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naki's blog

Donavon’s travels ードナヴァン旅行記(2002年、1622文字、短編です)

昔の写真をさがしていたら、

8年も前のこんなコラム原稿が出てきたんです。

今日はちょっと忙しくて、

なんだかやたらバタバタしているんです。

だからこの原稿を使ってしまいますね。

そんなときに投稿されるこのコラムの内容は少し昔の話で、

この頃は俺もドノヴァンもカリフォルニアに住んでいて、

ーーまだノースハワイに越そうという芽も発芽していない頃の話。

サンチャイルドが解散したり、

NRSSの起点があったり、

https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/4140

彼の結婚がいつ頃だったのかがここからわかった。

よろしければドーゾ。

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[2002年トランスワールド誌コラム連載より抜粋]

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Donavon’s travels ードナヴァン旅行記

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ーーフウイヌムらは、

けっして彼らの持つ美徳を誇ることはしない。

それはちょうど我らが、

両足、両腕がそろっているからといって、

まさかそれを自慢しないのと同じだーー

1727年4月レミュエル・ガリヴァ(ガリヴァ旅行記著者)

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「オレゴンのバーチベイまで、

ティム・カレン達と波乗りしにいかないか?」

とドノバンに誘われた。

マップクエストで調べてみると、

そこはカナダとの国境で、

ここサンクレメンテからおよそ2000kmだった。

その長い、

北までへの距離をぼんやりと想像していたらエレン・コーミケンが突然遊びにきた。

「車を見てくれ」

と勇んでいるので外へ出ると、

フロリダ州プレートの車が停めてあり、

彼の住むニューサマリナビーチから丸一週間かけて車でやってきたという。

トリップメーターで計った走行距離が片道2600マイル、

これはキロメートルに換算すると4160kmである。

アメリカとはなんと広い国で、

それをたやすく横断した眼前の友人に改めて感服。

新婚のドノバンはラグナビーチ裏手のラグナ峡谷に新居を購入し、

スピリチュアルな生活をスタートさせた。

庭は裏山と直結しており、

手つかずの大自然そのままの景色がそこにはある。

夕刻頃、ワインを一緒に飲んでいると、

鹿が斜面から顔を出し、鷹が飛んできた。

そんな彼らしい空間を手に入れたドノバンは、

長年主宰してきた「サンチャイルド」を解散してソロ活動を開始。

全く新しいコンセプトである「フィンレス」に今朝乗ってご満悦だ。

それはスケッグなしのサーフボードで、

彼はそれに流し乗り、

グリーンゴールドのバレルに包まれていた。

彼独特のーー1970年代風なシャツ、

パンツに後から縫い付けられたスポンサーのタグ、

薄い色のレトロなサングラス、

1950年式のハーレー、持たない時計。

一向に直さないサーフボードの傷と溶けるようなアコースティックギターの音色、

そしてカーステレオ、しかもカセットに入りっぱなしのジム・モリソンのアルバム。

これら全てがドノバンの味であり、

彼から吹き出てくる心地よい微風(そよかぜ)だ。

「ナチュラルであること」を身上にし、

流れるように生きてきた彼は、

どうやら新しいスタート地点に立っている。

その瞳には強い光、

深い色があり、

自由な行動を支え、

常に何かを発見している。

波があり、

「風」という空気が流れ動く現象が存在しない日があった。

俺たちはいつものシークレットブレイクに出かけ、

干潮のリーフの間を縫いながらシングルフィンのボードを波面に傾けていた。

いくつかの深いバレル、

クローズアウトした白波、

ペリカンやイルカが俺たちを通り過ぎていった。

波壁がグリーンからゴールドオレンジと変化した頃、

彼は「SUN」を指でキャプチャーしてみせた。

2002年、ドノバン・フランケンレイターのオデッセイ(放蕩/冒険)には、

あふれるほどの燃料と、

ゴールまでの強い心、優雅な光が満ちている。

(了、4/24/02)

Donavon Capture

8年も前に書いたものなんですね。

なんだかあっという間です。

今日もすばらしい日をお過ごしくださいね。

いつもNAKISURFに来てくださってありがとうございます。

明日またお会いしましょう!