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【ドラグラ・プロダクションズ】タヌ氏の任務_(2746文字)

タヌ星に住むタヌ氏は、諜報部員の職を得た。

無事に任務を達成して戻ってくると、

百万ループがもらえる仕事だった。

その額があれば、

生涯食べていくことができる高収入の職だ。

その任務とは、

「地球に行き、指示された場所に潜伏し、さまざまな情報を得てくる」

ということだった。

この情報を利用して、

バーチャル・ワールドを作り、

8G配信するというのが、

最近、

タヌ国で流行していることである。

地球はパリ、ニューヨーク、

南極、京都、ハワイが人気だったが、

情報過多のこのご時世、

多くの人がすぐに飽きてきてしまった。

今年の春に予見AIが弾き出したのは、

『ある国の、

海沿いの小さな街で、

サーファーたちのカルチャーおよび、

その特殊な波に乗る体験ができるゲーム』

ということだった。

タヌ氏には、

その製作に関わる重要な情報を得る任務が与えられた。

特殊な波に乗る。

波とはなんだ?

諜報部はタヌ氏をプロ・サーファーとして、

地球に派遣し、

タヌ氏視点での、

地や波の情報収集をするという任務を仰せつかった。

出発前に派手な服装を諜報部が用意してきた。

タヌ氏は、

英字でアルバと書かれたTシャツと、

ジミーZというロゴのウォークショーツを履いた。

そして、

嵐の日の夜中に有名サーフブレイクの街に降り立ったタヌ氏は、

あるベテランサーファーの家にAirbnbでルームシェアをすることにした。

そのベテラン・サーファーのサーフ・ヒストリーというか、

相当な量のコレクションという紹介ページが決め手だった。

チェック・インすると、

タヌ氏は、

そのベテラン・サーファーの蔵書に目を通すことから取りかかり、

波というものを、

サーフィンというものをしっかりと調べ始めた。

波に乗らねば、

プロ・サーファーではなく、

いつなんどき波に乗れとも言われかねないからだ。

さらには、

サーフィンにまつわるカルチャーや歴史を次々に学習していった。

次にサーフムービーの映像を見る。

わからないところはすっ飛ばし、

わかる範囲で見ていく。

少しすると、

わからないところもわかるようになった。

(スペルが違っている。正しくはArchboldだ)

タヌ氏は、

IQが250もあるのと、

タヌ公国では、

ものごとを理解するのに長けていると、

多くの国民に知られているほどの能力があった。

1か月もすると、

タヌ氏は波の仕組みと、

サーファーの名前をほとんど覚えてしまった。

ベテラン・サーファーには、

「サーフィン関係の小説を書くので」

と言ってあったので、

毎日、

一日中屋敷にいて学習していても何も怪しまれなかった。

バートン・リンチ、トム・キャロル

シェィン・ホラン、トム・カレン、デビッド・エガース。

スターフィンにステップデッキにディープ6チャンネル。

ただ、学習したのは、

ベテラン・サーファーが敬愛する1980年代のサーフVHSテープと、

同じ時代の蔵書だったので、

タヌ氏はサーファーとしては、

1980年代からタイム・スリップしてきた風体と中味になってしまった。

到着してから31日目の夕方、

タヌ氏は本物の独特の波を見るためにベテラン・サーファーと海に出掛けた。

堤防を降りると、サーファーが歩いてきた。

見知らぬサーファー「こんにちは」

タヌ「こんにちは、波はどうですか?」

見知らぬサーファー「トロアツのハラっすね〜」

タヌ氏は彼が何を言っているかわからなかったが、

ベテラン・サーファーの手前、

何かを返さなければと思い、

「ローラーコースター系ですか?」

そう聞いてみると、

相手も聞きづらかったようで、

わかったようなわからないような顔をして去っていった。

次にタヌ氏たちは波打ち際に行った。

そこはショア・ブレイクという場所で、

サーフィンではかなり危険な場所だと学習していた。

サーファーが乗っているのを見るが、

ピョコピョコとみんな変な乗り方をしている。

トム・カレンみたいなのはいないのかと、

辺りに目をめぐらせていると、

セット(たまに来る中〜大波群)がきた。

そこへちょうど、

RVCAのワールドツアーで来日していたアレックス・ノストが乗ったので、

タヌ氏は、

アレックスのことを少し古い1970年代のサーファーだと思った。

その波でアレックスが上がってきたので、

「君は1970年代のサーファーだね」

思った通りのことを言うと、

アレックスは、

「これは前衛的な実験なんだぜ」

と言いかえされてしまった。

タヌ氏はよくわからなかった。

満面の笑顔で返事のようなものを返した。

今度はクリスチャン・フレッチャーがやってきた。

タヌ氏は喜んだ。

「クリスチャン!ここであなたに会えるとは思ってみませんでした。

あなたが19歳のとき、

ローワーズで史上最大の賞金($31,725)を

数々のフロントサイドエアで得たことは忘れられません」

「ほうほう、詳しいね。ユーの名前は何というんだい」

「タヌです。ウェーブウォリアーズ3と4のセグメントも良すぎて、

ぼくはスターフィンを使わないと決意をしたほどです」

「スターフィン、懐かしいね。ヘヘー」

「ドライブはあるのですが、いかんせんキレが悪いですよ」

「へー、わかる男だねこいつは、仕事は何しているんだい?」

「プロ・サーファーで、サーフィンの小説を書いているのですよ」

ベテラン・サーファーもいるので、

プロサーファーということと、

小説家のダブルでウソをついた。

「へー、プロなんだ、明日一緒にサーフしようぜ」

「は、はい。。」

「明日は波長が長くなってくるから、

沖のバンクがダブルアップでゴーインオフするかもな」

「波長がダブルもあるのですか?」

「ん?」

だんだん話の辻褄があわなくなってきた。

タヌ氏は、

お腹が痛くなったふりをして、

その場を逃げ出した。

トイレの中で、

明日どのように海に行かない理由を付けようかと考えていた。

トイレから出てくると、

クリスチャンが横で水浴びをしていたので、

「明日はお不動(明王)さんの日だからさ。行けないんだよ」

そうやって断ると、

お不動という意味を知るわけもないクリスチャンは、

「何でもいいぜ。なあロー」

その言い放った方向を見やると、

ロー氏が立っているのだった。

ロー氏は、

タヌ星でタヌと同級で、

タヌが愉快ならロー氏はシニカル。

黒と白、

陰と陽の存在だった。

さらに言うと、

幼少の頃のタヌ氏にとっては、

ロー氏には、

論理的には絶対にかなわないIQ380の奇才だったからだ。

(続くのなら続く)

【予告編】

タヌ氏は誰もいないとき、

月夜の夜にぽんぽこりんと、

隠れてブーラブラとサーフィンの練習をしていた。

ある日タヌ氏は、

自身が乗ってきた宇宙船が壊れてしまい、

タヌ星と通信ができなくなったことを知る。

悩んで悩み抜いた末、

下した結論とは、

タヌーマンとして生きていくことだった。

感動巨編。