鳥になった夢を見ていた。
どこまでも高く飛んで、
そして急降下して、
また上に飛び上がる繰り返し。
楽しく、
自由で、
幸せだった。
目覚めると、
どうしたことか、
耐えられないほどに腰が痛く、
どうやっても起き上がれないほどで、
30分くらいかけて立ち上がった。
ゆっくりと歩きながら仕事やミーティングをこなして、
夕方となったのだが、
どうも波乗りすることはできなさそうで、
でも海に行きたくてフォードアーズまで向かった。
いつもよりも10倍は重く感じるカメラを持って、
夕陽写真を撮ろうとすると、
北側に不思議な感覚を感じた。
望遠レンズを向けると、
こんな美しいショットを得た。
ああ、
なんてかっこいいのだろうか。
加齢してもサーファーはこうでないといけない、
元気をもらうことになった。
海に来て良かった。
ペリカンだったり、
夕陽に浮かび上がるシルエットを撮っていたら、
先ほど夕陽に浮かび上がった人が波に乗った。
「ジョン大先生だ!」
俺はようやくこの人がジョン・ペックだということに気づいた。
ジョンは正真正銘の伝説のサーファーだ。
彼が17歳のとき、
当時のサーフボードでは「不可能」
とされていたバックサイド・パイプラインを攻略し、
その名を世界に知らしめた。
ボードの外側のレイルを掴むことによって、
”バンザイパイプライン”とされていたドロップインで、
ボードと体を離さない
ーー今でも重要なーー
テクニックを編み出したのがジョンなんです。
(ドラグラではエンゲッツと表記)
ジョンは俺が生まれる二年も前にこんな波にチャージしていたのか。
彼と初めて会ったのはノースハワイのソフトサンドリーフ。
全くくじけず、
あきらめず、
ものすごいガッツで沖に出て、
そしてそれは見事な波を乗られていったのが昨日のようだ。
岬波に2本だけ乗って上がってくると、
それは見事な夕陽空となった。
かなり神々しい。
ジョンはヨガマスターと聞いているけど、
まさにそんな気がしました。
ボードを自慢の愛車の上に積み上げ、
夕陽を見ながら着替える至福。
ジョンはいったい幾度、
海上がりの夕陽を見てきたのだろうか?
今日の陽が沈んでいく。
太陽に焦点を合わせると、
それは美しいグリーンフラッシュが現れた。
不思議な日です。
昨日登場したベルエアのロージーとも友だちらしく、
しばし波乗り話をしていた。
みんなつながっているのですね。
陽が落ちてからあいさつに行くと、
「おお、ひさしぶりだね。
私たちはポリハレ(ソフトサンドの別名)で会いました」
と思い出してくれた。
さらにすごいのが、
ジョンが俺の腰痛を見抜いたこと。
「ナキ、(体の)後ろが痛くないかい?」
「どうしてわかるのですか?」
「むー私が治してあげよう」
「そんなことができるのですか?」
「大丈夫、
スピリチュアルには不可能なんかない」
「おお!」
「そこにお腹を下にして横になりなさい」
「はい」
「息を大きく吸って、
そしてゆっくりと吐き出しなさい」
首から腰に向けて順に指が背中に入っていく。
「ここだな」
バキ!
「治ったよ」
「WOW本当です!手が温かくなりました。
痛みがなくなりました」
「そうだろう、
かなりひっかかっていたからな」
「そうだったのですね」
「もう少し細かいところも治そうか」
「お願いします」
と20分くらい俺の体を見てくださった。
「ナキ、
あなたに触れていると、
鳥の夢を今朝見たことを思い出すことになった」
「ぼくもです!」
「お前のクランは鳥だろうか」
「よくそう言われます」
「今日は鳥を助けてあげようとしていたら、
お前が現れたのでそんな気がしていたんだ」
「でもどうして背中の痛みがわかったのですか?
こんなに痛いのは16年ぶりなんですよ」
「さあ、どうしてだろうかね」
「禅問答みたいです」
「世の中はわからないことだらけだよ」
「そうなんですね」
「でもこうして偶然に会えて、
それは意味があることだと思うのだよ」
「はい、また一緒にサーフしてください」
「そうだね。
11月まではカリフォルニアにいるから、
また一緒に時間を過ごそうではないか」
そうやって俺の体を治して去っていったジョン。
今でもこのことは、
不思議すぎることだけど、
サーフィンって宇宙的だから、
極めていくとジョン大先生みたいな人も現れるのですね。
一生懸命、
そして素朴にしっかりと生きようと思った。
ジョン大先生、
ご健勝でなによりです。
みなさんもすばらしい週末をお迎えください。
今日もお越しくださってありがとうございました。
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Happy Surfing!!
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