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naki's blog

風の音を聞いたか?_(1538文字)

こんにちは、

先週日本を通過した台風崩れの低気圧からの北北西うねりが届いていて、

奇しくも今年最初の北うねりとなったノースハワイ。

うねりの向きが違うが、ホワイトハウスをチェックすると、

しっかりとしたうねりが届いていた。

しかも全く無人。

ちょうどキャンバスのミニノーズライダーTYPE2を積んでいたので、

カイラに

「3本だけ乗ってくるから写真を撮ってね」

とパドルアウトして、

ひさしぶりの硬い斜面を滑ってきた。

風を受けながらテイクオフ。

風を切り裂いてドロップしていくのはひさしぶりの超感覚だ。

およそ25ノットのトレードウインドがすごかった。

こちらの日中では、普通の風だけど、

沖で受けると、とんでもないほど強く、

そして重く、意志があるような空気の壁だった。

カリフォルニアではここまで強風が吹かないので、

やはりその波乗りと、

この波乗りは似ていて異なるモノだと実感した。

さてさて、

クリスチャン・ワックが絶賛するミニノーズライダーTYPE2だけど、

俺はそこまで乗り込んでいずに、

あまりボードデザインについて突っ込んだ話はできないでいた。

https://www.nakisurf.com/brand/canvas/detail-mini-noserider2.html

でも切り返しの鋭さ、

テイクオフの安定性、

さらには取り回しの良さはショートボード界の革命となるのかもしれない、

などとミニノーズライダーブームから派生して、

いわばスピンアウトモデルのようなサーフボードのすごさを感じていた。

ひとりはさびしいので、

「誰か来ないかな」

遠くの陸を見ているが、車すら通ってはいなかった。

前は誰もやっていないときにパドルアウトしてくるのは、

パパジョニーだけだったが、

その彼はすでにこの世にはいない。

http://blog.nakisurf.com/naki/archives/25689

さて、

本日はセットでオーバーヘッドくらいだったのに、

それはそれは大きなうねりがやってきた。

かなり沖の棚で波を待っていた俺は、

自分の目を疑ってしまった。

その波はスローモーションのように俺の10mほど手前で切り立ち、

そして3メートル手前ぐらいで切っ先を海面めがけてたたき付けた。

あまりの大きさと、

予期せぬ波壁に怯んだ俺はボードを放して潜ろうと思ったが、

リーシュをしていなかったことに気づき、

できる限り深くダックダイブした。

インパクトの圧力というか爆発を背中で感じ、

そのまま縦回りに3回転し、

波底付近でボードを握りしめたまま、

足から浮かび上がろうとしていた。

テイルを足払いし、ノーズを上に向けて浮上を始め、

ややあってから浮かび上がり、

「ヒュー」と、安堵と歓声の混合比半分程度の声を出した。

それからそのサイズの波は二度とやってこなかったけど、

沖に浮かぶ島だからこそ、

倍サイズ、三倍サイズの波が突然、

しかも一本だけ来たりするのですね。

少し経ってからその大波のことについて考えていたが、

あれはパパジョニーが俺に向けて、

「ワハハ、NAKIに大波を喰らわせるのだ」

と、ふざけて届けてくれた魔法の波だったのかな?

そんなことを考えていた。

ノアとアニーが、

「happy glide」を見て大喜びしていた。

やはり自分が載っているとうれしいものです。

ランチはローストビーフと、

アボカド、トマト、モッツァレラチーズ、

焼き茄子のサンドイッチをリビングフーズ・マートで。

粗食のようなそうでないような。

誰もいないハイウエイ。

遠くを走る車の音が聞こえなくなると、

鳥の羽ばたく音が聞こえ、それすらもしなくなったら、

風の音が聞こえた。

そして虹が出た。

これはパパジョニーの虹なのかもしれないな、

と思い、カメラを出すと、

それはふわりと消えていった。

そして風の音だけが残った。