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【GW特別号】童話『銀河鉄道の夜』の波乗人解釈版_(2105文字)

何冊かの「銀河鉄道の夜」の本がある。

なぜそんなに同タイトルがあるかと言うと、

人生で二度目の

「銀河鉄道の夜ブーム」がやってきていて、

宮沢賢治マニアのタキビシと夜な夜な語り合っている。

「銀河鉄道の夜」は、

“違うバージョン”が存在していて、

それらの拡がりを探し集めている。

昭和44年に角川から文庫化された

『銀河鉄道の夜』の、

九章 ジョバンニの切

冒頭のシーンがこれ。

カムパネルラは、

その紙切れが何だったか待ちかねたというように急いでのぞきこみました。

ジョバンニも全く早く見たかったのです。

ところがそれはいちめん黒い唐草のような模様の中に、

おかしな十ばかりの字を印刷したもので、

だまって見ているとなんだかその中へ吸い込まれてしまうような気がするのでした。

すると鳥捕りが横からちらっとそれを見てあわてたように言いました。

「おや、こいつはたいしたもんですぜ。

こいつはもう、ほんとうの天上へさえ行ける切符だ。

天上どこじゃない、どこでもかってにあるける通行券です。

こいつをお持ちになれぁ、

なるほど、こんな不完全な幻想第四次の銀河鉄道なんか、

どこまででも行けるはずでさあ、あなた方たいしたもんですね」

「なんだかわかりません」

ジョバンニが赤くなって答えながら、

それをまたたたんでかくしに入れました。

そしてきまりが悪いのでカムパネルラと二人、

また窓の外をながめていましたが、

その鳥捕りの時々たいしたもんだというように、

ちらちらこっちを見ているのがぼんやりわかりました。

「もうじき鷲の停車場だよ」

カムパネルラが向こう岸の、

三つならんだ小さな青じろい三角標と、

地図とを見くらべて言いました。

この物語が書かれたのが、

1924年(初稿)で、

そのまま1931年まで推敲が繰り返されたとあった。

第4次稿で大幅な改訂があり、

ブルカニロ博士の研究時での夢ということではなくなってしまい、

さまざまなことが修正された理由は、

未定稿の、

遺稿(主に第三次稿)を元にしたから。

今に至ってもこの作品は未完成なのか、

または完成しすぎているのかは彼のみが知ることだが、

全ての章がとびぬけている。

真理、

友情、

生きるテーマとコトワリ(理)が描かれている。

そして「人」が常に感じ(てい)る不安。

1939(昭和14)年に十字屋書店が

「宮澤賢治全集 第三卷」を刊行。

旧字旧仮名作品が好きなのは、

当時の文体が感じられるからだろう。

「僕きつとまつすぐに進みます。きつとほんたうの幸福を求めます。」

ジヨバンニは力強く云ひました。

「ああではさよなら。これはさつきの切符です。」

博士は小さく折つた緑いろの紙を、

ジヨバンニのポケツトに入れました。

そしてもうそのかたちは天氣輪の柱の向うに見えなくなつてゐました。

昭和26年(1951)の岩波書店版は、

十字屋版と同様の表記だった。

けれど、

表記も文体も言語全て含めて宮沢賢治は、

「伝える」
「物語によって伝える」

そんなライフワークの集大成にこの作品を選び、

それぞれの章を一息に書き上げたのだろうと想像してみた。

物語は後半となる。

ジヨバンニはまつすぐに走つて丘をおりました。

そしてポケツトが大へん重くカチカチ鳴るのに氣がつきました。

林の中でとまつてそれをしらべて見ましたら、

あの緑いろのさつき夢の中でみたあやしい天の切符の中に、

大きな二枚の金貨が包んでありました。

「博士ありがたう、おつかさん。すぐ乳をもつて行きますよ。」

ジヨバンニは叫んでまた走りはじめました。

何かいろいろのものが一ぺんにジヨバンニの胸に集つて

何とも云へずかなしいやうな親しいやうな氣がするのでした。

琴の星がずうつと西の方へ移つてそしてまた夢のやうに足をのばしてゐました。

今回は宮沢賢治さんの作品を、

しかも90年も前の物語を

波乗りのシーンと一緒にこんな読み方をしてみました。

章の組み立てやいろいろについて諸説ありますが、

私の考えは、

「全て正しい」
「これでいいのだ」

というものです。

宮沢賢治さんは、

多くの人にこれを読んで欲しく、

童話として書いたのでしょう。

子どもから老人までを人が抱く

「生きる不安」
「生の哲学」
「表裏」
「双子性」
「宇宙」

を伝えたかったのだろう。

章もどんな形でも、

どんなバージョンでも真意は伝わるものだから。

さて、

使用した作品の説明ですが、

冒頭の「世界一の瓢箪ランプ」は、

Hyotan Magicのヒトシくん作。

2.

水温が温かく、

早速トランクスでサーフした。

かんたん二郎くんではないが、

「なんだ、全然寒くねー」

そんな感じでした。(笑)

気づいたのは、

二郎くんの名字が宮沢なので、

もしかすると宮沢賢治一族の末裔なのかもしれませんね。

3〜5.

全て昨日の大岐の浜です。

この美しい海を巡礼者が、

『同行二人(どうぎょう・ににん)』と傘に書いて歩いていく。

弘法大師と一緒に巡礼しているという意味だが、

まさしく修行僧そのものに映った。

自分もこうあらねばと、

波の表裏を見て、

さしてこの四国のそらを見ると、

宮沢賢治さんからのテーマが掲げられているのでありました。

Happy Surfing!!