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naki's blog

[大切なテクニック編]ダックダイブ不要論_ボードの浮力重要説_(2726文字)

NAKIさん_0005

photo by Yasuma Miura

写真を撮られる人には、

私はこう見えているのですね。

スクリーンショット 2015-02-05 15.15.10

立春も過ぎ、満月も欠けてきました。

そんな春の入り口の日に、

中級者の入り口にさしかかっている人と話をしていた。

その人は、

ダックダイブのためにサーフボードの浮力を調節していたと聞き、

瞬間的にそれは違うのではないかと思った。

じつは私は『ダックダイブ不要論』を掲げているので、

きっと話す相手を間違えたともいえる。

もちろんショートボードならレイルの上に両手を置くだけで、

スルリと沈んでしまうからそんなことは気にしなくても良いだろう。

(ちなみに日本では、ダックダイブのことをドルフィンスルーと言う。

かわいくて、なかなか良い翻訳だと思う)

巷では『適正』だとされるショートボードの少ない浮力、

というか、プロと同じ浮力を求める流行がまだ続いているが、

いつも

「たったそれだけの浮力で波に乗ることができますか?」

と感じている。

その浮力だと、

波に乗って波のフェイスを滑ることはできるが、

泡になったら失速して、

ライディングが終わってしまっているのではないか?

またはテイクオフの際に角度が付きすぎて、

墜落していないだろうか、

セクションの中に入っていける挙動は確保できているのだろうか?

確かに減浮力のボードだと細かいターンというか、

どんなことをしても曲がるので、

それをターンだと曲解しているのではないだろうか。

日本でサーファーたちを見る度にいつもそんなことを思ってしまう。

これはそれぞれのサーファーの勝手であるから、

そんなことを気にする私が間違っているのだろう。

穏便に生きていくには、

こういうことに関与してはいけないことも知っている。

けれど、せっかくサーフィング世界に足を踏み入れてくれて、

ウエットとボードを手に入れて、

大切な時間を使ってまで海に来て、

さらには冷たい海の上に漕ぎ出して、

波に乗っていることを楽しんでいるのだから、

できればさらに楽しんでもらいたい、

そう思うのであります。

さて、ダックダイブ。

なぜダックダイブにそこまで焦点が当たるのだろうか?

聞いてみると、

「沖に出るのが楽だから」

「戻されて後ろの人に迷惑かけてはいけないと思って」

そんな答えが返ってきた。

ダックダイブは確かに重要であります。

けど、ハワイの波、

イナリーズやホワイトハウスでは、

ダックダイブをしないことが多い。

つまりはインパクトゾーンでそんなことをすると、

肩が外れるか、手首等を骨折してしまうだろう。

実際に屈強なハワイアンが、

そのイナリーズのインパクトでダックダイブをしたら、

大腿骨を骨折したことを目の当たりにした。

じゃあ、どうすれば良いのか。

王道は、

「ダックダイブする場所に行かない」

これに尽きる。

そして2番目に

「波が来ない、または来づらいところからパドルアウトする」

ということだろう。

そうすれば乗ってくるサーファーと接触する機会も減るから、

マナーの点でも間違っていないと思う。

3番目は

「セット波が終わるのを待つ」

慌てても結果は同じだったりするし、

沖に早く出られたからって、

すぐに波がやってくるとは限らない。

ダックダイブ。

これが最適なのは波が崩れる瞬間。

ボードを沈めて波の裏側に突き抜ける。

でもこれはダックダイブをしなくてもできる。

パドリングでスピードを付けて、

顎を引き、体をボードに密着させて、

波の真ん中よりちょっぴり上に向かってノーズを突き刺し、

両手でレイルを押さえれば、

12フィートサイズのログでも簡単にできるだろう。

次に波がちょうど崩れてしまうときは、

前出の波の中に刺せるタイミングであれば、

前進し、もしインパクトの下に入りそうならば停止、

または後進、つまりバックすればいい。

そして泡がやってきたらノーズを浮かして波の上を越える、

またはノーズを12時の方向、

つまり天頂に向けたまま背中から波を受けたらいいと思う。

インパクトゾーンでなかったらそこまでの衝撃はやってこないだろう。

それだけ。

ここからが重要で、

波から外れたら、0.1秒でも早くパドリングの姿勢となり、

泡になっている層を早く強く漕ぎ、

その浅いエリアを最速で抜け出して沖に向かうようにしましょう。

もし次の波も同様であるのなら、

前か後ろか、または停止かの判断をしていきます。

波がブレイクしているときは、

たいてい横にチャンネルがあるはずなので、

そのチャンネルの方向にパドリングをするのも良いでしょう。

そうやっていると、

たいてい何本かの波をやり過ごすと、

水平線が見えるはずです。

そうしたら全力で沖に向かってください。

こんな時に息切れしたり、

腕が上がらなくなったりする人は、

そうならないように普段の食生活を見直したり、

体力作りをしてみましょう。

これだけで、

ダックダイブ不要の、

純粋に自分が乗りたい浮力のサーフボードに乗ることができるのです。

それでは後ろに人がいるときはどうするかと言いますと、

「人がたくさんいるところでサーフしない」

これに尽きます。

少人数のセッションのすばらしさは、

サーフセッションの中でも最高峰とされています。

有名ブレイクに入らないだけでも空いてますし、

ちょっと面倒で時間もかかりますが、

駐車場から離れたブレイクまで行ってサーフする方がハピネスで有益です。

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こうすることにより、

ロングとかショートの分け隔てというか、

差別がない状態で波に乗ることに向き合えます。

私もそうだったのですが、

ショートからミッドレングスやログという浮力のあるボードに乗ると、

その大きい浮力に振り回されます。

けれど、それもすぐに慣れます。

これは練習とか鍛錬ではなく、

時間と経験が解決するものだとわかってきました。

逆にログやロングからミッドレングスに乗り換える人は、

背中の反りを気にしてみてください。

ロング出身者で短いボードに乗れない人の多くが、

背中を反らせられないことを発見しました。

具体的にはなるべくノーズ寄りに胸を乗せ、

顎を持ち上げて、

それでもノーズダイブしてしまうときは、

膝と腿(もも)に力を入れてボードのテイル側を押さえます。

さらには体幹も気にしてグラグラしないようにしてみましょう。

これを繰り返して、

慣れたころにはさまざまなボードに乗れるようになり、

今まで感じられなかったサーフィングの事象や、

それまでは入りたくなかった小波が楽しくなり、

または乗ったこともないほど大きな波に乗れるようになるのです。

どこかから流行ってしまったサーフボードの均一的な浮力思想、

つまりは偽適正浮力から抜け出せる2015年、

いや春としてみてください。

それではKeep on Surfing!

佳い週末をお迎えください。