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naki's blog

朝陽と虹、『黒い彗星』、Bessell’s Quatro Speeder、ハンドシェイプ

ノースハワイに戻り、夜明けからホワイトハウスに行くと、軽くオーバーヘッドの波がブレイクしていた。

南南西うねりのようで、6’8″ピストルで沖に漕ぎ出ると4’10″しかなかったOちゃんとのギャップにびっくり。

ノースハワイは流れが強く、このホワイトハウスのチャンネルは渦巻いているので、やはりこんなタイプの長く、細いボードが安定している。

カリフォルニアでは目の前で波が崩れていたけど、ここは沖のリーフでブレイクしているので、ブレイクまでやたら遠い。
パドリングだけで疲れてしまった。

沖に出ると、ノースハワイのアロマ、つまり海の香りに包まれ、たった9日間の旅だったのになぜかなつかしいような気持ちとなる。

やがて朝陽が昇り、この世界を黄金に輝かせる。

カラヘオの丘から太い虹が架かり、それにもうっとり。

大満足で上がってきて、携帯の着信を見るとメッセージがいくつか入っていた。

AVISOニックと、コールのロボからで、両者共に「ブラックダイヤモンド2を持って帰ってないのなら貸して欲しい」とのこと。

Tストリートで乗ってからBD2中毒になっているのだろう。(笑)

ロボは体重180パウンドあり、これをKGに直すと82kg!
俺との体重差が20kg以上あり、それでこの波乗りだから彼用のBD2を作ったら無敵だろうな。

彗星のような尾を引くスプレイと、強烈なスピード感が持ち味なのだ。

AVISO移植も打診済みで、コードネームは『黒い彗星』とする予定です。

車がコロアにさしかかるところで、携帯が鳴る。
ティム(Bessell)からで、このあいだ1次シェイプを終わらせたサーフボードのシェイプが終わった、と言う。

HBピアで乗ったマイクロチップ5’10″の感触が蘇る。

このボードを日本に送ったので、読者のみなさんに試乗できるような機会を作りたい。
何かいい案を練らねば。

勇人さんでもおなじみだが、すばらしいAVISOのラインアップも持っているBESSELL。

老舗シェイパーにありがちな変なプライドもないので、プロデュースしやすいブランドであると思う。
これはバルサのレトロフィッシュ。

その「新コンセプト」はロングボードからショートボードに移行することができる明確なトランジットボードである。

今まではファンボードとかがあったけど、そんな曖昧なものではなく、ロングとショートの中間モデル。

アウトライン、ロッカー、レイルボリュームを話しあい、テイルを高性能にかっこよくというテーマを出してみた。

最初はスワロウテイルを描いてみる。
スクアッシュのスワロウの中間タイプが描きあがった。

「うーん、いいんだけどスピード感がないかも」

と俺が言うと、「それならブランクスを持って、シェイプルームでインスピレーションを受けようよ」とティムが言う。

ハンドシェイプを見るのはひさしぶりなので胸が高鳴る。

これからその1次シェイプをここで完全に再現してみる。
業界初だと思う。

ブランクスを出す。
最近クラークの元社員たちが作ったUS BLANKSだ。

ティムのシェイプルーム。
彼が自作したツールの数々が見えるだろうか。

長さを6’10″と決めてあったので、それに合わせてブランクスをカット。

幅も事前に21.5”と決定なので、テイルとノーズ幅もバランスを考えて同様に15”に設定した。

テイル↓

ガンのテンプレットを使い外側のアウトラインを引き、

ノーズのアウトラインはオリジナルデザインで、

テイル側から見るとこんな感じです。

最近大流行のバットテイルの原型であるダイヤモンドテイルを提案すると「完璧だよ、俺もそれを考えていたのさ」とシンクロした思想にふたりしてニヤリ。

複雑なカーブを組み合わせて作るダイヤモンドテイル。
角張ったデザインだけど、全てはカーブの混合なんです。

これがシェイプ前の設計図。
近くから、遠くから見てラインを確認します。

確認後、アウトラインを電動のこぎりでカット。↓↓

ここで一度アウトラインのバランスを確認。↓

レイルのクリーンナップが始まった。

クリーンナップを終えたアウトライン。
美しい。

ティムもうっとりしている。
シェイパーはやはりサーフボードが大好きなんですね。

フィン位置にはこのBESSELLオリジナルテンプレートを用いて、位置と角度を設定していく。

クアッドセットアップです。
4フィンの持つ魅力をこのモデルに導入するのです。

テイルから見る将来のビューティちゃん。

スキンオフ、つまり皮むきがはじまりました。

レイルの形状を決める、これも自作のレイルライナーを駆使してレイルラインを描き出す。

皮むきしながらレイルも丸めていくティム。

ボトム形状はシングル、ダブル、VEEなんだけど、このボードに最適な独立チャンネルを施すという。
ボトムのくぼみを全てチェック。

企業秘密だというチャンネルボトムのシェイプを口をあんぐり開けながら目撃する。

どんどん形になっていくボトム。
まるで魔法のようだ。

そして、これが独立クアッド・スピーダーチャンネルです。

4本の各フィンに付けられたチャンネル=溝がそれぞれ機能し、揚力加速、方向確定、レイルターンを容易にする逃げる外側、テイルを押し出す中央スロットとなっている。

アウトラインの美しさに機能性を飛躍させたクアトロ・スピーダー。
1次シェイプが終わりました。

大満足のティム。
これでロングボーダーたちは短いボードも愛することになるだろう。

「このクアトロ・スピーダーは速度に驚き、操作性に感動してもらえるはず」

とにっこにこのティム。

長々としたブログになりましたが、サーフボードシェイプの愉しさを知っていただけるチャンスだと思い掲載しました。

いかがでしたか?


8 thoughts on “朝陽と虹、『黒い彗星』、Bessell’s Quatro Speeder、ハンドシェイプ

  1. markee.

    すごいです!

    見入ってしまいました。

    ハンドシェイプの行程が良く分かりました。

    しかし、BD2とても気になります。

    おもしろそうです!

  2. Todd

    興奮と感動が伝わってうっとり魅入ってしまいました。クアトロ・スピーダー、楽しみな板ですね!

    それから壁に立て掛けられた左から3番目の、スリーストリンガーピンノーズの板もいいですね。

  3. TAKEO

    シェイパーによって削り方が違うのですね!
    企業秘密だとは思いますが、オリジナルの工具に興味ありです。次回シェープに向け私も幾つかオリジナる工具を作りましが使い物になるのかな?
    明日、ブランクスが到着しますので、波が無い休日に蚊と戦いながら、電動工具なしでシェイプスタートします。今月中にシェープし涼しくなったらラミネート予定・・・今回は冒険し流行の4FIN,3FIN対応で作りますよ♪♪

  4. ふなき

    markee.さん、
    ボードケースとは思いつきませんでした。
    誰かエコな素材で作っている人を見つけようと思っています。

    naminori-kozoさん、
    原稿送りますね。
    ダーワーさんにもよろしくです。

  5. ふなき

    Toddさん、
    さすが!
    よく見ていますね。
    カーディフスペシャルになるかもです。

    TAKEOさん、
    全てハンドにこだわっているのですね。
    木綿花最高なボードとなりそうです。

    また経過報告してください。
    ぜひぜひ。