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【サーフィン研究所:連載】彼女の島-16_(565文字)

【あらすじ】

第一話はこちらのリンクへどうぞ

【サーフィン研究所:連載】彼女の島-1_(757文字)

先週まで

【サーフィン研究所:連載】彼女の島-15_(577文字)

〜15号までのあらすじ。

1970年代、ノースショアに住む「ぼく」は、

タウンに向かう途中でマウイ島に住む美女夏子と再会する。

ワイキキでサーフする約束をし、

カカアコでぼくは彼女に抱く気持ちを伝えた。

そのままフォード・ランチェロを走らせ、

ワイキキで最も歴史があるホテルのドライヴウェイへ入れると、

友人のマイクがヴァレ係をしていた。

16.

「アローハ」

「すばらしいサービスだ」

「地形はどうだい」

マイクの言うことはいつもきまっている。

ふた言めには波の話だ。

「アリゲーターがいいぜ」

「潮は?」

「ミッドタイド」

「向きは?」

「ウエストならライトがダブルアップで、

ノース・ウエストならば、

ホットドッグのレフトさ」

マイクはたいてい朝にノースショアにやってくる。

「ちょうどノース・ウエストが入ってくると聞いたぜ。

ノーザン・ストームの大きいのが通っている」

「すばらしい。来るときは連絡をくれ」

「もちろんだ、

でもあまりにも大きかったらピンボールズにでも行くだろうね」

「それもいいな」

マイクは、

“サーフライダー”と印刷された厚紙のタブに、

インク・ペンで「8」という数字を書いた。

サウスショアの淡い大気が、

しっとりとホテルを覆っていた。

まるでさざ波のように小鳥の鳴く声が、

あたりに反響していた。

(17に続く)