
Cosmos Surfboards TheOne6’4” Groovy Fins Twinzer Shape, Design and glass by @hiroyuki_maeda
前回は、
ここにバックドア・シュートアウトのことを書いた。
すると、
その主役のひとりである堀口真平くんから感謝のメッセージが届いた。
彼はあのイベントに出場し、
バックドアのバレルをメイクした主役の一人だ。
私の書いた文脈は、
真意は間違っていなかったのだと祝杯を上げた。
春となり、
海がにぎやかになった。
「夏日」
はかなりの確率で予測できるらしく、
多くのサーファーがやってきた。
サーファー・スタイルにもいろいろあるが、
多く見られるのが『コンテスト崇拝型』だろうか。
WSLなどの順位が気になり、
ターンやムーブメントを極めようとしている。
次は、
『そのコンテスト系にルール&マナーは寄りつつ、
進歩はあまり望んでいない』
そんな人たちだ。
狙いのサーフ・ブレイクは波情報の点数で決め、
上達はあまり望んでいないが、
見た目は大切で、
同調を善しとし、
多くの人が使うものを好む傾向にあるようだ。
市場調査でもわかるのだが、
人気を重要視する傾向があるようで、
競技こそがピナクル(トップ、頂点)だと思いこみつつ、
辛い修練などはしないというスタイルだ。
私は競技派からソウル系、
つまりフリーサーフという水域に転向した。
競わずに楽しむことをモットーとしている。
よって、
古式ボードの難度も受け入れるし、
多様さにも目を向けている。
少人数という環境を得るべく、
無名スポットに向かい、
独自のターン&トリムを展開し、
目指すサーフィン道を邁進(まいしん)している。
閑話。
日本にいまも伝わる仏教は、
空海が唐国から持ち帰った密教によって転換期となった。
その骨格のひとつに
「三密(さん-みつ)」
というパワフルな定義がある。
これこそがサーフィン世界を明確に表現しているので、
ここに紹介したい。
要点は、
身密、
口密、
意密という三世界だ。
空海によると、
身体と言葉、
そして心ですべてが成り立っており、
この境地を感得すると、
宇宙と自己が一体化するというので、
このことをサーフィンに置きかえてみた。
波に乗るアクション=身密
言霊に代表される波動思想という創造=口密
波という森羅万象=宇宙の法則=意密
私たちは、この3つの理法によって生きている。
のみならず、
宇宙もそうあり続けている。
とすると、
この世界=理法を知ることによって、
進むべき道の方向が見いだせるはずだ。
サーフィンもひとつの宗教であるとすると、
愉楽だけではなく、
苦闘があり、
もちろんその果てもある。
修練場である各サーフ・スポットは、
混沌とした多神教の場なのだ。
このことを念頭におけば、
私たちはどんな思想であろうと、
お互いにうまくいくのではないかと気づいた。
いまは宗教の押しつけみたいなのがあるから軋轢(あつれき)が生じている。
この不和はサーフィンには不要なものだろう。
だが、
人生修練という観点から見ると、
こういったものは常に障壁として存在するのかもしれない。
そこで、
ジェンダーフリー、
ジェンダーレスという言葉が定着したように、
サーフィン界でも違う派を敬って尊敬すれば、
よりすばらしいサーフ世界になるのではないだろうか?
そんなことを春の、
美しい日にしたためてみた。
(了、2024/04/12)