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生者必滅世VS永遠鉄駿馬_朝の光耀に轟くエンジン音の決意_ヤマハVSカワサキ_MVアグスタVS大陸横断_ハービー・フレッチャー(2286文字)

「すごい人がいます」

と長い間噂されていた方にお会いする日が遂にやってきた。

それはカスタムバイクの王で、

創造と走りの自由を求めて南カリフォルニアに移住されたという。

http://www.chabottengineering.com/menu.html

その方のお名前は木村氏。

氏の作品のあまりのすごさに人生46年目にして、

ふるえるほど感動してしまったのでR。

さらには、千里眼の目で伝説の物を見つける力を持つとされている。

静かで、薄暗く、美しい工房全容図。

センスというか、

造形が際だってすばらしい。

慈悲、

つまり慈しみと憐れみの平等さの芸術。

塊と部品。

浸透と氾濫。

跳躍すべき突進をそなえる鉄の馬たち。

それはまるで新世界からの誘(いざな)いにも似ていて、

金属が持つ、冷たい一条の軌跡を体で受けつつも、

この放つ全ての美しさを俺のちっぽけなカメラで切り取ろうとしていた。

まるで『時間旅行』というSF小説の中に放り込まれたようで、

鉄の馬から、駿馬、奇跡馬との移動間になんとか句読点を打ちつつも、

あまりにも完成している壮大なる物語に焦点は震え、

口の中は乾いていく。

この駿馬を地平線の彼方まで押しやる自分を想像しながらも、

土煙に消えるシルエットの向こうにあるのは海に沈む夕陽だろうか。

メタルとアルミ、

そして革の炸けるような閃光に満たされる幸せ。

「朝の光耀(こうよう)に轟くエンジン音の決意」

そんな表現が体中を蠢き、

宝石が煌めくように視界が弾けていった。

走り出す銀馬。

澄明も沈黙も、二輪車は全ての思想を閉じ込める。

「こだわり」

を超えて、神の意志のままに創造されたような造形に自己は放たれて、

放物線を描くように気持ちが上下した。

さらにすごいのがこれ。

木村氏所有のモーターサイクル。

これはこの9月に開催される

『モーターサイクル・キャノンボール』

という壮大なるイベントで走る主役。

この原始な二輪車で、

北米大陸3272miles、

つまり5235kmもの大陸縦断イベント。

ゼッケンは80番。

荷台に付いている木箱は工具箱なのだそうで、

直しながら走りきると言う。

まさにスケールが違う。

これは全員が驚いた氏のナビゲーションシステム。

最先端であり、ミニマリズムの粋だ。

クルクルとダイヤルを回しながら、街から街へ、

州から州へと進んでいく夢旅行。

http://www.motorcyclecannonball.com/

menacing ayu氏所有の美しいSOHC。

『ヤマハSR500』

32馬力もある500ccの単気筒くん。

ロケットフィッシュ仲間のY彦氏が、

このビューティを駆ってダブルクラッチの嵐。

それは氏が、

深川卍黒皇帝卍だったということを暗に伝えるブリッピングだった。

往年のキックスターターのみの設定で、

これまたエンジンがかからない。

Y彦氏が何度やってもドロロォどころか、

重くて蹴ることもできず、またはケッチンの嵐。

見かねた木村氏がやってきて、

模範キックを「たぁ」とやると、

見事一発でダダダダ!と火が入る。

「圧を下げて、キックペダルを戻して蹴る」

ということを伺い、

その通りに実践するY彦氏だが、

「スカ」

だめ。

また蹴る。

やはりだめ。

十数回試してかからないので、

ため息をつきながら下を向くY彦氏。

しょぼーん。

「どれどれ?」

と俺も試しにやってみるが、

ケッチンをくらい、

またはペダルを下げられないというていたらく。

「ヤマハが嫌いなんじゃないの?」

と木村氏が言う。

「はい…、ぼくはゼットワンのファイヤーボール(カワサキ)信者です」

とY彦氏が小さく言うと、

「カワサキ好きじゃぁ、かからないよ?」

という会話を聞いて、

思い出したのが俺の永遠の単車RZ350(ヤマハ)。

その白のRZのイメージを持ち、またがらしてもらい、

どりゃ、とキックすると軽く一発でかかった。(本当)

単車とはまるで生きもののようで、

そんなすばらしさを知った日。

ここから想像を拡げると、

「俺はブラックダイヤモンド信者だからこそ、

5’0″という狂ったサイズで、

10フィートオーバーの斜面を滑走できたりしているのかもしれない」

という仮説に達した。

「信ずる者こそ救われる」

というあれですな。

天才カリスマであり驚喜&歓喜なエンスー木村氏と、

いにしえの川前で。

「なぜここに工房を作られたのですか?」

と聞いてみると、

「サーファーの人がすばらしき波があるからそこに住む、

ということと同じで、

ここにすばらしき山道があるからという感じでしょうか」

という返答に深きシンプリズムを感じ、

長溜息をつき、瞑目も瞠目もした日。

空気抵抗の楽しさをひさしぶりに知った日。

18歳でスポーツバイクからサーフィンに転向したので、

じつに28年ぶりの愉楽滑走となった記念すべき日であります。

そんな興奮で全身をふるわせ、

眠れない、酔わない夜を味わっている。

「ワインディングロードのアクセルのON-OFF、

そしてターンがサーフィンにそっくりである」

ということも思い出した日であります。

みなさん、ありがとうございます。

続きがありそうなので、いつかに続きます。

今日は始皇帝ハーちゃん(ハービー・フレッチャー)

のことを書くはずだったのだけど、

それはまた次回ということにいたします。

ではでは眠れない夜が更けて、

サンクレメンテには雨が降ってきた。

季節はまだ、

冬と春のあいだを行ったり来たりしているのか。

「ラカ法王とタキビシ」

そんな題名のドラマの脚本が書けそうだ。

Art by Ryuki

Inspire from Jiro(簡単本舗)


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