ノースハワイにホワイトハウスという伝説的なブレイクがあり、
このブレイクを愛する一人にマーク・ホワイトがいる。
彼は陶磁器製のルアーを考案し、
それを製作販売することで生計を立てていた。
釣り名人で、
ノアたちが彼にあこがれるほどの腕前だった。
当時70歳くらいだったのだろうか。
彼はその細い体で、
豪快なホワイトハウスの波をスルスルと乗っていく。
そのテイクオフの妙。
彼は特段パドリングスピードがあるわけでもないし、
ボードも細身の6フィート程度のスラスター。
「とすると、あのテイクオフは、
きっとマーク独自の位置があるに違いない」
そう感じ、それからは彼がテイクオフする際の漕ぎ出す位置に着目した。
ホワイトハウスは、南東以外の南うねりがいいので、
主に夏の間にブレイクする。
私はその春から秋まで、
つまり半年くらい、
マークが入ってくるとテイクオフの位置、
そして漕ぎ出す場所を確認していた。
で、わかったのは、
ホワイトハウスはピークの中に段ができる。
これは私でも知っていたのですが、
マークはその段の中に小さなコブを見つけ、
さらには一度そのコブの方向、
つまりグーフィー側に15−20度くらいの角度でノーズを向け、
「ワシワシ」
と2回ほど漕いで、そこに合わせてからテイクオフ、
つまり立ち上がっていた。
私はそれまでコブを使っているだけで、
そのコブの向きを気にしたことがなかったが、
マークはじつに上手に、
そして的確にその方向を把握、
または予測してスルスルと滑りだしていく。
「始まりの始まりが最も重要じゃ」
まるでそう言っているかのようだった。
こんな些細なこと、
でもこれがしっかりと機能しているようで、
おじいちゃんとも呼べる年齢のサーファーが、
(実際には孫がいるのでそうなのだが)
こんな激烈な波をすいすい乗るためには、
この些細からスタートさせていたからだと気付いたのです。
そんなこともあって、
自分にすり合わせると向こう20年、
私が70歳台になってもこんな波が乗れるように、
さまざまなブレイクでの些細を発見しようと、
今に至っております。
これはサンオノフレのテイクオフ些細。
それではどうぞ今日もすばらしい日となりますように。
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