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【サーフィン研究所】音楽の力『蜃気楼パラダイス・現実よ溶けろ』_(1978文字)

満月が雲で途切れて、

ハートみたいな形になった。

今日は「文化の日」ということで、

音楽=文化話をしてみる。

Tyler Warren 2+1 / 6’5″

Greenough 4A-9″ + VEKTOR VMK

.

細野晴臣さんの「はらいそ」という曲があり、

それは1977年の終わり頃に録音され、

トロピカル三部作の最後を飾る

「はらいそ」というアルバムのB面最後に収録された。

いわゆる表題曲ということだ。

クレジットには、

『細野晴臣&イエロー・マジック・バンド』とあり、

みなさんもご存じYMOの前触れとなるアジア音楽ごった煮の、

チャンキー・ミュージック、

マーティン・デニーから端を発した細野さんの蒸留による結晶だ。

細野さんと同年の横山泰介さんがいらっしゃる。

いまだにSURFERS岬を完全滑走される猛者だが、

教祖にしか見えぬほど悟られている。

この1977年(昭和52年)当時を振り返ったとき、

泰介さんが同席されていた。

細野さんの話題となると、

「『泰安洋行(タイアン・ヨウコウ。Von Voyage Co.)』いいよ」

そう現在形ですすめてくれた。

そのまま話は進み、

トロピカル最終作の最終で出たアウトロ

「この次はモアベターよ!」

その記憶が強いようで、

その場にいた私たちはまるで細野さんが目の前で、

そのセリフを発するというマボロシを見た。

既視感というわけでも

韻を踏むわけではないが、

そのときは岸さんも同席されていたし、

サーファーズのナルちゃんもいらした。

これはつまり逗子の浪子(なみこ)での話だ。

それから話は久保田麻琴さんにまで飛び、

「まこっちゃん、とてもいいから聴いてみなよ」

そんなことをおっしゃて、

会は終わったような記憶がある。

そこで、

タキビ神の膨大なコレクションの中から、

まこっちゃんがさらにステキだという

『夕焼け楽団ハワイ・チャンプルー(1975年)』

のデラックス版をお借りした。

このアルバムの完成度が高く、

「ムーンライト・フラ」や、

「小舟の旅」にこころ強く打たれ、

それから数週間は、

このアルバムが、

自分の生きるよろこびのひとつとなった。

話は変わりつつ、

すこし昔の話となる。

あれはあるタキビナイトのことだった。

タキビ神が誇る機材。

美しい盤に磨かれたダイヤモンドの切っ先を落とし、

ヤマハのスタジオ・モニターから流れてくるいろいろな音を聴いていた。

ピンク・レディから松田聖子、

大瀧さんのナイアガラ・フォール・スターズ、

トロピカル・ダンディのA面とか、

そんなことになっていた。

盤は進み、

「あのですね。リマスターのすごいのがあります」

神の言葉と共に「はらいそ」のジャケットが登場した。

バーニー・グランドマンのマスタリングだという。

分厚く、

重い盤がターンテーブルの上に回り、

『ファム・ファタール〜妖婦』のメロディと、

当時の細野さんチームが、

巧妙に隠していた音のいろいろに気づいた。

さすがヤマハだと、

バーニー・グランドマン、

いや細野さんだということになり、

タキビ神を讃えると、

「38度目のセッティングが重要でした。はい」

そんな感想であるらしかった。

そしてこの盤の最後には、

腰が抜けるほど感動する「はらいそ」がかかり、

さすが細野さんだと、

全員がアルバムに向けて手を合わせた。

この記憶はここまで鮮明であり、

克明であるのは、

このとき聴いた「はらいそ」によって、

私は幽体離脱して、

タキビパレスの内外をさまよっていたからだ。

Catch Surf® Skipper Fish V 6’0″

Nakisurf Original Twin + Vektor VMK

at Misakimachi, Tosa

.

あれはいったい何だったのだろうか。

結局音の表現力が、

楽曲の肉であり、

メロディやベースラインが思想ではないか、

サーフィンもつまりはそんなことだと感得した。

さらにタキビ神から

『細野晴臣 STRANGE SONG BOOK-Tribute to Haruomi Hosono 2』

という贈りものがあり、

飛雄馬ではないが、

感涙気味に聴いてみると、

今回主題の同曲「はらいそ」のカヴァーがあった。

それはアン・サリー/PAN CAKE版であり、

さらには、

この曲を誇大解釈していてうれしくなった。

細野さんが意図された

「日本から異国に出発してさよならバイバイ」

という結実ではなく、

「この世界から出発するよGood-bye」

そう聴けてならず、

視界はにじむばかりとなった。

思わずタキビ神に連絡を取ると、

「蜃気楼はらいそ 溶けろリアリティ」

はらいそ歌詞の一節だけが送られてきた。

こうして現実は常に溶けていくのだろう。

アディオス・フェアウェル・サヨナラ〜♪

【細野さんによるオリジナル版はらいそ】

Happy Surfing and Happy Lifestyle!!