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naki's blog

ゴジラ波での飛翔浮遊_the Greenroom Festival 2010!!_「Isn’t this where we came in ?(ここは俺たちが入って来た場所だろ?)」_(3788文字、中短編です)

おはようございます。

こちらノースハワイは北(355°)から猛烈なうねりが届いていまして、

それは17フィート@17秒という大王サイズ。

届く波は、このようにキングギドラ波で、

時折ゴジラ波も混ざって、海上は大変なことになっていた。

(波の呼称については下記ブログを参照ください)

https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/9809

2010_inaris_V4197

セットが来ると、ボードを捨てて海の底深く潜るのだが、

深海魚がいるほど潜っても海上に炸裂した波に吸い上げられるほどで、

先日の津波ではないが、海の威力を存分に味わった。

というか、人間の無力さを思い知ったのかもしれない。

津波の話だが、

チリから日本までの1万7000キロという途方もないほどの距離。

(ほぼ地球を半周する距離)

その海を動かしてしまう『津波』という超エネルギーに改めて驚く。

そんなことを考えながらショアブレイクに立ち、

腰くらいの波を受けると、

その強力なパワーで倒されそうになり、

「波」の強さ、すごさ、驚異を感じた。

先日届いた俺のゴジラ波救済ボードBWG(ブッシュワッキング・ガン)に今日も助けられ、

スリル溢れる急斜面滑降をして、大きなバレルに包まれた。

BWGについては↓

https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/10898

2010_inaris_V4213

だが、逆もまた真なりで、

巻かれた波から全く外れずに、

息切れしたまま波の中で両手で泳ぐようにあがいてしまった。

結局はさらに巻かれる結果となって、

最後には耳鳴りまで聞こえてしまい、ひさしぶりにかなりな目に遭ってしまった。

まあ今はこのブログを書いているくらいなので、

無事に浮かんできたが、恐怖で腹は痛くなり、

体は重くなって、もう少し巻かれていたらさらにひどい目に遭ったのだろう。

大波にはそろそろ慣れてきたはずの3月なのに、

さらなる精進が必要なようです。

ただ、その後のセットでブレイクする前にダックダイブして、

波内を持ち上げられるように吸い上げられていたら、

昨日書いた「虚空」の冒頭部分の

「真上にはためく虚空をひたすら垂直に眺めあげたい」

ということを体現してしまった。

https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/10971

.

ダックダイブすると、

普段は中盤まではノーズを下方向、

または沖側に向けたままにしておくのだが、

今回のは波の根っこから芯に入り込み、

途中からノーズを真上方向に蹴り出してみた。

そうすると、波の中に吸い込まれるような感覚があり、

次の瞬間には、どこまでも持ち上げられている俺がいた。

「どこまで上がるのだろうか?」

と、UFOに持ち上げられしまったという

『ノウルズ一家事件(1988年)』を連想し、

一瞬怯んだが、そのままさらに上昇すると、

無事に波の裏側に出られた。

時間にすると1?2秒の出来事だったのだろうが、

長時間も引き上げられたように感じられた体験であります。

「埴谷雄高の願った虚空」

は海の中にも存在しているということを知り、

そして1本の波の中には神秘が詰まっているのだ、

と実感した2010年3月1日。

フレちゃんに英語でこの体験を伝えようと辞書を引く。

「推進=propel」

「飛翔=fly high」

「浮遊=float; drift」

とあって、

“Propeled for freedom”

「自由への飛進」

としてみたらその字面に満足してしまった。

でもなんだかマニフェストみたいだなあ。(笑)

2006年から参加しているグリーンルームフェスティバル。

サーフィンをベースに、

音楽とアートを融合させた一大イベント。

2007年には「メインビジュアルを担当させていただく」

という大変光栄なこととなった。

自分の作品のポスターを会場で見かけて、

ドキドキしていたのを覚えている。

img_history_tgrf_2007さらには2008年には、この”Donavon Capture”で、

再びメインビジュアルを担当させていただき、

img_history_tgrf_2008

去年はあのYusuke Hanaiさんのロゴとのコラボで、

またまた’メインビジュアルを担当させていただきました。

http://www.hanaiyusuke.com/

D先輩に

「お前さー、これって癒着とかあるんじゃないのか?」

と疑われるほどでした。(笑)

そんなことはありません、

とっておきの『ハート波』の作品だったんですよ。

ハートに大感謝。

B5yokohama_vol2そしてそして、「4年連続メインビジュアルはない」

と自分に言い聞かせていたのだが、

なんと!

今年も光栄なことにメインビジュアルとさせていただきました。

作品名は、

“Special Memory of San Clemente”

Yusuke Hanaiさんのロゴも再び一緒で、

こんなにうれしいことはないなあ、

と缶ビールをパシュ!

グビー。

GRF2010_poster

5月22日、23日の土日、横浜は赤レンガ野外特設会場です。

NAKIブースも開設して、

いつものようにリリーちゃん、とおる、

そしてスタッフ全員でお迎えします。

みんなで酔っぱらいましょうね。

グビグビー!

お得な先行チケットは↓のリンクからどうぞ!

http://www.greenroom.jp/

ワクワク、どきどきしてきました!

イナリーズの帰り路、

ラジオでピンク・フロイドの”Hey You”がかかった。

このアルバム”The Wall”は俺が14才の時に生まれて始めて買ったLP盤で、

予約特典のイラストポスターに釣られて、

当時では大金の

「4000円を前払いした」というすごいアルバム。

the wall

発売日にその新星堂に行き、家に持ち帰り、

レコード針を落として神妙に聞くと、

この曲がかかったのを今でも覚えている。

Hey you,

out there in the cold Getting lonely,

getting old Can you feel me?

(ねえ、外は寒く、さみしくなってきたよ、

年老いていく俺がいるのを感じるかい?)

Hey you,

standing in the aisles With itchy feet and fading smiles Can you feel me?

Hey you,

dont help them to bury the light Don’t give in without a fight.

Hey you,

out there on your own Sitting naked by the phone Would you touch me?

Hey you,

with you ear against the wall Waiting for someone to call out Would you touch me?

Hey you,

would you help me to carry the stone?

Open your heart,

I’m coming home.

But it was only fantasy.

The wall was too high,

As you can see.

No matter how he tried,

He could not break free.

And the worms ate into his brain.

Hey you,

out there on the road always doing what you’re told,

Can you help me?

Hey you,

out there beyond the wall,

Breaking bottles in the hall,

Can you help me?

Hey you,

don’t tell me there’s no hope at all Together we stand, divided we fall.

(もう望みがないなんて言うな、一緒に行こう、離れたら終わっちゃうよ)

こうして歌詞を読むと、

ここまで的確にティーン(俺)の気持ちを歌った曲があったのだろうか?

と驚かされた。

当時は辞書を片手に自分なりに訳し、

くじけそうになったときに、

あきらめそうになったときにこの曲が俺を何度も救ってくれた。

Open your heart, I’m coming home.

(こころをひらけ、俺は戻るからな)

あれから30年後、

このパラグラフに震えるとはあの時は思いもしなかった。

加齢するというのは、すてきなことです。

“Hey You”はいまだに名曲だなあ。

今日は飛んでいくようなダックダイブと、

グリーンルームフェスティバルの興奮、

そして俺の内部に生み付けられていた曲を聴いていただきました。

14才のときの俺。

44才のときの俺。

30年間という年月が経ちましたが、

どちらも俺で、でも大きく違うのは、

今は海に、波に自身をぶつけられる自分がいることだろう。

海はあるときは楽しく、あるときはやさしく、

そしてあるときは懲らしめられ、

人生の縮図というのは大げさかもしれませんが、

一瞬でそんな気持ちにさせてくれるのが波乗りの醍醐味だと実感しました。

音楽も風景も、

記憶も感覚も全てつなげて、

これからも歩幅を合わせて進んで行こう、

と思った日。

春の日。

波の日。

記憶の日。

ハートの日。

今日もありがとう。

今日も良い日に。

明日も佳き日に。