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naki's blog

海が震えた日_いい人世界選手権米国代表シェーン初登場!_(4412文字、中編です)

こんにちは、

しとしと秋雨ですね。

傘の季節となりました。

いかがお過ごしですか?

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昨日は台風12号のうねりを求めて、

南房総まで行ってきました。

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大きなしっかりしたうねり。

ロスカボス前、Ross前共に、

すばらしい波がブレイクしているのにどこまでも無人。

無人サーフ、無人ラインナップのオンパレードだった。

「日曜日の千葉なのにかなり変だ」

と思うのだが、

ノースハワイのように鮫が出たとか、

津波警報というわけではなく、

千倉の古代くん(旧名秋元さん)と、

勇人さんに聞くと。

「波が大きすぎて、

みんな勝浦か房総半島の裏に行っているんですよ。湘南とか」

と言う。

昨日より先発して、

千倉から鴨川までを偵察していた好青年山田さんと連絡が付いた。

山田さんについてはこのブログ日に詳しいのでぜひ!

AVISO BD3で滑ったソフトサンドリーフの恍惚_山田さんの一年分の挑戦_(3810文字、中編です)

https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/9870

.

以前から気になっていた漁港脇の岩場があったので、

「あそこを見てきてください」

とお願いすると、

ややあって電話がかかってきた。

「かなりいいです!

ダブルくらいで、誰も入っていません」

という嬉しい報告を受けた。

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到着すると、曇天、

弱いオフショアの波景色。

ブレイクまで距離がある(600m位)ため、

その波は小さく見えるので、

一同両手を挙げて喜ぶ。

「イエーイ!!」

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ただ、

ノースハワイで経験を積んだ

D先輩(旧名三浦さん)だけは別で、

「お前が良いというと怪しいんだよな。

あそこにガメラとかが沈んでいて、

沖に出ると”ギエーッ!”っと出てきて、

みんな食べられちゃうんじゃねえか?」

と疑念を取り払えずにいた。

「大丈夫ですよ。深そうなブレイクだし、

ブレイクの範囲が決まっているから、

恐ろしいセットがきたらやり過ごしていればいいんですよ」

と伝えると、

「それがやばいんだよ。

やり過ごしている内に俺たちゃ溺れちゃうんだよ。

誰も入っていないのがその証拠じゃねえか」

「じゃあピストル(ミニガン)かBWGで入れば平気ですよ」

そのBWGに反応したのが好青年山田さんで、

「ぼくのBWGを見てください!」

とBWGユーザーのグータンに披露して、

同士ならではの会話が弾んでいた。



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「クアッドには慣れないんですよね?」

という好青年はトライ仕様で、

「レイシオフィンが気になっているので、

今週原宿に行きますね」

という発言をされたので亮太を見たら、

彼はそのメモをきちんと取っていた。

下の写真が今回の一便のメンバー。

ブレイクには誰もいないので、

みんなでサーフすることになり、

声をかけると集まってくれた。

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左からSR亮太、

D先輩、グータン、

山田さん、キリモミ早川さん、

シェーン、そしてシュンくん。

本来ならメキシコ大ちゃんとアジト大西、

そしてSRヤスも合流するはずだったのだが、

御宿近辺で、

「ドライブシャフトが折れちゃったみたいです」

と車の故障があり、断念していた。

キリモミ早川さんは昨日勝浦MLBに行かれていたようで、

その混雑さに辟易されたのだそう。

「このたび、波乗りを辞めようと思いまして…」

などと悲しい発言をされていたので、

「無人波でスバラシセッションをしましょうよ」

とお誘いしたら

「お召し列車」で参上してくださいました。

結果、

「波乗りは最高です。僕は絶対に辞めません!」

となったのだから、

空いているところでするサーフが精神的に一番シアワセなんです。

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今回のスペシャルゲストはシェーン・ガラース。

彼はものすごい腕前のドラマー、ギタリスト、

そしてボーカリストでして、

さらにすごいのはその人格。

いままでクリスちゃん(旧名クリスチャン・ワック)

が『いい人世界選手権米国代表』

だと思っていたが、

このシェーンも同じレベルのすばらしい人格者で、

クリスちゃんは、

彼と米国代表の座をかけなくてはならなくなったようだ。

サーフィンの腕前も銘ブレイク

『Stair Way』で鍛えているので、

それはすばらしいものだった。

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あまりにも遠いゲティングアウトを避けるべく、

堤防先から入ろうとしたが、

ものすごい流れと海面上下に断念する。

結果回り込んで出たが、

到着まで日が暮れるほどの遠さで、

蜜の味はわかるが、

それは苦なくしては味わえないことを全員が身をもって知った。

沖に出るとかなりの大きさで、

ハワイサイズで4フィートは軽くあった。

セットで6フィート!?

そしてこれらは密度がある重量感のあるうねりで、

最初のダックダイブでは、

「肋骨が折れた」

と思えるほどの衝撃を受けた。

これは台風12号のうねりのものすごさを知るエピソードで、

なるほど、このパワフルさなら、

勇人さんがショットガンでサーフしていたのも納得。

亮太を始め、全員が

「甘く見ていました。板が短すぎました。

距離があったので、ここまでの波とは思わなかったです」

とその威力を感じての感想を漏らしていたが、

BD3 の俺と、

ルースキャノンのD先輩だけは

「ケーネー!(関係ねぇ?)」

という最近俺たちの間だけで流行する言葉を用いて、

さらに沖にパドルし、

特大波の一本釣りを狙って水平線を見つめていた。

そんなことをして形の良い波を何本か乗り、

アドレナリンが湧き出て、

乗った人全員がシャウトする環境だったラインナップ。

無論俺たちだけのプライベートセッション。

突然、大きなセットが入り、

俺とグータンと山田さんは波に乗った直後だったので、

インサイドにいた。

沖にはシェーンと、キリモミ早川さんがいて、

巨大な波の切っ先が彼らに襲いかかるのを見ていた。

その時の状況をシェーンに聞いたので、

ここに増幅意訳しておきますね。

「無数のうねりが水平線を隠したと思ったら、

それらはあっという間に近づいてきて、

波が空より明るくなってギラリと輝いたんデス。

痙攣するように次から次へと大きなうねりが連なっているのを確認したとき、

ボクはあきらめて、深呼吸を深くして気を静めました。

そして波がやってきて、

ふるえる海の中をものすごい勢いで動いていったのです。

巨大で、そして壮大で、たくましく、

爆発は見た目よりもさらに膨らみ、

増長しているようダッタ…。

しばらく経ってボクは暗い海の中をさまよい、

たくさんの泡と共に海面への旅が始まり、

そして、

ようやく顔がそらに触れて視界がひらけると、

威力を増した波が、

唸りをあげつつまた同じように落ちてきました。

吠えるような音、

波の炸片が深い海底まで届き、

その反響が全てを包んでいた。

響きの海のなか、

その爆発はボクの首をもぎ、

ハラワタをえぐり、

どうしてもうずくまりたいのだが、

なすすべもなく大きな海を漂っていた。

口を開け、無味となった全ての中で、

波が、

波の軍隊が去ってくれることを待ってイタノデス…」

とインサイドに無力となって吐き出されてきた彼に近づくと、

こんな表現で、無慈悲だった波を振り返ってくれた。

「間違いなくボクの人生で最大の波デシタ…」

と努めて冷静に、そして遠くを見つめる目。

俺にもこんなことがあった。

台風の稲村ヶ崎、

生まれて始めて入ったサンセット。

そしてワイメアベイ。

最近ではイナリーズ。

こんな瞬間を経て、経験を積み、

それは永遠の記憶として胸に宿っていくのだ。

そんなこんなで俺たちは

『響く本物の時間』

を通過し、またひとつ先に進み、

そしてサーファーとして歳を取ったようだ。

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BWG以外は、

「板が、ミジカスギマシタ」

というセッション後の新御三家。

海から上がり、

安堵した表情が画面からも伺えますね。

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故障後、

車を替えてようやく到着したメキシコ大地とSRヤス。

その故障模様と、

波の報告が交差する会話だった。

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漁港では、

廃業してしまった宮崎のウエイブプール

『オーシャンドーム』そっくりな波がブレイクしていて、

D先輩以下が喉を鳴らす場面も。

ここも誰も知らない場所なので、

波が巨大なときはこの築港浜もいいのだと皆で覚えた。

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漁港なので、

波乗り後は猫とお話したり、

掘れた壁を見つけてバレルインする。

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これは俺が10代の頃、

D先輩から教わった

「チューブの入り方のれんしゅう」でして、

それから26年経って、

当人に成果をお見せして伝えられる至福に浸った。

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漁港街なので、

全員一致でお刺身ランチとした。

イナダ、アジ、秋刀魚、

カレイ、鯛の5点盛りに日本の秋を感じてうなる。

食後は、

海のパワーを喰らってしまった人たちに向け、

「平和な波」

を味わってもらおうと、

『パラディソ・デル・スール』 に行く。

https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/11941

すると、

あれだけどこにもいなかったサーファーたちが、

ここにたっぷりといて、

少し安心しながらも全員が驚いた。

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波はいいのだが、

他のサーファーたちも乗りたいだろうから、

俺はインサイドで波を待ち、

ミニシングルの波遊び風。

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グータンと枝さん。

枝さんは手を怪我されていて、

波乗りできなかったが、

それは熱心に仲間たちのサーフィンを見ていた。

こうしてサーフできない間も波乗りを感じているのって、

とっても重要で、明日につながることだと思うので、

すばらしいと感じたんですよ。

さっき怖い思いをしたシェーンは、

ここで精神的にリハビリできたようで、

暗くなるまで上がってこず、

「人生で最もサーフィンをした日」

と、一番のことをふたつも得た日となりました。

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シェーンのルースキャノンと、

D先輩のグラスホッパー、

そしてグータン、

メキシコ大地BD3でのファンセッション通過後の一枚。

帰りは夢庵で、

せいろそば

カツ丼

十穀米

納豆

めかぶ

マグロ刺身

秋の野菜天ぷら

おぼろ豆腐

などを各自注文し、

満腹金額がなんと4873円で、

その安さに驚く麻布滞在中のシェーン。

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そのシェーンを東京滞在アジトに送っていくと、

「アア、都会デス…」

と一言漏らし、

それは今日の佳き日の終了にはふさわしい言葉となって、

台風12号は北海上に去り、

俺たちの大きな旅も終わった。

台風からの涙みたいな雨が降ってきた。

日本に来て、

台風の波に乗って気づいたのが、

このうねりはハワイの大波とパワーは変わらないということ。

近海を通ったうねりで、

きっと弱いと思っていたらそれは大間違いで、

自然からのエネルギーをズシリたっぷりと感じました。

なので、台風波に挑戦する際は、

海に、そして自身のコンディションを見つめなおして、

無理せず楽しんでくださいね。

かなり危険ではあります。

けど、みなさんが入られているところは、

優しい波だったので、

そんなことはわかっていることなんでしょうね。

今日もNAKISURFにお越しくださってありがとうございます。

勇人さんは勝浦に、

潤ちゃんはおフランスに、

俺たちは南房総の日でした。

今日もみなさんのすばらしい日になりますように。

あいにくの雨ではありますが、

濡れないように暖かくして過ごしましょうね。