波が小さいと、
散歩をするように波に乗りに行くことがある。
顔も濡らさず、
もちろん髪も乾いたままで沖まで出られた。
見渡す限りのそら。
柔らかい海。
層となった黄昏が、
その色彩を微妙に変えていく。
そよ風の小さな合唱。
「波に乗りたかったのではなく、
この景色が見たかったのかもしれない」
そんな気持ちを見透かすように美しい波がやってきた。
この波には迫力も威力も、
険しさもないけど、こんな斜面に乗って、
ゆるやかに進む幸福感。
こんな世界に包まれた今日。
明日はどんな夢を見るのだろうか。
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