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【サーフィン研究所】波のアウェーネス_(1026文字)

Catch Surf® USA Odysea 10’0″ Log Surf Camp

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いつか書いたが、

波に気づかれないように乗ろうとしていた。

波が岸側に揺れる

(崩れるとも言うが、あまり崩れないほうが好ましい)

瞬間にテイクオフすると気づかれにくいようだ。

「波に気づかれない」

まるで神道の言葉のようだが、

こんなファンタジーを感じるようになった。

「生きるもの」というのは現実に見えるもの。

そんな考え方は西洋的でもある。

さて、閑話。

“アウェアネス(アウェーネス、awareness、自覚、意識)”

という言葉がある。

そんなことを少し。

波に気づかれないようにフワリと乗った。

そこは、

8mくらいのセクションの最後部付近だったので、

波の前に弾み出されるのを横の向きに変え、

出口に向かって一直線になったところで、

波に包まれた。

小さい波だったので、

いわゆる丸い縁は見えず、

泡片は、

ほんの一瞬だけそんなような形を見せたが、

後は泡の中にいるような視界となり、

大粒の雨が落ちてきたかのように私の速度を落とし、

沈めようとした。

けれど、

一直線の位置が良かったらしく、

一瞬だけ無重力となり、

その後、

波の中で、

その波の意志のようなものを感じた瞬間、

自分が波になれた気がした。

自身は水となった。

溶けて海になり、

次に浮いて、

波先の泡に映る光となった。

光の中の影となり、

プリズム色の閃光として吐き出され、

鮮やかな光の粒となった。

今もその感覚が残っている。

波に乗るというのは、

もしかしたらそういうことなのかもしれない。

春の朝陽が、

海面に反射していた。

そこにはオレンジベースの陽色があって、

緑色、

そして紫色が、

浮いては消え、

こちらに動くように明滅していた。

さらに目を凝らすと、

それらの光群は、

一番向こうにある緑点滅地帯より、

ゆらゆらと昇っていた。

写真を撮ってみると、

そのかけらが映っていた。

実際には幻覚に見えるほど美しいもので、

神は天にいるということが、

完全に理解できた。

この世で誕生したきらめきという宝を、

天が集め、

そしてまた地に振りかける。

天と地、

陰と陽、

赤と青、

そんなことであるらしい。

そんなことがわかったのも、

波に乗ることを意義化、

いや擬人化というか、

神格化したご褒美だとわかった。

とすると、

サーフィンとはじつに深く、

大切なことを教えてくれるものなのだ。

「小暑(しょうしょ)」を過ぎた頃。

Happy Surfing!