【台風10号クローサ回想記】
“超大型”の台風10号クローサが、
西日本に向かって北上していた。
クローサは、
発達しながらゆっくりと進み、
この日の勢力がピークの状態だと天気予報士が伝え、
最大10メートルの波が予想されていた。
10mというと33フィートであります。
外海は荒れ、
しかも風とうねりの方向が一緒、
オンショアになっていた。
ならばまた、
昨日ここでお伝えした通り、
前日は仲間たちだけで貸し切りだったので、
道の駅なかとさなどに行きつつSR500に行くと、
タヌーマンことタヌ氏、
またはタヌくんがココサンシャインを塗りたくり、
すでに私たちのことを待ち構えていた。
TANUMAN 2019 AUGUST
All Photo by Yoshi and Nacky
.
「ナキくんたち遅いよ〜。干潮がいいんだからねここは」
「そうなんだね」
「キャッチサーフ貸してよ、昨日ナキくんが乗っていたのをさ」
「かんたんです」
「かんたんですはさ、形容動詞に助動詞だからさ、
返事というか、言葉の意味が違うんじゃないの?」
「これはさ、ジローワードと言ってさ、拡大解釈できる優れ語なんだよ」
「ほんま?そりゃすごいな」
「スキッパーフィッシュ(6’0″)で入るからバリマギ使っていいよ」
「やった!ありがとう!!」
パドルアウトすると、
タヌ君がすかさずいい波に乗った。
Catch Surf ®ODYSEA x Barry McGee Pro 7′
.
干潮なので、
ゴボゴボだが、
これがいいのだそうで、
これによってタヌくんは、
天才バカボンのパパが言う
「これでいいのだ!」
を感得した瞬間でもあるようだった。
私もゴボゴボだが、
露出(ドライ)する岩の位置は昨日記憶し、
さらに言うと、
サイズアップしたので水量が増し、
ブレイクも沖にシフトしたので、
岩が露出することはなかった。
けれども十分に浅い。
下手をするとここでハッピーサーフが終わる、
終焉となる可能性のあるファーストセクション。
無事にセカンドセクションにコネクトすると、
波は深みからせりあがりサイズアップする。
こういう途中からサイズが増す波をのことを
『グロウ、(grow)』と呼ぶ。
無事にインサイドセクションをトレースし、
ショアブレイクまで来て、
サバ手でフィニッシュ。
このマドモワゼル(Mademoiselle)は、
フランスから来たタヌくんのお友だちであり、
こうしてたっぷりと日焼けしていたのが印象的かつ、
健康的だった。
昔コパトーン、今ココ・サンシャイン。
少し潮が入ってきた。
Eric Christenson Cosmic Fonzer 7’2″
.
「この波ですと、浮力のあるボードに乗りたいです」
しょう寅杉本さんがそう言ってきた。
「ECの72があるよ」
「うぉ、フォンザーですね。かんたんです!」
「さすが、完璧にジローワードを使いこなしているね」
「当たるも八卦当たらぬも八卦、こちらのボードはセブン・ツー。
舶来モノでござんすよ。駅前で売っている大量生産品とはちと違う。
橙色は何見てわかる、橙色見て迷わぬものは、木仏金仏石仏。
千里を旅する汽車でさえ、この色を見てちょっと速度を落とします」
「お!一度寝て調子が出てきたね」
「帝釈天で産湯を使い、姓は杉本、名はショージ。
人呼んでしょう寅と発します。
ネオン、ジャズ高鳴る大東京に仮の住居があります。
きんちゃんつながりの不思議なご縁を持ちまして、
このお盆中土佐のSR500波に粉骨砕身、
ハッピーグライドに励もうと思っております。
西に行きましても東に行きましても、
とかく土地土地のおあにいさん、
おあねえさんにご厄介かけがちなる若造でござんす。
ジローくんと同じ次男でございまして、
故(ゆえ)にかんたんですと連呼しますが、
以後こちらの面体お見知りおかれまして、
向後万端(きょうこうばんたん)、
どうぞよろしくお頼み申します」
そんな口上で乗る波もありました。
すばらしいガッツであります。
太い(強い、大きい)波。
気持ちが入る波乗り。
昨日も来ていたイズミくんがしんじょう君(ヤスくん)とやってきて、
さらには高知のまこちゃんこと、嶋崎誠さんが来た。
彼は東本願寺土佐別院の御院(住職)であるので、
もし何かあっても成仏させてくれそうだった。(笑)
ご住職が勤行のあいだにシェイプしたピンク色のフィッシュが、
この青い波の上に稲妻のようにきらめいていた。
しんじょう君になりすましたヤスくんは、
スキッパーフィッシュ66を弾丸のように滑らせて、
胸に潜む「何か」を霧散させていた。
宗安寺のSO-ANの潔さんを師と仰ぐイズミくんは、
勇敢なるグラブレイルで、
この怖ろしいSR500波を攻めていた。
クラシック・フィッシュ。
湾の中頃では、
ハワイからやってきたノア・ミズノが、
ウエッジで遊んでいた。
彼らも外海から逃れてきたのであろう。
ドラグラ式を表現するサバ手を、
イズミくんとしんじょうヤス君がしていたのが印象的だった。
すばらしいセッションをありがとう!
Catch Surf ®ODYSEA Plank x Barry McGee Pro 7’6′
.
MVPはナッキーだっただろう。
岩に目がくらんだ昨日の恐る恐るから脱皮し、
すばらしいセクションの数々を得ていた。
ハナマルマンテンのハッピーサーフィンでした!
Happy Surfing!!
◎