺたに由来するものだけど、
そのしんじょう君キャラの須崎市も須崎高校の生徒を起用したりして、
しんじょう君の威光というか、
影響力をわかっているのだと思う。
ドラグラ・プロダクションズの摂政瀧朗が、
「高知県須崎市は、
しんじょう君とちぃたん☆を使ってのパブリシティにすれば良かったのに」
そんな見解を示し、
この後にも2000文字程度の言葉が続くのだが、
長くなるので要約すると、
「楠瀬市長は(アルベール)カミュの著作を読んで、
『不条理』という概念を知るべきです。
今回のケースも正にその範疇のひとつで、
明晰な理性を保っていても表れる不合理性な運命があります。
これに市長たちはアニメ化するから独占したいとか言わずに、
ちぃたん☆を見つめ続けるという形勢にすれば、
しんじょう君のニホンカワウソ性を脅かすものに対することが、
人々の間で連帯を生むとされるのです。
僕の試算だと、
須崎市はパブリシティだけで2億円は損をしています」
ということらしい。
浦ノ内販売所から届いた高知新聞より↓
https://www.kochinews.co.jp/article/256172/
宗安寺に来ました。
この無人販売所の商品構成がとっても漢方。
イタドリの日でした。
この良心市の向かいにあるのがSO-AN 。
ここでも幾度か取り上げました。
マグロのポキと、
鳴門のもずく、
土佐野菜の令和大嘗祭(だいじょうさい)でありました。
今週の土曜日は東田くんがあおぎに来る。
ツガニうどんがおいしいですぞ。
そのSO-ANランチのご一行。
タヌーマンがドタキャンしたのと、
竜さんが退席しているが、
左からクルミちゃん(おいしいもの研究家)、
ハヤトくん、キヨシくん、マナブくん、山ちゃん。
土佐市宇佐町宇佐に戻る。
ここにクラシックなラーメン屋がある。
なんとラーメン200円という破格値。
昭和30年代の話ではなく、
令和元年の値段であります。
店内で食べたかったが、
このときおばちゃんが昼寝していたようで、
注文するのが気が引けたので、
生麺(細)だけを購入した。
この80円の麺と、
ノゾムくんの生姜と、
高知トマト(大甘)、
ヤスくんのキュウリ、
土佐ジローという銘鶏卵を使って冷やし中華を作ってみた。
【おまけ】
SO-ANの蔵書にブルーのバックナンバーがあって、
第10号、
2008年のものにも私の巻頭コラムが掲載されていて、
そうすると、
すでに12年以上もの連載となるのだと感じいった。
各表紙とコラムをおいておくので、
お読みいただけるのでしたらぜひ。
Happy Surfing!!
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