〜14号までのあらすじ。
1970年代、ノースショアに住む「ぼく」は、
タウンに向かう途中でマウイ島に住む美女夏子と再会する。
ワイキキでサーフする約束をし、
途中に立ち寄ったカカアコで、
ぼくは彼女に抱く気持ちを伝え、
フォード・ランチェロを走らせ、
ワイキキで最も歴史があるホテルの、
ドライヴウェイへ入れた。
15.
.
ぼくと夏子を乗せたフォード・ランチェロが、
サーフライダーのドライヴ・ウエィに入ると、
すぐにヴァレ係であろう数人が見えた。
彼らは薄いグリーンと、
アイボリー色をベースとしたアロハシャツを着ていた。
その一人がこちらを見て手を上げた。
マイクだった。
彼の案内通りに停めると、
ぼくはドライヴ・ギアをパーキングに入れて、
それからエンジンを切った。
車の右側にまわったマイクは、
助手席のドアを開けて、
満面の笑みでこう言った。
「アロハ・ビューティフル・プリンセス・アンド・・・ロッキー・ボイ」
アンドから先は、
ハワイなまりのピジン・イングリッシュだった。
ロッキーは、
ぼくが住むエリアのことだ。
ハワイ語では、
ボーイをボイと短く言うのが決まりだ。
「夏子、マイクです」
そう紹介すると、
夏子は、
おだやかに微笑し、
「アロハ・マイク」と言ってから外に出た。
それを合図にぼくはドアを開けると、
マイクは、
ぼくだけがわかるように人好きのする顔の片側だけを使ってウインクした。
(16に続く)