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naki's blog

明日を獲得する波_(761文字)

心が欲しているときに海に行く。

こころが疲れたときも海に行く。

波乗りは、自分ができる最大の表現。

すべての波は物語を創り出す。

水平線に見えた影の時点から、

波に乗った後、

つまり後々酒場で

「滑走について」と語られた後も波という波は、

妖しい魅力で俺たちのこころをとらえて離さない。

それは選び抜かれた珠玉の波がたった一瞬、

切り立って崩れるまでの瞬間のことを指している。

毎日の正確な、そして時間に追われる生活、

何か生産的なことをしなくてはいけない日々、

それを求められる完璧に近い社会だからこそ、

波乗りという悦楽が浮き上がってくるのか。

表現しようがなく、

そして不自由な波だからこそいいのだろうか。

波に乗るサーファーは、

じつのところ自分自身ではどうにもならない不自由さを愛し、

その中で1%、一分の向上や進歩に歓喜し、

日夜それを祝っている。

波に乗っているときは世間の社会性だとか、

記憶力、世渡り、昇進ということは全く考えず、

また貯蓄や老後や税金のこともかまわず、

その一瞬を生き、

そして一瞬を少しでも前に出すことに夢中になっている愉楽が、

波乗りの本質なのだろうか。

波に乗る究極を「無心」

と例えられるが、

自分自身では無心にはなりきれず、

「獲得」

そんな言葉がいつも浮かんでくる。

「波に乗る」

こんな明快で単純なことが俺を惑わしつつも、

実際には生きる大きな糧となっているのはなぜだ?

ちっぽけな自分が無限大の海と相対すると、

さらに大きなものに遭遇する。

滑走を例えるなら、

閃光のきらめきに似ているようだ。

その瞬間をこころに閉じ込めるだけで、

俺たち、

つまり波乗人の毎日が鮮やかに輝きはじめる。

信じられないような美しい夕焼けの今日。

サンクレメンテの海にサーフボードが艶やかに溶けていく。

波を夢見て、明日を生きたい。

明日はきっとやってくる。

明日よ、やってこい。