「こもってないで、出て来んとあかんとです」
しんじょう君に似た人にそんなことを言われたが、
5年ほど前から私は
「二面性の引きこもり」である。
私が外に出るのは、
サーフィンと買いもの程度であり、
卓球とかスシロー、
そして飲み会というのが反対側にあるが、
じつにささやかなことである。
他の時間は睡眠、
料理と書きものに費やしている。
Bonzer 1975 / 6’5″
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春何番かの後に激烈にいい波に乗った。
この波付近は激流であり、
かんたんに人はそこから排除されていく。
波が来た。
あっという間に近づいてくる。
私は、
意識を閉じ、
静かにダックダイブさせた。
両腕を伸ばしてボード上半部を沈め、
それに追従するように右足でテイルエンドを、
海底に向けて押し延ばしていく。
最深部では、
小指、薬指、中指でレイルを握り、
人差し指と親指はボードに喰い込ませるようにした。
手首が折れてもボードを離す気はない。
波は一瞬だけ沈黙し、
その次の瞬間、
吹き飛ばされるような圧力がかかり沈められた。
というより、
海底に向かって叩きつけられた。
波の下はたいてい暗い世界であるが、
あるはずのない太陽の閃光が、
まぶたの裏で7色に煌(きら)めく。
ずいぶんとあってから浮かび上がり、
私は反射的にパドリングの姿勢となる。
その過酷、
刹那から脱出すべく、
直感と予感だけで身体の各部を動かし、
芯に力を入れる。
濃い色の海面のふくらみ。
大波が沖に見えた。
乗るのか、
いや、乗るには遠すぎる。
流れが発生し、
波の中に吸われていく。
逃れられないと悟った。
来たぞ。
もうすぐ崩れる。
弱い心を隠せ。
ボードを離すな。
波に相対しての興奮。
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このコラムの元々は、
2010年2月24日のこのブログなので、
じつに10年も前の体験であるが、
今も何も変わっていないことでもある。
Happy Surfing and Happy Life!!
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