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naki's blog

ルール優先か、マナー重視か?_(2632文字)

こんにちは、

波、まだあります。

ちょっと昔に書いたのが出てきたので、

夏の終わりに整理するためにもポストしておきます。

下の写真はセンターズで、

緑色ボードのジェリーが前乗りをしている証拠写真。(笑)

これは前にも書いたけど、

ジェリーはワイメア高校の数学教師でして、博識で聡明な人です。

この後、彼が上がってきたので、

世間話をしながらカメラのプレビュー画面でこの写真を見せると。

「ああ…」と左手をおでこに当てて、上を向いて笑った。

「これはね、その以前に彼に波を2本譲ったのですよ。

それなら次の波は、いよいよ私の番だと思うわけでしょ、

でも彼はまた奥から乗ってきましたから、

いいや、と思って乗ったのですよ」

「なるほど」

「みんなで楽しもうとサーフしているのだから、

“時には競争心は捨てて楽しみましょう”

と彼に説いたらすぐに理解してくれましたよ。はっはー!」

と、彼は波を乗る位置ではなく、順番ということに焦点を当てていた。

俺も同じ意見で、

*ピークの奥から行くのが好き

*ピークから行くことに全てをかけている

*ショルダーからふんわりと乗りたい

*泡波からでもいい

または、

*沖で浮きながら水平線を見ていたい

というサーファーたちのそれぞれの好みがあります。

ルールでは奥から来る人が優先ですが、

俺は順番ということも重視します。

つまり、奥であろうとなかろうと、

それぞれの好みに合わせて乗っていければいいのです。

なによりもルール優先にしてしまうと、

サーファーたちは奥へ奥へと入り込みすぎ、

「波を抜ける」

という挑戦だけのセッションとなってしまいますよね。

実際にキンチャンズでもよくこのようなことが起きていて、

楽しく、

ご自分の好きな位置から波に乗っていく巨匠の後ろに回り込み、

得意気に乗っていくサーファーがいます。

こんなことが日本でのセッションでありました。

その日は満潮いっぱいで波数が1ー2本程度と少なく、

でも人も少なく、文筆家の岸さん、そして岩上さん、

そして顔見知りのラーメン屋さんと俺だけだったので、

のんびりと、懐かしき波でセッションをしていた。

セットが入ると、

いつも乗っていくのはラーメン屋さんだけだったので、

みんながちょっぴり嫌な気持ちになっていた。

それでも和やかにセッションは進み、

終盤セットが入り、一本目がエクセレント系で、

それに例によってラーメン屋さんがテイクオフしていくのを見て、

俺と岸さんは顔を見合わせ、

ルーシーにやられたチャーリー・ブラウンの気持ちとなりながらも、

次の波があるように祈って波を越えようとしたら、

ラーメン屋さんは、その掘れすぎた壁にテイクオフをあきらめていた…。

「もったいない」

と思いながら沖を見ると、祈りが通じたのか、

次の波が来ていた。

それに乗ろうとして、岸さんを見ると、

「行きなよ、船木、良い位置だよ!」

と譲ってくださったので、迷わずパドルを開始した。

その次の瞬間、一本目の波から戻ってきたラーメン屋さんが、

なんと俺の下でボードを返して、しかも奥側にぴったりくっついて、

この波にも乗ってこようとしている。

「まさか…」と自分の目を疑い、

でもこれはどんなことをしてもテイクオフを実行しようと決意し、

パドルを続けて、テイクオフする瞬間に聞こえたのは、

「ヘイ!」という大声。

「とほほー」

とベイル(失速)させ、

これには乗っていかなかったけど、

「あれはひどいよねー」と岸さん。

ラーメン屋さんはそのまま上がってしまった。

彼はいい人なんですけど、

ずっと昔から波取りに関してはそうなので、

今度会ったら俺の気持ちをお伝えしたいが、

忘れてしまいそうなのでここに書き留めておきます。

これがマナーとルールのバランスが悪い典型でしょうか。

「この人よりも奥側に入ればいい」

と思うのですが、俺たちが奥に入ると、

この人はさらに奥に来るので同じなんです。

ふー。

話が戻って、

一本乗ったら次は譲って、というような視界の広さと、

「この人はずっと乗っていないから乗せてあげよう」

という観察眼でラインアップにいると、

みんなが楽しくサーフできて、

すばらしいセッションはさらに高まるのでしょう。

こんな話ついでにもうひとつ。

昨年の夏の闘牛岬で、俺とカイルでサーフしたときのこと。

沖に行ったら先客がいたので、

あいさつし、まずは一本波に乗った。

長い波なので、

ずいぶんと乗って、それから長い時間をかけて沖に戻ると、

先きほどの人はまだ乗っていなかった。

セットが入ってきて、奥にいた俺はパドルを始めたが、

その彼がショルダー側からパドルをするが見えたので譲ったら、

その人は何かが気に入らなかったようで、乗らずにそこに残ってしまった。

次の波が来て、また同様なことになった。

「なぜ乗らないのだ?」

3本目の波が来ていたので、今度は動かずにその波を見送った。

セットが去り、その彼はまだそこに残っていた。

しばし静かになった。

次のセットがきた。

一本目の波で先ほどと同じことをしたのだが、

なかなか乗っていかないので、

2本目の波に乗ったら、

彼はなんと、

この波にテイクオフしてきてしまった。

それでも紳士的に

彼に追いつく前に後ろからキックアウト(プルアウト)して、

沖に浮かんでいると、背中から怒声が聞こえた。

「お前、俺が待っていたのがわからないのか!」と。

何がなんだかわからない俺。

もめ事とめんどうなことが嫌なので、

謝ることはないと感じながらも、

「SORRY」と言って離れていった。

それでもまだ彼は後ろから怒声を続けている。

近くにいて一部始終を見ていたカイル鞠黒が見かね、

「俺の友だちが何をしたのか?」

と怒りの彼に質問をしていた。

彼は「俺の波を取っていった」

と言い張ったので、カイルは呆れて、

「アナタ、マジデ、キチガイ」

と日本語で言い、

「行こう、行こう、向こうに行こう」

俺たちはピークをさらに奥に移動して、

そのわけがわからないトラブルから逃げた。

後日、その人が他の人と同様にトラブルを起こし、

それはひどい喧嘩となったと聞きました。

どこにでも問題の種を植えて、

水まきしようとする人はいるものです。

これを書いたのは、

例えあなたが広いこころで共有とか、

楽しさ、幸せを与える気持ちで他人と接しても、

全く伝わらないときがあるので、

それにめげないでということです。

今日はこんなトピックでした。

サーフィンはひとりでやるものだが、

人は、波を共有することもできるものです。

それではまた明日。