【あらすじ】
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〜15号までのあらすじ。
1970年代、ノースショアに住む「ぼく」は、
タウンに向かう途中でマウイ島に住む美女夏子と再会する。
ワイキキでサーフする約束をし、
カカアコでぼくは彼女に抱く気持ちを伝えた。
そのままフォード・ランチェロを走らせ、
ワイキキで最も歴史があるホテルのドライヴウェイへ入れると、
友人のマイクがヴァレ係をしていた。
16.
「アローハ」
「すばらしいサービスだ」
「地形はどうだい」
マイクの言うことはいつもきまっている。
ふた言めには波の話だ。
「アリゲーターがいいぜ」
「潮は?」
「ミッドタイド」
「向きは?」
「ウエストならライトがダブルアップで、
ノース・ウエストならば、
ホットドッグのレフトさ」
マイクはたいてい朝にノースショアにやってくる。
「ちょうどノース・ウエストが入ってくると聞いたぜ。
ノーザン・ストームの大きいのが通っている」
「すばらしい。来るときは連絡をくれ」
「もちろんだ、
でもあまりにも大きかったらピンボールズにでも行くだろうね」
「それもいいな」
マイクは、
“サーフライダー”と印刷された厚紙のタブに、
インク・ペンで「8」という数字を書いた。
サウスショアの淡い大気が、
しっとりとホテルを覆っていた。
まるでさざ波のように小鳥の鳴く声が、
あたりに反響していた。
(17に続く)