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naki's blog

シャトーマルゴーの気持ち配分で王の波に乗りました!_穴が開いていても平気なのデシタ_バナナをいただき、涙したこと_1000kgの鮫にひきずりこまれたら?_ライアンのモノスゴ回転_(4105文字、短中編です)

こんにちは、

今朝のホワイトハウスは昨日よりもサイズを上げていた。

南南西(180°-200°)と、

うねり角度もすばらしく、

潮位もさらに浅く、

歴史的なセッションとなる日。

2010_NH_V3308

昨日の教えをきちんと反芻し、

これからのことを考えると少し身震いがした。

その気持ち内容比率は、

怖さ不安86パーセント、

うれしさ17パーセント、

好奇心5パーセント、

波乗道5パーセントという数字を見ていたら、

『シャトー・マルゴー』

のブドウ黄金比率と同じということに気づいた。(笑)

ちなみにシャトー・マルゴーは、

カベルネ・ソーヴィニヨン86パーセント、

メルロー17パーセント、

プティ・ヴェルド5パーセント、

カベルネ・フラン5パーセント。

岸から見るとすでに何人かパドルアウトしていて、

沖に出ると、

それはドミンゴの友人たち5名とわかった。

ノースハワイ島育ちの高校生はミドルピークに陣取り、

テイクオフこそ、1割にも満たない成功率だが、

みんな見事に波を攻め。

ワイプアウトも上手だった。

やはり「かわいい子には旅をさせよ」

ということを毎日してきたからなのか、

極限波なのにどことなく余裕があるように見える。

すごいなあ。

俺の一本目はピッチが強すぎて、

まっすぐにしか降りられず、

浅瀬でアイランドプルアウトするも、

ボトムを岩に当ててしまい、

1本目から長さ11cm、幅5cmの穴を開けてしまった。

これではテイクオフしたときに穴から水圧がかかり、

グラスコートがはがれてしまいそうなのと、

穴の水流でテイクオフに何らかの抵抗がかかってしまうので、

一度上がってステッカーを貼ろうと思ったが、

岸までは遠いのと、

このままサーフできそうだったので沖にとどまった。

高校三年生になるドミンゴと話す。

彼はこの秋から進学し、

ワシントン州の大学に行くのだという。

この島だと高校までは問題ないが、

大学はカレッジがひとつあるだけなので、

それぞれみんな本土に飛び立っていくようだ。

離島の不便さですね。

そんな高校生たちはすぐにすると、

「学校に行くねー」

と上がってしまい、

沖には俺だけとなった。

昨日に引き続き、

大潮干潮となっているので、

ブレイクは尋常ではない。

そんな美しい波を眺めていると、

沖からタイタスがやってきた。

彼は島のサーファーを統治しているノースハワイ島の酋長だ。

サーフィン歴は52年!

7歳のときに

「12歳までの少年部」

で初優勝したのを始め、

1986年以降エディアイカウ・ワイメアに招待され続けている。

ライフガードとしても有名であり、

1996年には、

『ウオーターマン賞』を授与されている。

ハワイのライフガードはご存知のように、

あの海、この波の流れの中で、

泳いで救助する真のウオーターマンである。

昨日出てきたカイポもライフガードで、

持って生まれた資質も重要だが、

普段からの鍛錬も一切怠れないという、

ど根性なる命がけの業務を重ねる職業なのです。

長くなってしまったが、

そんなノースハワイ島の英雄みたいな人が入ってくると緊張するのです。

彼もまた沖のピークに陣取り、

大きなセット波だけを乗ろうというアリイ(Alii=統治者)なウエイティングだった。

ものすごいセットが入り、

昨日は2?3本だけだったのに対し、

今日は7?8本もあって、

そのうねりが入っている時は、

阿鼻叫喚(あびきょうかん)なる修羅場か、

光り輝く斜面を讃えるステージか、

はたまた激流海面下りは無間地獄(むげんじごく) のようだったが、

波面の一瞬の隙をついて、

ボードを返して波に乗っていった。

タイタスが乗り、俺が乗る。

または俺が先に乗り、

タイタスが降下する。

そんな無言の真剣なるセッションだった。

https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/12307

昨日のカイポの教えは、

今日になっても色あせるどころか、

さらにフォームを固めてくれたようで、

波面に岩でも出てこないと転ばないぞ、

という自信にもなっていた。

人間、思い込みが怖いというが、

俺はそれをいい方向に使っていた。

統治者タイタスが、

美しいエレガントなスタイルで乗るその極限壁斜面を

『王の波』

と表現してみると、

それがぴったりのようで悦に入ってしまった。

そんなことを考えていると、

北東オフショアだった向きが、

東寄りに動きを変え、

波面をグレさせてきた。

ここで使った「グレ」は、

「愚連隊」のグレであり、

ここまでの文体へ対しての単語としての品位にかけるが、

あの波面の荒れ方にはどんぴしゃりの表現ではないか、

と自惚れながらタイプした。(笑)

波に品がなくなると、

こちらの身の危険が増加するので、

次のセット波を無事に滑り降り、

そのまま岸に上がる。

岸から見る波は、

風による凹凸がそこまでの距離によってノックダウンされて、

あいかわらず美しく映っていた。

2010_NH_Johhny_V3299

肋骨ジョニーはまた波を見に来ていて、

「ものすごくいい波なのだ」

と力なく、クヤシサビシク俺に言った。

R0020506

穴の開いたボードを真水で良く洗い、

タオルで水を吸わせてサビタの後で乾かす。

R0020507

思ったのが、

こんな大きな大穴が前足の下、

それも片側だけ開いていたのに、

実際は高速滑走する波でも、

その違いを感じられなかった。

というか、

上がってくるまでこの穴のことを忘れていました。

あの波も、この波もこの状態で乗っていたのですね。

R0020503

こういう話をすると、

憤慨した読者から

「ああ書かれてしまうと、

チャンネルもコンケイブ、

またはボンザーもいらないと言われた気がしました」

「シェイプは関係ないのですか?」

といくつものメールが届くのだろうが、

気づかなかったのは事実ですから、

送ってこないでくださいね。(笑)

厳密に言えば、

穴が開いていると多少の抵抗はあるのだろうが、

それだからワイプアウトしてしまったり、

「そこまでターンに影響があるというものではない」

とよくわかった。

余談だが、

市議会議員候補のブルース・プリーの奥さんは、

「ステッカーがボトムに貼ってあると遅くなるのよ、知ってた?」

という持論を曲げないことで知られているが、

このセッションを彼女に見せたらどう思うのだろうか?

「そんなに抵抗が嫌ならまずリーシュを細くしなさい」

とブルースは言ったそうだが、

本人は平面抵抗に執着しているようであります。

そんなことを思い出しながら、

修理前の予備作業をしていた。

上機嫌のタイタスが上がってきた。

生死を共にした(俺だけがそう考えているようだが)盟友であるので、

笑顔を彼に向けると、

「ナキ、お前はグレイトスタイルだブラッ!」

と言ってくれた。

そんな彼からの予期もしない言葉を受けて、

天に召されるような気持ちになりながら

「ありがとう。アロハ!」

と答えると、

「バナナを食べるか?こちらに来なさい」

と彼のトラックに呼び寄せられ、

バナナを一緒に食べながら

「今日の波は1970年以来の美しい角度と掘れ方だったから、

そうすると40年ぶりの波になるんだぞ」

「うわあ、そんなにですか」

「そうだブラ、昔はさらにすごい波だったのだよ」

「そんなに変わりましたか」

「ハリケーンが来て、沖の石の位置が動いてしまったのだ」

と少しの昔話と、

最近のノースハワイの色々を話して別れた、

彼は三日月湾出身の大波マスターとして知られているが、

そこに戻るのだろう。

タイタス、ありがとうございます。

でもよく考えると、

昨日のカイポの教えがあったから俺は彼と同じような波になんとか乗ることができ、

それもあって彼が俺に話しかけてくれたのだと思うと、

それらは円くつながったようで、

「映画の忘れられない1シーン」

のようにこころに刻まれたのです。

2010_NH_V2539

満たされた俺はしばし車内で放心し、

ややあってからサビタをさらにゆっくりと走らせて戻る。

ハイウエイもガラガラで、

アメリカ不景気のあおりを受けて、

観光客も少ないように思える。

オフィスに戻ると、

『三日月湾でシャークアタック』

という新聞記事があった。

被害者はジムというサーファーで、

それを真横で目撃したレスリーという女性によると、

沖に浮いていたらジムの横に車2台分くらいの大きな波紋が浮かび、

ジムとロングボードはそこから突然姿を消した。

レスリーは悲鳴を上げながら

「ヘルプ?!!」

と叫んだらジムだけが海面に浮かんできた。

当のジムはいきなり海の中に引きずり込まれ、

目を開けたらボードに大鮫が噛みついていて、

海中でリーシュを外し、

パニックになりながら浮かび上がると、

なんと無傷だった。

少し経ってからボードが浮かび、

ライフガードがそれを回収すると、

歯形がついていて、

その歯の幅が1.25″(3.175cm)あり、

そこから割り出された鮫の大きさは、

なんと14フィート(4.26メートル)の凶暴なタイガーシャークで、

推定体重1トンというのだから恐ろしすぎる。

前出したライフガードは、

「死ななかったのは本当に奇跡的で、

傷がひとつもないのはものすごい」

とその生還を讃えたという。

これも自然、むき出しの海なんですね。

ノースハワイでサーフするのはやはり命がけです。

しかもタイタスのお里での事件でした。

弊社自慢の(笑)毎日変わるトップコマを見ていたら、

コールの秘蔵っ子であるライアン・カールソンの

Kerrupt flipがアップされていた。

特筆すべきは、

ライアンがこの技をロッキーポイント(岬)で決めたところだ。

南カリフォルニアのサーファーが、

ノースショアの硬い斜面でサーフするだけでも容易ではないのに、

その上、このエアリアルをメイクしてしまうとは…。

と恐れ入ったのです。

まあ、詳しくは下のリンクをご覧ください。

http://www.youtube.com/watch?v=FKNkIipRjnc

D先輩はこれを見てどう思われるのだろうか?

日本は、「最後の冬日」予報だそうですね。

きんちゃんは

「風が変わるのは午後かなあ??」

と言いながらオンショア波に向かいました。

明日からはようやくホワイトハウスも小さくなるということで、

ひさしぶりに生きた心地のするサーフィングをしてきます。

今日にありがとう。

すべてに感謝です。

もうすぐゴールデンウイークですね。

今日もNAKISURFにお越しくださってありがとうございます。

CIAO!