こんにちは、
無事にロスアンジェルス国際空港に到着しました。
夕方発の23時着というフライトだったので、のんびりできました。
ビールも缶だけになっちゃったけど、
味も酔いも同様で、空港に車が迎えに来てくれているので、
機内ではつい飲み過ぎちゃうのです。
波のことを回想し、
あのデビルズ・ダンジョンの90度近くに切り立ったフェイスをなぞらえていたが、
エアコンの効いた乾いた大気だと、なかなか空想するにはむずかしかった。
あの熱い波はどこにいってしまったのだろうか?
と、フルーツに自家製アイスクリームを乗せたデザートの写真を見てうっとりとしていた。
シロにも再会し、
街では安全に買い物ができて、
そんなことを思い出しながらフリーウエイを405号、
5号と乗り継いでサンクレメンテに戻ると、
お腹が空いていることに気づき、念願だったうどんを食べた。
これは讃岐うどんで、
冷凍物をヤオハンで買ったのだけど、
沸騰してから一玉、二玉と入れていく。
で、冷凍されたものを入れるわけだから上下で湯温が違い、
そこで「うどんの上下関係」
があるということに気づいた。
Dセンパイも上下関係には厳しいが、
俺も麺類には厳しいので、
「箸でかき回して上下平等」としたのです。
と、ここに書いていてもくだらないことだが、
こういうことに気を配るのが
『麺道八段(自称)』ということで、
そんなことを思いながら渾身の卵とじうどんを製作した。
食べてみると、
やはりというか、このままうどんと月旅行したくなるほどの感動があり、
俺はやはり日本食、しかも麺類が一番好きなんだなあ、
と再確認し、昆布だしの味に心が溶けた。
荷物も片付けずに気絶するように睡ってしまうと、
時刻はいつのまにか朝となっっていた。
「北西うねりの大きいのが入っている」
とコールが言っているので、
冬場のメインブレイクの「ソルトクリーク」をチェックすると、
なるほど大きく、セットでダブルくらいあり、
しかもストーミーコンディションなので、
サーファーはたった3人程度しかいなかった。
ご存じの方もいらっしゃると思うが、
北西うねりのソルトクリークはトラッスルズの倍近いサイズがあり、
サーファーも向こうに比べると半分以下なので、
ブランド名さえ気にしなければ、
各人が楽しめるというお勧めブレイクです。
それでも坂の下は混むので、右に200mほど行くか、
またはさらにその先まで行くと無人となるので、
冬の間にこちらに来られたらサーフしてみてくださいね。
波もそれなりのサイズで、さらには人もいないので、
取るものも取らずに海に入ろうと決めた。
DOC(Surf Prescription)ND-E1に乗ろうと、
柳瀬のタホを開けると、
ボードバッグの上に新品ボードが置かれていた。
「このコールは何?」と聞くと、
「そうでした。新しいデザインのボードが仕上がってきていたので、
試乗してもうらおうと積んできていたのです」
「おー!また新デザインかー、新春ならではだね」
「はい、記念すべき1号の一本目はこんな強波でぜひ」
「一号なの?」
「実際にはコロヘ(・アンディーノ)が乗って、
ものすごく気に入っているらしく、
次回のコンテスト用のマジックボードラックに保管されていると聞きました」
「すごいねそのラック。俺も欲しいよ(笑)
で、このボードは5’6″に18-1/2″かあ。GHと書いてあるのはプラグ名なの?」
「そうなんです。これはグラスホッパーのスカッシュテイル版で、
それに伴って、コールが細かな調整を加えたのだそうです」
「ふーん、それにしても今風のボードだね」
「そうなんです。でもコロヘのあまりの調子良さを見て、
地元のWCT組も相次いでオーダーしてきているそうですよ」
「地元のWCT、誰それ?」
「ブレット・シンプソンにネイト・イヨマンです」
「えー!ネイトが’CTかぁ!やったね。すごいや。
あのブレットがCTに行くとは思わなかったなあ」
「そうなんですね」
「そうなんだよ。みんな少年だったからね。
そういえば”少年よ大志を抱け”って誰の言葉だったっけ?」
「クラーク博士です。札幌農学校初代教頭で、
帰国の際に発したのが
“Boys, be ambitious!
Be ambitious not for money or for selfish aggrandizement,
not for that evanescent thing which men call fame.
Be ambitious for the attainment of all that a man ought to be.”
という節が有力です」
「ふーん、そんなに長かったのか。
でも大志は名声やお金ではない、
ということを言わないといけなかったんだね。
大志というのはいつの時代も理解されずらいんだろうな。
それにしても詳しいね」
「はい、勉強しましたから」
そんな会話をしながらソルトクリーク左側の岬に向かって坂を下っていく。
この岬の向こう側は、
ロッキーショアといって、この地区の本部道場となっているブレイクだ。
普段は混むからあまり行かないんだけど、
こんな無人日、
しかもサイズがあるのだから脇目を振らずに進んでいった。
途中AVISO王子ニックから電話があり、こちらに向かっているという。
ファイヤーブレードをぜひ今日の波で試したいのだという。
到着してライフガードタワーから撮ったのがこれ。
沖に突き出た岬から、
左手の手前の方に乗ってくることができる長く、強い波だ。
インサイドに来ると、
岩も波の中に突き出してきたりするので、
最上級の注意が必要で、
それがここをロッキーショアと名付けられている所以(ゆえん)である。
着替えたりしながら7年前の、
11日間パーフェクションが続いた狂気的な日々の話をしていた。
コラムページにあるので、リンクしておきますね。
https://www.nakisurf.com/column/column-25.html
そんな話で盛り上がっていたらAVISO王子ニック登場。
「新型ファイヤーブレードがニクイねー」
と言うと少し照れていた。
それにしてもお早いお越しで、
きっと彼は、どこかで俺たちを待ち構えていたほど早かった。
ひさしぶりのフルスーツを着て、
Z1サーフスーツの『スラント・ジップ』をかぶると、
やわらかく、嵐の後のヒンヤリとした大気までが遮断されるようだ。
水が冷たく、足が滑るようなので、
こうして海水、砂、
そしてノーズに塗ったワックスを使ってうまく馴染ませる。
ひさしぶりの細いボードを持ち、
なんだかWCTの選手みたいだと自惚れる。(笑)
波のある誰もいないロッキーショアに友だちがAVISOファイヤーブレードを持って、
自分はCOLEの新型ボードで入るのって、
「幸せ以上、失神手前」なのだろうなあ、
とこのとき考えていた。
ロッキーショアにパドルアウトするには、
本当はライト側から回り込むルートが最良なんだけど、
そうすると、カレントに逆らって長時間パドリングすることとなる。
それより、喰らいながら流れに乗ってパドルアウトした方がいいや、
と危険なルートを通ったらこんな波に遭遇した。
ギリギリの一瞬で叩きつけてはこなかったけど、
こんな冷水でいきなり深く沈められたらかなり苦しいです。
ということをすっかり忘れていたので、
深いダックダイブで通り過ぎた。
「くわばらくわばら」
これが記念すべきLOOSE CANNONの一本目の波で、
少し面は荒いが、十分なサイズがあり、
こんなラフなコンディションでもボードはスムーズに滑走していってくれた。
バレルになると思って、合わせていったが、
波は地形に対して少し大きすぎるようだった。
でもドライブターンからするすると距離が出せ、
さらにはレイルも抜けずに、最速の強い重力を感じた。
たぶん最高速を一本目から出したようなラップタイムで、
沖でそんなことをニックと話しながら波を待つ。
強いオンショアによって、
沖がうねりに覆われて、
どれがセットなのかがわからなかった。
「超」を付けて気に入っているファイヤーブレードで、
ロッキーショアを滑走されるニック王子。
本部道場の波にストールされると、
王子と呼ばれるだけあって、やはり高貴なお方で
ストールまで品があるように思ってしまうのです。
次の俺の波は、テイクオフ前に全てが崩れてしまい、
それでも無理矢理テイクオフしてみた。
デビルズ・ダンジョンとイナリーズで鍛えたテイクオフなんです。
とニックに自慢したかった、
ただそれだけの理由でテイクオフを敢行してみたんです。
泡の中からLOOSE CANNONがふわりと出てきて、俺を支えた。
まるで魔法のじゅうたんだ。
月並みですけど。。
無事に下まで到着し、Dセンパイではないが、
「へへー」なる瞬間をここに。
不思議なボードです。
王子は流れと、風と、たまに来るオバケ波がお気に召さなかったらしく、
3本だけ乗って上がってしまった。
ニックはアメリカ合衆国の貴族、
俺は日本から来た平民なので、
こんなところの根性としぶとさが違うんだろうな、
とひとりぼっちになった沖で飛び交うカモメを見ていた。
ニックが上がった後も波はひっきりなしに来ていて、
こんなすばらしい波、
そして海にいるのはたったひとり。
なんとも贅沢で、そしてそんな幸運を感じていた。
さて、コールの新作『ルース・キャノン』。
俺のサイズは5’6″x18-1/2″x2-1/8″でした。
米国の俗語で、この意味は
「何をしでかすかわからない危険人物」
ということと、
「ルース=自由」という二つの意味をかけているという。
波に乗ってからのネーミングが変化し、
「文句を言わないスーパー執事」と浮かんだが、
訳文がわからないことに気づいた。
もし訳せたとしてもあんまりかっこいい言葉ではなさそうなので、
やはりルース・キャノンはやはりすばらしい名前だと思う。
このボードが自分に「従う度」はどのボードよりも高く、
Dセンパイがグラスホッパーを愛する理由がよく理解できた。
さらにはボードのトラックを見たらおわかりでしょうが、
クセがなく、好きな方向にクイックにそして高速に、
というゼッサン的なボードです。
グラスホッパーの別バリエーション版だということで、
デザイン的に予感はしていたが、
ここまで完成しているとは思わなかった。
「コールに最高だったよ」
と伝えたら喜ぶだろうなあ、
と思いながらカリフォルニアでの最初のセッションを円く終えた。
ただ、陽があれば影があり、
「白あれば黒ある」という陰と陽的な格言通り、
上がる際に南側に流されてしまい、
こんな岩場をよじ登っての帰還でした。
「人生、楽ありゃ、苦もあるさ?♪」
と、水戸黄門の主題歌を噛みしめながら冷たい岩場を冷えすぎて痛い足でしっかりと歩いた。
苦行なのだろうが、いい波に乗りましたから、
こんなことも波乗りのパートのひとつだと思っています。
□
お腹が空いたので、だーい好きなトレーダージョーズに行く。
玉子と豆乳とピーマンと、アボカド、アスパラ、
ベーコンにほうれん草。
特筆すべきはトレーダージョーズのスパークリングワインで、
これがおいしいのです。
それもたったの4ドル50セント(約400円)。
アラスカ産の野生サーモンも二切れで1000円で、
これは高いけど、おいしいんだろうな。
と熊の気持ちになった。
合計金額が4444のゾロ目で、
これも縁起がいいことだなあ。
で、作ったのがなぜか「カレーうどん&牛丼」という
「すき家」風の献立で、
それはおいしくいただきました。
柳瀬もにっこりでした。
□
今日の色々はもっと続くのですが、
ちょっと時間切れなので、続きは明日また。
これからドッキー(Surf Prescriptions)に会ってきます。
今日もNAKISURFにお越しくださって、本当にありがとうございます。
長くなっちゃってすいません。
また日本には低気圧が来ているようで、
さらに気温が下がっていると聞きました。
そんな寒い関連性から鍋が食べたいなあ、
なんて思っているのですが、ここには食材はなさそうだし、
ドッキー家でそれが食べられるとは思えない。
そうだ、最近はごまだれに凝っていて、なんにでもかけちゃいます。
うどん、冷やし中華、焼き肉、スパゲッティ。
俺はやさしい、まあるい味が好きなようです。
みなさんはどんな味がお好きですか?
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