田舎にいて、
何が楽しいって、
おいしいものがいただける。
それもかなりというか、
頂点レベルでおいしいものだ。
室戸岬の近くに三津地区という漁を中心として集落があるのだけど、
そこに『おいしいもの研究所』が開設された。
教授に有元くるみさんを据え、
研究員がすでに数名おります。
例えば、
研究員のひとり青空洋平くんは、
キッチンの清掃消毒に対してコンサルタントをしていただき、
その合間に、
「キラメッセとシットロットのレイライン」
という論文を書いていただいております。
バリの高間教授は、
「ダダール・グルンの卓越さと、
国際的な継続性の可能性」
という調べに入っております。
研究所では学芸員数名、
心理学者、
考古学者、
物理学者を募集しております。
近辺で勤務、
時間スポット勤務も可能です。
ご希望の方は、
スカイアンドシー・ムロトと、
検索してご連絡ください。
実行委員長の河合英治から返信いたします。
私はこちらでは、
ドラグラ・プロダクションズ同様に広報部担当です。
どうぞよろしくお願いします。
「建国記念日は何をされていますか?」
ヘンプうどんで、
世界に名を轟かせている学くんから連絡があった。
それは足摺岬近くの土佐清水ではなく、
土佐下田あたりでやっているという。
「ポイくんたちと味噌作りしてますんで、
よかったら寄ってください」
で、
サーフ後に行ってみると、
瓢箪ヒトシくんが育てた大豆が大量にあり、
それを薪で茹で上げ、
湯を切り、
つぶすという流れ作業だった。
そのあいだに玄米4種類が蒸されていた。
全てポイくんが育てたものであるという。
大豆を茹でて、つぶす。
そして麹を加える。
この麹もポイくんとヒトシくんの逸品=絶品であるという。
味噌というのはこうなっていたのですね。
つぶしたてのをいただくと、
信じられないほど美味しく、
それはまったく上等のお豆腐のようだった。
豆腐も大豆だとわかった次第であります。
ポイくんのスモーク・ロースター。
ポイ氏は、
私たちのあいだでは神なので、
神さまのスモーカーということになる。
ポイくんは、
四国ではよく聞こえたチューブライダーであり、
土佐各地の極限波をクレイグ・アンダーソンのようなスタイルで滑り、
信じられないほど深いバレルを抜けてくるグレイトサーファーである。
漁師たちはポイくんを見かけるだけで、
たちまち姿勢が良くなるほど尊敬されているとも聞いた。
なぜなら彼の漁というのは、
常人の粋を越えているからだ。
文化を大切にし、
次世代育成にも余念がない逸人である。
私にもやさしい。
「ポイくんの弟子です」
という人は、
自称を加えると数百人はいるらしく、
さらに彼が長期滞在したニアスでも数々の伝説譚(たん)を焼き付け、
インドネシアにもポイ・チルドレンたちが多数存在しているという事実がある。
彼はいま、
「海を育てるには山です」
そう言い放ち、
高知各地の山を護っている。
合間に農業をし、
そして建国の日には、
こうして伝統的な食プロデュースを実行されていた。
前出の学(まなぶ)くんは、
「アキトリっす」
と、このあたりで著名な養鶏人の鶏だと胸を張る。
そして彼は讃岐うどん界の元プリンスであり、
海に入ると、
グレイトチューブライダーとして、
石田さん岬で勇敢だとして知られている。
この鶏をもちろん手づかみでいただくと、
人生いろいろ、
割と長くておいしいものをいただいてきたけど、
滋味、
美味、
感動味というものが織り混ざった深い味の、
忘れられないごちそうとなった。
こちらはマナブくんの弟子のジェイくん。
彼もやはりみんなと同じように、
農作業から大工、
土木、
裁縫、料理、
そしてサーフィン全てに長けている。
しかもシングルフィンの逸人である。
マナブくんがポイくんの十大弟子のひとりなので、
ジェイくんは孫弟子ということになる。
ジェイ氏は、
つぶした大豆をツボに圧着するように詰め、
最後に学くんの指示で、
和紙に焼酎をかけて蓋をした。
こうして一年間寝かせて発酵したもの。
これが”味噌”という自分たちだけで作った食べものとなる。
昨年も作っているそうなので、
こうして各家庭は一年分の味噌を本日仕込んでいたのだろう。
それにしても大変な量である。
玄米が蒸し上がったというので、
今度は餅つきとなった。
暖かい日だったが、
大量の蒸気が土佐下田のそらに上がった。
園芸というか、
作物の心を読めるというヒトシくん。
彼の作るものは無農薬はもちろんのこと、
最高品質であり、
しかも賞等に興味がないので、
限りなく無名だが、
前出のポイくんが見つめる人物である。
彼から大豆の種をいただいた。
これを蒔いておくと大豆だらけとなるという。
当たり前の不思議。
学くんたちは、
餅つきは年に数十回していて、
幼少時からやっているというので、
年季というか経験が違う。
とすると、
本日300回目か、
400回目になるほどの達人なので、
何をすべきか全てわかっている。
玄米のやわらかさ、
杵の角度とかそんなこと。
3つ目の臼は、
子どもたちの出番だ。
学くんで言うところの50回目とか、
100回目なのだろう。
すでにすばらしい腕前だ。
ゼンイチくんとジンくん、
親友同士で搗いた。
友だちと搗く。
ほっぺたがかわいい。
兄弟で搗く。
いいなぁ。
完成した玄米餅。
それは二郎くんのほっぺたくらいの柔らかさだった。
農業論、
食味論、
風のこと波のこと、
海の興味深い本物の話が続く。
マスターたちの一景。
かけ声が大切らしく、
こちらも良く通る声ではい〜!はい〜!
昔はお正月に聞こえてきた懐かしきかけ声。
桜エビの逸品があるらしく、
これを白米にまぜて海老餅ということにもなった。
搗かれる前も美しい色だった。
搗いた餅は、
こうして女性たちがくるくると丸めていく。
このネコがずっとこちらを見ていた。
お餅が食べたいのであろうか?
最後は師範級の芸術的な餅つきを学くんが披露し、
こうして日本の伝統は明日に続いていくのでありました。
ありがとう。
すばらしい建国の日。
Happy Surfing!!
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