こんにちは、
美しい月曜日になりましたか?
こちらは先週の大波によって、
鞠黒(マリグロ)リーフの地形が史上最高となり、
それをカイル鞠黒、長老フレちゃん、
そして俺の三人だけで楽しみました。
波はと言いますと、
まるで自分たちで「こうしてみよう!」、
「またはこうしてみれば?」
と楽しく言い合いながら創ったようなパーフェクト波でした。
サイズは頭半くらいで、
北西うねりと南うねりが同率程度で混ざりあい、
腰くらいの深さの砂州に乗り上げると、
それがバレルとなるといった次第で、
結果「人生で一番良いビーチブレイク日」
となったのです。
俺たちが三時間サーフし、
弱いオンショアになったことをこれ幸いと、
へとへとになって帰った後もカイルは一人で入り続け、
首と脇がスレすぎて出血するまでサーフしたんだそう。
カイルも「このサイズではここ数年で一番良かったな。
もうそんな日はないだろうから今日からサーフィンは休む」
と、燃え尽きてしまったようだ。
波質は全てが二段掘れのピーキー、
昔風に言うと「三角波」で、
あまりにも完璧すぎて、
ピークから行くと水が集まりすぎて降りられず、
「バックドア」というスタイルで、
それは波の後側からテイクオフし、
バレルを後側からくぐり走り抜けるという波だった。
どうしてこんなにまん丸になるのか?
というほど円いバレルで、硬い斜面も相まって、
高速滑走の『ワンライン』を集めたら佃煮にできるほど乗れた。
おかげでものすごいワイプアウトも三発もしてしまい、背中が痛い。
一本は航空機墜落みたいな感覚で、
波のトップから吹き飛ばされてボトムの波の根めがけて叩きつけられた。
なぜか怪我がなかったのが不思議だが、
その無理矢理の根性をカイルに見せたおかげで、
『ゼロ・ファイター(零戦)』
というありがたくないニックネームを授かった。(笑)
とにかく無事に駐車場まで戻ってきて、
フレちゃんに「おい、せっかくだから生きている証拠を撮っておこうな」
と冗談を言われた。
まあ、それほどのワイプアウトだったのです。(涙)
鞠黒リーフはこの駐車場から1kmほど砂浜を歩いていく場所。
朝カイルに電話で起こされたということは昨日書いたが、
「ヘイ、目を覚ませ、いいか、良く聞けよ、
鞠黒リーフだぜ、ヒュー・ベイビー!
もし来なかったら一生口をきかないからな」
と大興奮で脅迫電話をかけてきて、
すでに単独先発でサーフしていたのだが、
その彼のいる場所はここからだと逆光なのと、
角度的に波はよく見えずに「やれやれ」と、
ルーシーにやられたチャーリー・ブラウンのようにカメラを持たずに向かったのだが、
到着が近づくにつれ波が見えてくるのだが、
すばらしい波の数々で、
『ああカメラを持ってくればよかった」
と深く悔やんだことを思い出した。
先ほどサイズは頭半と書いたが、
大きなのはダブルちょいくらいあって、
これは少し深いサンドバーでブレイクするため、
普通の波風に崩れる。
それをテイクオフし、そのインサイドの二段掘れに合わせてバレルインするわけだが、
こちらは余裕があって、「テイルの足の位置」とか、
「肩の入り方」なんかを確認することができるので、
大きいのもおもしろかったことを付け加えておきます。
バレルにいっぱい入ることができると、
いろいろ試すことがあって、
そんな試行錯誤な後半セッション中に、
ものすごい波がきて、しかも俺に向かってテイクオフのスイートスポットが迫ってきた。
そのバレルこそが全くの無音となり、『ホワイトサウンド』という超状態となり、
波乗りから宇宙を感じることとなったのです。
.
ホワイトサウンド?
と、話が跳躍しちゃっているので、
ここで補足しておきますね。
(そういえば少し昔に『超訳』というでたらめノベルズがありましたね。
これは関係ありませんが。。)
このホワイトサウンドというのは、
「バレル内で無音となること」
ということに名が付けれらているのです。
9年前に初めて体験して、
それに驚いてシエィ(・ロペス)と、
ティムという大波乗りに「音が消えたんだよ!バレルの中で」
と伝えると、
「NAKIそれはね?」
と冷静に親切に教えてもらった言葉と事象なのです。
それに大きく深く感動し、
そのことを当時連載していた雑誌のコラムに書いたので、
もしかしたら知っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
.
バレル内って、音が大きく、
どちらかというと轟音なのだが、
なぜ無音となるのだろうか?
これは俺の推定の域を出ないのだけど、
バレル内で空気が急速に圧縮するのと、
壁、天井が随時閉じていくので、
轟音の反響がある一定の量と位相位置になると、
無音となるのかもしれない、と考えている。
波乗り、サーフィングって何十年やっても深いです。
他のスポーツ、武道と同じようにそこまで到達しないと出現しないことってありますよね。
「ボールが止まって見えた」
とは打撃の神様、川上哲治さんだけど、
イチローさんもそんな感覚でボールを打っているときがあるのだろうし、
アンディ・アイアンズやケリー・スレーターたちも、
同様に波が止まっているように感じているのかもしれない。
そして、あまり言葉や文章になっていない、
究極の波乗り事象みたいなこともまだまだ多いのだろう。
そんな世界に足を踏み入れて、10年に一回というホワイトサウンドを再び体験したことに
不思議な巡り合わせと、継続することの意義を感じたのです。
□
「いい波のお祝いにイシハラに行こうぜ!」
と上気したフレちゃんに大きく同意する。
これはアクレという鰺の仲間。
カルパッチョとかお刺身でおいしいお魚です。
休日なのでデリはお休みということで、
ショーケースから選びました。
ニギリスシ、
ターキーロール、
ソーメン・サラダ、
カリフォルニア・ロール、
あなたならどれを選びますか?
うどん好きの俺は乾物コーナーに行き、
フラ印のウドンを発見しました。
おいしいのかなあ?
関係ないけど、これはマウイ島で見つけたルアー。
俺が釣った魚より大きいサイズのルアーで何を釣るのでしょうか?
ハワイは何かとスケールが違います。
松方弘樹さんがクロマグロを釣り上げたニュースをふと思い出しました。
□
マウイ島の続きを少し。
ハレアカラ山の頂上まで行ってきました。
「ここは海抜3055mの山で、
海洋底から測ると、9053mとなり、
これがエベレストより高い山となっているのですよ」
と案内看板には書いてありました。
飛行機から見たときに雲から突き出していた山がありましたが、
それがハレアカラだったのかな?
頂上付近にある全長11kmに渡るクレーター。
あたかも月面着陸した気になってきた。
雲の遙か上まで登ってきています。
半神半人マウイの神話を少し読むと、
物語は現実を超越した世界が拡がっていました。
マウイの奇跡の生誕劇(母によって、海に流されてしまう)
と成長を経て、魔力を授けられた彼は、
人々の暮らしに役立つ工芸を伝え、
16本の足だったという太陽を制し、
火を治めるといった活躍をしました。
マウイの最後は、
死の女神ヒネヌイ・テ・ポを退治しようとして逆に殺されてしまいました。
(ヒネヌイ・テ・ポがニクいです)
というものです。
ここハレアカラで読むと本当のようなお話に感じるのですよ。
さて、このクレーターには底なしの穴『ルア・オ・カアヴァ』がある。
この深さは数kmとされていて、さらには
「火山の底の海底に通じている」という説もあって、
昔のハワイアンは、ここまで登山し、遺体を埋葬しにきていたという。
それも数百年間も埋葬し続けていたのだから、
きっとものすごい数の遺体がこの底に眠っているというわけですね。
この話を読んで思ったのが、ここハレアカラは「聖地」だということで、
そんな不思議なパワースポットに立っているだけで奮い立つような気持ちになりました。
山頂は寒く、ありったけの服とスカーフの俺。
ジャケットを着ている人もいれば、
Tシャツだけの人もいました。
そうだ、これはMILSOLビーニーのサンプルなんですよ。
(業務連絡:リリーちゃん、年明けには発表できますか?)
とても珍しい高山植物のシルバーソード
(silver sword、銀剣草)もしっかりとありました。
本当にシルバーに光っていて、これも宇宙的だなあ。
「ふわり」とした気持ちのまま下山して、
ファーマーズマーケットに行くと、
レインボーパパイヤとストロベリーパパイヤが売られていた。
共に三個で$2.50(約220円=一個73円)。
おいしそう。
味の違いがよくわからないけど、
いいネーミングだとこのパパイヤ群を褒め称え、
ピカピカのトマトもパシャリ。
「RUBY’Sというダイナーに行きたいの」
と、カイラにしては珍しく要望を言うので行ってきました。
赤、白、銀、旧いポスターの店内に真っ赤なミニスカートをはいたウエイトレス。
ジュークボックスからはオールデイズの曲。
各テーブルには色とりどりのミルクシェイクが置かれ、
ここは若い子の場所かと思うと、
老人カップルやおじいさんが一人でハンバーガーをぱくついていたり、
これがアメリカの昔ながらの食堂=ダイナーレストランなのだろう。
(ダイナーの意味は食堂車であるらしい)
合板のテーブルが絢爛に塗られていて、
ここは虚飾と虚構まるだしなのだが、
これこそがアメリカの象徴なのかもしれない、
と逆にうっとりしてしまった。
その1960年代のアメリカングラフィティ世界そのままの店内で、
俺はベジタブルスープを注文し、
カイラはハンバーガーとレモネード。
普段こういうものを与えていないので、
旅先では食べたくなるのかな?
夜10時半着の便ーーハワイアン航空創立80年記念機で、
ノースハワイ島まで乗り継いで帰ってきたのでありました。
そういえば、
その記念日に乗り合わせてギフトをいただいていたのです。
https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/8227
□
気づいたらもう4000字を越えてしまっている。
「おい、お前のブログ長すぎるんだよ。
老眼には読みづらいから短くな」
とDセンパイに言われ、
それはブラウザの「表示」→「ズーム」として、
文字の大きさを大きくするばいいのですよ。
と伝えたのですが、
「ん、ブラウザって何だ?」
ということで、なかなかむずかしいですね。
今日はマウイにまつわる伝説、神話を掲載してみましたが、
そこにはとても興味深く、そして「もしかしたら?」
という驚きに満ちた世界が拡がっていました。
日本の昔も「祈る国」だったと伝え聞いています。
最近は海に入る前には、
「怪我をしませんように、無事にここに戻ってこられますように」
とお祈りしてから入っています。
おかげで強い波に巻かれても無傷ですよ。
(いまのところ、ですが)
陰陽両儀から四象となり、
そして八卦となったように
世の中とは不思議な力で満ちているような気がしてきました。
みなさんは最近何にお祈りしましたか?
祈る社会というのもなんだかいいなあ、って少し思いました。
私はもちろん宗教家ではありませんが、
世の中がもっとやさしく、こころが豊かになればいいな、
と感じています。
(昔は一切そんなことを思わなかったのに、
加齢するというのは不思議ですね)
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