【2012年私ブログより加筆し再録】
『CL』
こんな言葉がサーフボードの数字に登場した。
CLはキュービック・リットルの略で、
これは「平方リットル」という意味だそう。
自動車のエンジンでは”CC”、
その総体積を排気立方センチメートルインチで表現している。
例えばトヨタ・ヴィッツ なら、
1300CCなので、1.3CLとなります。
CLはサーフボードの体積の数字。
以前は水槽に水を張って、
サーフボードを沈めて体積を求めていた。
コンピュータシェイプが出現し、
簡単にわかるので普及しはじめたようだ。
ただ、
コンピュータシェイプの素材からシェイパーたちは、
レイルを削いだり、コンケイブをつけたりするので、
ほとんどのサーフボードは、
あくまでも参考体積ということになる。
さて、最近ブレイクしたCOLE製のミニボード、
BD3のサイズは、
5’0″x 20-1/4″x 2-5/8″ だが、
この体積を調べてみると、30CL前後とわかった。
で、俺は「30CLがいいのだ」とずっと思っていたが、
先日乗って、
マジック認定したポンパドール・ラウンドが25CL、
最高傑作認定のプレイング・マンティス5’4″も
たった25CLしかないことを知った。
さらに見ていくと、
俺にとってはオーバーフロートのAVISOグラスホッパー
5’7″ x 19-1/2″ x 2-5/16″は27.5CLで、
それでも30CLには足りずに、
とすると、
BD3-5’0″=30CLというのは違うのではないか、
そんなことを感じるようになった。
そこで、コールとライアンを訪ねて、
この疑問に答えてもらうことにした。
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立方体 – s3( s は一辺の長さ)
直方体 – lwh (奥行き l, 幅 w, 高さ h )
円柱 – πr2h(底円の半径 r, 高さ h )
球 – 4πr3 / 3(球の半径 r )
円錐 – πr2h / 3
(底円の半径 r, 高さ h )
角柱 – Ah(底面の面積 A, 高さ h )
コンピュータシェイプに精通しているライアンは、
「そうなんだよ。
体積の数字だけを追っていくと、そういうことが起きえるんだ」
「それでは、体積はあまり関係ないということなの?」
「そうではなくて、長さ、
つまりボードの全長に関係しているんだよ」
「というと?」
「ボードが長いと揚力が上がるから、
必要な体積が少なくていいのさ」
「とすると、短いボードがより大きな体積を必要とし、
長いボードは少ない体積で同様の性能となる。
長さと、推奨体積が反比例しているということだね」
「そうなのです」
コールもライアンと同様な意見で、
彼はロッカーについても言及していた。
「“掘れた波に対応できるようにロッカーを強く”
という要望を受けるんだけど、
ロッカーを上げてもそれには対応できないことはわかるだろ?」
「はい、ロッカーがありすぎると推進力が弱まるので、
逆に降りていかなくなります」
「そうなんだ。それではテイルロッカーはどう考える?」
「少しあった方がテイクオフには有利な気がするけど、
あまり気にしていませんでした」
「そうなんだよ。ノーズロッカーとテイルロッカーは連動していて、
体積についても同様で、増やすとこうなる。
減らすとこうなるという明確な目的がないといけないんだ」
「そうなんですね」
「多くのサーファーはより浮力があるボードを欲しがる。
同時にコントロールしやすいより少ない浮力も求められる。
どこかで線を引くか、またはおおよそ中立というところで、
サーフボードを考えてくれると、マジックボードになりやすいんだ」
「浮力もマジックボードに関係ありますものね」
「そうなんだ。浮力は個人差があって、
体重110kgの俺のマジックボードにNAKIが乗ったらどうなる?」
「乗れることは乗れるけど、マジックボードとはなり得ません」
「そういうこと。そういえば、NAKISURFの
レッキンボールのストックボードの幅を全て変えさせてもらったけど、
あれは理解しているでしょう?」
「はい。長さに対しての幅が足りなかった、と」
「そうなんだ。あのサイズはキャノンボールならよく走るけど、
レッキンボールやBDのテンプレートでは細すぎるんだ」
「サイズにも黄金比率があるとコールは考えるわけですね」
「もちろんだ、長さ、幅、厚みというたった3つのファクターだからこそ、
その特定の黄金サイズというのは存在しているんだよ」
「だからストックボードをオーダーするときにそのサイズに注視しているのですね」
「そう、全てのサイズの和ということはとても大事なことなんだよ」
サーフボード、やたらと奥が深いです。
□
「お〜!けえってたんかぉ〜」(帰ってきていたのか?)
そんな房州弁で迎えられた千葉勝浦。
ビームス美術館、
つまりトーキョーカルチャートさんで行われていた個展の撤収が終わり、
サーフモードで千葉に戻ってくると、
やたらと波があったのはいいのだが、
サイドオンショアとなる冬の季節風である北東が吹き荒れていた。
なぜここまで波があるかと思い、天気図を見てみた。
熱帯低気圧が発達して台風10号となった。
これにはライオンロックと名付けられ、
この時期には珍しい気流とは珍しく、西向きに進路を取っている。
これはきっと日本の北にある高気圧(1028hPa)があるので、
北上できないのであろう。
名前が勇ましいので、どうか被害が少なく、
願わくば、この渇水を解消し、波良くあって、
漁や行楽もできて、
サーファーたちの記憶にこのライオンロックを刻んで欲しいと願う。
で、千葉の私たち。
昨日の午後からとても良い波に乗りました。
最初は腰くらいの波だったので、
キャッチサーフでふわふわとやっていたのですが、
熱帯低気圧が台風となろうとし、
がんばっているときだったからか、ぐんぐんとサイズが上がっていった。
こちらは元弊社グライドアテンダント(GA)池田潤ちゃんの弟さん。
ちょうど亀山ダムで家族キャンプ中に53cmのバスをゲットし、
一息ついた直後にこの波の噂を聞きつけ、
スポンジボードでやってきてウナクネ級の滑走を見せていた。
さすがのマンハッタンビーチのエルポート仕込みの波乗りでありました。
博士は、 その昔の丸井プロを思い返し、
「あのさー、このくらいの時化(しけ)のとき、 トム・カレンがボディサーフをしていたね」
とか、
ブラッドリー・ガーラックが女装していたこと、
勝浦の国際武道大学付近にあった大盛り中華『黒帯』での洗面器サイズの1kg焼飯や、
部原の名店レストラン『ストリーマー』のハンバーグの味。
ウエットスーツのプロモーションで、
変人ニッキー・ウッドがサインしたがらず、
代わりに代理店スタッフが彼のサインを書いているのが見つかり激怒されたこと、
さらには舗装されていなかった昔の駐車料金の詐欺徴収し続けたニセ職員、
そんな30年前のことを思い返されていた。
しかしこの後、
博士が注文した大麦牛100%ハンバーグの
(604kcal / 塩分3.8g / 脂質42.8g / 食物繊維4.2g)
黒ニンニクソースがそのよく焼けた鉄板にはねて、
彼の一張羅の白Tシャツに確かな模様を付ける惨事となったが、
この写真はその前の平和だった瞬間を物語っている。
写真は真実を写す。(大げさですね)
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今日も長くなりましたが、
これからNAKISURF千葉ショールームにおいて、
私たちの私物と、弊社デッドストック、
下取り後の商品群を集めたフリーマーケットを開催します。
●千葉ショールーム & オフィス(ニコリン寨)
千葉県長生郡一宮町一ノ宮2777-2
TEL:0475-47-2619
ここではサーフボードが1000円から、
トラベルボードケースも500円からという値段設定です。
パワーバランスのつかみ取りもあるので、
お子さまからマニアまでお楽しみいただけます。
それでは今日も安全に幸せな日となりますように!
Have a wonderful day!!
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