日本でサーフィング、
いや波乗りをしていた頃は、
ロングボードとショートボードの境界線というか、
隔てるもの、壁のようなものを持っていた。
あちらはロング。
こちらはショートボード。
一緒にサーフトリップに行ってもブレイクが違うし、
同じ場所でサーフしたとしても沖と岸側で波待ちするので、
やはり場所が違う。
一緒にサーフしていて、
会話ができない距離で波を待てないのはちょっぴりつまらない。
今思うのは、
そのときなぜ自分はロングボードに乗らなかったのだろうか?
ということ。
なんだか悔やまれる。
やはり壁だったのだと思う。
かたくなに自分はショートボードに乗っていた。
乗らなくてはいけない。
そんなことだけで小波だろうが、
どんな波も短いボードだけが波乗り世界だった。
https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/53262
先日(上のリンク日)、
石田さんがすばらしいことを言っていた。
「ショートボードはロックだが、
ロングボードはそういうものではない」
そのことを深く聞いてみたくなり、
もう少し質問すると、
「ショートって技術が大事だったりするじゃないですか。
でもロングって魂で乗るものだと思うのです」
「なるほど」
「だからロングに乗っていて、
技重視の人が滑稽に見えるのはそういうことなんです」
ふむふむ。
ロングの楽しさって、
そんなフリースタイルみたいなことでもありますね。
ただ、ロングは重い大きいという利点欠点があり、
ミッドレングスという中間サイズが出現した。
(私はこの世界に没頭しています)
それまでは、
「エッグシェイプ」
または「エボリューション」
というモデル名に代表されるショートボードより少し長くてノーズが丸い、
という初心者が乗るようなボードしかなかった気がする。
自分はロングボードに乗らなかったことは前出したが、
その定義は9フィート以上ということだという。
「9フィートって誰が決めたの?」
詳しい人にそう聞いても、
「そういう決まりなんだよ」
「ナット・ヤングがね…ぼそぼそ」
そんな答えが返ってくるだろう。
なので、自分にとっては8’8″だろうが、
8’0″だろうが浮力があるのをログ、
またはロングボードとして乗り、
それ以外はミッドレングスとしている。
もちろん波によってなのだが、
これがおもしろく、
「干潮小波のときはロングかログ以外乗りたくはない」
と断言できるほど、
“小波 X 大きなボード”は波を楽しめることに優れている。
逆に波が掘れて、サイズがあって、
リップバキバキ、バレルグリングリンのときは、
ショート、ミニガン、そしてミニボードしか乗りたくはない。
その中間だったり、
それをまたいでいるのがミッドレングス。
そんな仕分けになってきた。
もちろん逆というのもある。
まだ大波でログを乗ったことはないが、
試練だろうと思う。
ここまでつらつらと書いてみたが、
コラムのような字数になってきたのでまとめます。
ロングもショートも同じサーフボードだけど、
長さとフォルムが違うと、
世界が変わり、滑りが変わり、
偏見が出現したり、隔てるものが現れたのだと思う。
千葉一ノ宮に
『キラキラ』という私命名の超マイナーなブレイクがあります。
それはテトラ群の後の再生波で、
つまり波が一度テトラの横や後で崩れて、
その反射が合わさって再び波となる特異なるブレイク。
このテトラ位置がいいのか、
地形が良かったのかは不明だが、
かなりの頻度でスペシャルなAフレームという三角波を形成し、
それはどこまでも完璧な波となっていた。
ただそのキラキラはスネサイズあるかないか。
メインというか外海というか、テトラの外は胸サイズ。
だからここは無人。
ノーマーク。
誰も見もしないし、気にもしていなかった。
波が続く距離がすばらしく、
メインがワンセクションでだいたい10mくらいなのに対して、
その再生波はゆうに30mは乗ることができる。
ただショートボードだと、
テイクオフすることはできない弱い波。
で、NAKISURFレンタルから10フィートのログを持ち出した私は、
その無人のキラキラで楽しめるだけ楽しみました。
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10年くらい前からカリフォルニア、オーストラリアで、
ショートもロングも隔てなく乗るブームがやってきた。
そこに出現したのが、タイラー・ウオーレン、
スコッティ・ストップニック、ハリソン・ローチ、
アレックス・ノスト、クリスチャン・ワックの一味。
彼らはゴルフクラブのように波に合わせて、
さまざまなボードに乗る。
フィンがあるもの、ないものまでの選択肢まで増えてきた。
そして若いサーファーたちにとってもそれが憧れであり、
必須事項となってきたように思える。
最近ではアンディ・ニエブレス、
コーリー・コーラピントたちの、
360エアからハングテンまでのバリエーションが次世代ムーブだろうか。
カリフォルニアの、
またはオーストラリアの小波から良波まで余すところなく楽しむには、
ボードの選択肢を拡げる必要があるように思える。
そんなことを最近思っていたのでここに書いてみました。
おしまい。
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下の動画はクリスちゃんの新作で、
ロングボードのおもしろさとすばらしさが端的に表現されていると思う。
昔のこういった動画は時間をかけて作り込んで、
思想やスタイルをじっくりと入れていたけど、
最近のはすぐに作ることができるからこうしたインスピレーションで撮って、
しかもGoProを使って自分だけで撮って、
その夜に編集して翌日にはこうして公開してくる。
こうして見ると、ハンテンはもちろん、
ハングヒールも簡単に見えます。
フィンファーストは必見ですぞ。
わかったのは、ボードが動かないというか、
静に徹しているということです。
正解はここにあったのですね。
私にとってはサーフィングの新しい魅力です。
クリスちゃん、導いてくれてありがとう。
New View from Canvas Surfboards on Vimeo.
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