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naki's blog

「役者やのう」と猛烈にシゴかれたイナリーズ_ワンオフのAVISO!?_ティファニーで猛ダッシュ_(4444文字、中編です)

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こんにちは、

昨日から300度角で、ノースハワイに入ってきた西北西うねりは、

一番ブイの計測は「17ft@16秒」となり、

ジャイアントと呼ぶにふさわしい波を北海岸(ノースショア)に届けている。

しかしここ連日は風が悪く、

東海岸のカパア地区のみがオフショア。

だが、カパアには波という波は見えず、

うねりと風が同方向であることに唇を噛んでいた。

今日のブイ計測は昨日とほぼ同様。

風は「CALM(無風)」だと、

海軍情報で公布している。

夜明け前にホワイトハウスに駆けた。

しかし早朝の潮が多すぎるため、

朝一番のセッションを見送る。

昼前に潮が動いてからサーフしようと、

オフィスに戻ってきて業務をこなしていると、

10時過ぎにキリモミドロップの早川さんがノースショアからやってきた。

昨日日本から到着し、

彼の大好きなリリコイリーフか、

トムクンズ狙いということでこちら側(西)に来られたのだ。

リリコイの手前の河口波、

そしてダビッションズ、トムクンズと見ていくが、

サイズも小さいし、どうも良くない。

早川さんに「イナリーズに行きましょうよ」

と提案すると、

「えっ、でも日本で体を作っていないから、

ぼくなんかが入ったら溺れちゃいますよ」

と言うが、彼はイナリーズが3回目で、

去年は大きいのも乗っているから平気だと感じたので、

「早川さん、とりあえず波を見てみて、

もし大きすぎたら違うところで入りましょう」

と提案して、イナリーズまで砂浜をサビタでガタゴトと向かう。

近づくにつれ、イナリーズ風味というのか、

ロックンロールなバレルが姿を見せてきた。

「いやあ、これは乗れないでしょう」

という早川さんに

「大丈夫です。イナリーズ世界だとこれは腰サイズと言います」

と、きっぱりまじめな顔をして言うと、

「えー、嘘ですよー、あれは軽くダブルくらいはあるんじゃないかなぁ」

と早川さんが反論するのだが、

「とにかく入りましょうよ。きっと平気ですよ」

「そう?そうかなあ?」

と疑念だらけの早川さんを引き連れて、

カレント上流に向かって800mほど歩いてからパドルアウトした。


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岸から見ているとそんなでもなかったサイドカレントは、

パドルアウトしてみるとかなり強く、

時速2km程度で流れていた。

イナリーズのサイドカレントは有名で、

1本の波を待つ間に2km以上も流されてしまうこともある。

そんな時は上がって、砂浜をまた歩くか走るかして戻る。

こうして書いているとそんなにでもないが、

実際に一本だけの波を乗って2kmも歩くのは悔しいことこの上ない。

カイル鞠黒や長老フレちゃんたちがイナリーズを嫌うのはこのパートであり、

「あれは波乗りではなく、浜長歩きダゼ、

完全に俺の許容範囲を超えている」

と憎まれる「半端ではない流れ」が存在している。

イナリーズの真骨頂は、この流れがあるからこそなので、

流れにたわむように波は掘れ上がる。

沖に出るまでにセットを8本くらい、

インパクトでは2本喰らった。

ボードが逆側を向いたり、

海中ではどちらが海面かわからなくなるほど沈められ、

ボードの浮力を使って浮上していく。

そんなインパクトゾーンを越え進み、

ようやく深いところまで出ると、

すでに300mは流されていた。

全力パドルで戻ろうとするのだが、

現在地を保持するのが精一杯で、

向こうに駐車しておいたサビタがどんどんと近づいてくる。

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早川さんも

「すごいねー、こんなに流れるところでいつもやっているのですか??」

と驚いているので、

「流れるときはあそこ(かすんで見えない岬の先)まで歩いていって、

2本乗ると、

今度はあの大きな木

(前出の岬の反対側、こちらもかすんでほとんど見えない)

まで行っちゃうんですよ」

と教えると、早川さんは、

「ひゃー、本当にすごいところですね?」

と目を丸くしていた。

イナリーズ浜の距離をグーグルマップで計ると4km強あって、

これはサーフィングという距離ではなく、

中距離走に近いなあと感じながらいつも長い砂浜を歩く。

今日は2ラップし、浜を歩きながら

「せんせ(俺のこと)は、これをいつも独りでやっているんですね」

と呆れている。

「そうです。波乗道ですから」

「そうでした。ここは本部道場でしたね」

と、また無言で砂浜をざくざくと進んだ俺たち。

さて、イナリーズ波。

今日のサイズはそれほどではないが、

高さよりも深さがある分厚い圧縮系だった。

水の量が多く、

通常ならテイクオフできるはずのピークでも全くパドルが進まず、

もっともっと掘れ上がった位置からでないと、

波の中に入れないという厄介なコンディションだった。

これは猛烈なうねりが、イナリーズの沖、

深い水深から急激に浅くなるサンドバーにヒットし、

さらに前出した流れが作用してこうなっているのだろうが、

もはや「波斜面」というより、

「えぐれた崖」と形容した方がいい掘れ方だった。

早川さんもテイクオフすると、

そのまま吸い込まれて、

ボードだけ波の外に吐き出されていた。

少し経ってから浮かび上がり、

ボードをつかんで、何度もダックダイブして、

根性と気合いで沖に再び戻ってくるのだが、

「これじゃあ花の応援団のシゴキみたいですね」

と被虐的なワイプアウトに苦笑していた。

「でもこれはまだ薬痴寺先輩の

『役者やのう?』クラスで、もっと大きくなると、

青田赤道並の爆発力がありますから」

と【嗚呼!!花の応援団】マニアならではの話題で盛り上がる。(笑)

総括しますと、

掘れ上がった斜面に凄まれ、

放り投げられ、

叩きつけられ、

あげくの果ては砂浜を長距離走らされ、

という1970年代の武道部系鍛錬のようなセッションでした。

あまりの辛さに俺たちはトムクンズに行き、

「流れがない」

「波が普通の斜面だ」

ということに感動して、

もう1ラウンドを行い、

イシハラマートに行き、

「豆腐とほうれん草の煮物」

と「ご飯2スクープ」

をふたりで仲良く分けて食べて戻ってきました。

明日はどうなるのでしょうね。

カイル鞠黒から電話があり、

「今日はどこでサーフした?」

と聞かれ、「イナリーズ」

と答えると、

「あそこでやったのか」と驚いていた。

明日は北風だという予報で、北海岸は全滅予想なのです。

シゴキ系イナリーズか、はたまた極楽リリコイリーフか。

こればかりは明日になってみないとわかりませんね。

今日の標語です。

20100105_NAKISURF「また見る夢のために 波に乗っています。」

としてみました。

夢見がちな季節がそこまで来ていますね。

これは昨日、空港到着直後の早川さん。

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北海道のカズさんが必要として、

俺が見つけた「怪しい格安レンタカー屋」から

四駆のトラックを借りました。

「これなら旅行者には100%見えませんよ」

と言うと、

「本当ですね。こういうのに乗ってローカルのふりをしたかったのです」

と笑顔になった早川さん。

でも安かろう悪かろうで、

スーパーマーケットの駐車場でエンジンがかからなくなり、

すったもんだが昨夜あったことを補足しておきますね。

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下の写真はイナリーズでフィンをセッティングする早川さん。

去年から愛用しているピストル6’4″を今年も持ち込みました。

「日焼け前だから写真は撮らないでくださいね」

と言われながらも「大丈夫ですよ」とパシャリしました。

この笑顔はイナリーズに入る前ということを物語っています。(笑)

俺は今日もBD5 で、

「せんせは本当にこれで乗っているのですね」

と早川さんはしみじみ感銘してくれたが、

体重さえ合っていれば絶対に乗れるのですよ。

むしろ波のポケットに収まりやすいから、

長いボードではやりたくないのです。

みんな「大波=大きなボード」

というイメージが強いんだろうなあ。

好みということが一番大きいですね。

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下の写真はAVISO王子ニックが送ってきてくれた「改造BD3」。

何が違うのかと言いますと、

これにはシングルフィンボックスを装着してあり、

ボンザースタイルとすることが可能なのです。

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昨今のボンザーブームで、AVISOジョンがこれを試作として作り、

それをクリスちゃん(クリスチャン・ワック)が乗り、

現在ニックがテストしている。

そういえばフェラーリで『ワンオフ』という試みがあった。

ワンオフとは英語で「使い切り商品」を指していて、

この場合のワンオフは和製英語で、

「一度限りの製造品」を指しているという。

つまり、

「(フェラーリ社が)1台限りの車を顧客のために製造する」

というものすごいもので、

その1号車は日本人が注文した。

しかも50年以来というワンオフ第1号車は、

『Ferrari SP1』of the one-off.

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というもので、この写真がそのSP1なのです。

世界に一台の純正フェラーリ。

そんなことができるようになるとは思いもしなかったので、

興奮と動揺が入り交じった心境です。(笑)

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こういうことができる人には、

友人に一名心当たりがあり、

「もしかしたら」と思い、

後で聞いてみようとブログに戻ってきた。

で、ひらめいたのが、

「AVISOのワンオフがあったらどうだろうか?」

ということです。

「一本限りのボードのためにAVISO社が特別製作する」

という夢のボードがあったら、

その友人は間違いなく注文するのでしょうね。

明日にでもAVISOジョンに「ワンオフ」は可能かどうか、

もし可能な場合は納期値段等の詳細を聞いてみますね。

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SP1もいいけど、

「俺のワンオフ」サビタもなかなかですよ。

「本日も元気に走っています」

sabita

そういえば、

「ティファニー新宿三越アルコット店」で、

ダイヤモンドの指輪を指にはめたまま奪って逃げた。

という漫画みたいな強盗事件があり、

現場から走り去る犯人が映った防犯カメラの画像が公開されているが、

http://www.asahi.com/national/update/0106/TKY201001060152.html

これって、そのお金持ちの友人にそっくりだけど、

彼は強盗しながらスーパーカーに乗っているのでしょうか?

.

江戸っ子は、

「宵越しの銭は持たぬ」

という主義の人が多かったとされたが、

「鼠小僧次郎吉 (ねずみこぞうじろきち、1797-1832)

は、盗んだ金を庶民にばらまき、

「義賊」とされていた大泥棒だった」

と文献にはある。

2010年のジロキチは、

ティファニー宝飾店から盗み出したお金でフェラーリに乗るのだろうか。

それとも失業者に職を与えてくれるのだろうか?

そんな時事的なことを思いました。

今日は「波にも負けず、歩くことにも負けず」

という宮沢賢治の

「雨ニモマケズ/風ニモマケズ」的なサーフセッションでしたが、

みなさんもこんな修行みたいな日がありますよね。

稽古とか、鍛錬という味のある言葉もあるので、

「辛い波乗り時」のときにお使いくださいね。

今日もNAKISURFに、

そして俺のブログを読んでくださってありがとうございます。

寒波は弱まりましたか?