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naki's blog

【特大号】伊豆下田波3日目_ター師範と奇跡のアッチー_(3456文字)

伊豆3日目。

まだ波があって、

ここに住むサーファーたちが口を揃えて、

「さすが」
「狙いが良い」

そんなことを言うが、

これもたまたまの偶然で、

これもまた青龍寺のブルードラゴン、

奄美大島のグリーンドラゴン、

そして鎌倉は妙本寺つながりのドラゴンのご縁での伊豆。

自分でびっくり。

さて、

昨日は朝に行くと、

ターさんこと土屋高弘さんがパドルアウトするところだった。

ターさんは、

大浜のおいしいプレートランチ屋さん併設のギャラリー

『オンザビーチ』のオーナーでもあります。

これはなんという幸運かと、

彼の沖に出るルートを虚空二郎求聞持法で修行した。

あそこは右、

そして左、その岩横からはまっすぐで、

今でもこの地図を書けるほど暗記した。

この波を愛するターさんによると、

ここの全ての岩には名前が付いていて、

それぞれ新小林とか、八龍という。

その岩の沖でブレイクする世界的な波。

激速だったり、

超が付くほどパーフェクトだったりもする。

後述するアッチーくんによると、

「ここはですね、南うねりが最高で、
開いていくバレルになるのですが、
今回のは東うねりです」

「そうなんだね」

「でもじつはこの東うねりの寄って、
入ってくるバレルの方がぼくは好きですけどね」

そう付け足した。

寄って入る波とは、

波の内側の向かって曲がる波のことを言う。

つまり

「波パワーがサーファーに向かってくる」

ということ。

反意語は「開く」だけど、

これは波パワーが進行方向に移動していくので、

はまるといいのだが、

そのパワーゾーンを外すと、

突然失速してしまうピーキーな特性を持ちます。

さて、この寄ってくる、

パワーを自分に向かって放たれる波を前にして、

ターさんは勇敢で、

そして的確で、信念の人だった。

美しいボトムターン、

トップではツインの敏捷性を活かし、

的確に加重し、瞬時に最速まで持っていく。

キックアウト(プルアウト)も常にボードは体の下に入れ、

それはすばらしいサーフィンを披露してくれた。

もう一度書くが、

彼はプロサーファーではなく、

プロの写真家である。

昔から日本の写真家で1番サーフィンが上手なのは、

伊豆のターさんだと聞こえていたが、

彼は今もその存在と奇跡を守っているようであった。

日本でここまで完成されたサーファーを見るのは珍しく、

これも伊豆下田というありとあらゆる波が織りなす魔法と、

そして寒い日も辛い日もという、

たゆまぬ努力の日々の結実なのであります。

「伊豆下田が磨いた宝石」

グレイトサーファーは世にも多くいるけど、

彼もまたそのジンブツ帳に強く名が刻まれるのでありました。

左がターさんで、

右がアッチーくんこと今村厚プロ。

二人は、

こうして伊豆中の波の良いところで、

波乗りの深み、極みを求めて今日も、

きっと明日もノーズを落とし、

レイルを傾けているのであろう。

どパーフェクトのライト。

バックサイド。

アッチーはきっとこう言うだろう。

「自分の位置とシフトがきっちり合いませんでしたけど、

自分の順番なので行きました」

でもこちらから見ると、

楽勝
最高

そんなレイトテイクオフを敢行したアッチ—。

波壁では激速のダウンザライン、

クリッピングだったり、

カービングの位置をそれぞれ調整し、

リップにボードをヒットさせていく。

よくHow toとかで、

ボトムターンからのヒッティングのメカニズムを説明しているけど、

そうではなく、波乗りはテイクオフからの定食。

ご飯だけでも、おかずだけが良くても、

さらには汁物もおいしくなくてはなりません。

わかりずらいか。(笑)

では、車のドライブと同じで、

「安全で、ときに速く、しかし減速も良く、
駐車の仕方(プルアウト)も完璧に」

そんなことを語るように滑降していった。

さすがであります。

アッチ—くんとは、

私がまだ20代の頃にPSAAというアメリカプロツアーに参戦するために、

一緒にカリフォルニアに行ったりした。

前々回の伊豆でも、

そして大嵐の伊豆でも突然一人で登場するので、

私にとっては彼は「良波不動明王」に見えている。

まだ30歳代だと思っていたら、

「やめてくださいよ、船木くんとあまり変わらない歳です」

「そうだっけ?」

「47歳です」という。

でもサーフィンがメインのライフスタイルも真剣に続けていると、

ここまで若く、

そしてグレイトサーファーであり続けられる典型のようであった。

Nation The Connector 6’5″

VEKTOR side bite fins + 6″ Center

.

アッチーくんとターさんのすごいのが、

こうしてじっくり波乗りを見てくれること。

つまりふたりは、

私と同様なほどの波乗り研究家で、

彼らとはいつもすばらしいセッションとなる。

ビハインドピークから入ってみた。

波がめくれるところは、

ピークよりも奥から入った方がテイクオフの成功率が高い。

それにしてもこの水色、

エメラルドブルーの波壁。

絶句するほど美しかった。

さて、

話が少し戻りますが、

私もありとあらゆる師範から「見て学べ」と教わりました。

私はまたもやNATIONコネクター6’5″に乗ったので、

ミッドレングスの魅力を伊豆のサーファーに伝えられたかもしれない。

初日は

「どうやって降りたらいいのかわかりません」

それほどまでにナッキーを怖れさせた切り立つ波だった。

しかも砂を巻き上げる浅い水深におののき、

横にいるサーファーが丸太同様、

何も出来ず真っ逆さまに奈落の底に落ちていくようなワイプアウトを見た。

けれど、彼女の何十回目かの墜落の際に会得したのは、

「決意」
「パドルを止めない」

ということで、

数回に1度くらいはなんとかテイクオフできるようになり、

さらにはターさんの力の抜けた、

それでいて高速という滑走に瞠目し、

そのリズムで波に乗っていた。

Catch Surf Odysea® x JOB Pro 6’6″

Special VEKTOR Trailer Fins

.

キャッチサーフのシックスシックスであります。

いわゆるJOBのスキッパーフィッシュに、

バックドアシュートアウトのJOBを想い、

さらにはケイト・マツオカの12ポイントや、

さらにあれもこれもと想いを馳せるのでありました。

さらに彼女は昨日、

前出のアッチーくんの170%出力パドルを見て、

「私は全力でパドルしていたと思っていたけど、
50%くらいでしか漕いでいませんでした。
パドリングであれほどまで強く漕げるサーファーになりたい」

そんな明星が170%降ってきて、

最後にはこのテイル過加重キックアウトも会得していた。

意識を持てば、波乗りが変わる典型ですね。

アッチー先生と、

ター師範の伝えた忘れられない伊豆下田。

波乗り後、タンクに入れた温泉をたっぷりとかぶり、

『ポカポカ陽気の子守歌』

という歌詞を得ながらウエットスーツを脱いでいると、

近所に家を購入された野村さんが自転車でやってきた。

「船木くん、これからどうするの?」

「アッチーくんのところに行ってご飯を食べようかと」

「うわ、それ行きたいなあ〜!」

ではではと、

自転車の野村さんの先導で向かったのは、

白浜神社正面の『IRIE』さん。

前出のアッチーさんのサーフカフェ+です。

こんなメニュー。

セセリの唐揚げなんてのもあり、

これに感動したのが野村さん。

「俺、飲んじゃおうかな。歩いて帰れるし」

「家も近いし最高じゃないですか。せっかくの休日ですから」

「そうだよね」

そう迷うのは、

最近彼が飲み過ぎであるらしく、

けれどこのメニューと一緒にビールが、

しかもスーパードライが欲しくなられたようだ。

私たちはセセリはもちろん、

モモもフレンチフライも、

さらにはサンドイッチまでいただいて大満足のランチでありました。

ありがとう!

IRIE coffee & sea

415-0012

静岡県下田市白浜1737

0558-36-4333

https://www.irie-shimoda.com/

彼が、

彼こそがアッチーくん。

伊豆を代表するひとりのプロサーファーであり、

こんなおいしいものを作る人になっていました。

びっくり。

こだわりのコーヒーもあり、

なんだかすごいことになっている白浜。

大満足の野村さんも交えて記念撮影すると、

お店のガラスに白浜神社の鳥居が映っていた。

ありがたい。

すばらしい神さまたちのいるところ。

伊豆下田にありがとう
グレイトサーファーたちにありがとう
そして信じられないほどの波にありがとう!

Happy Surfing!!