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タタカイサーファーVSユルイサーファー_(1526文字)

どこも波がなさそうだったので、

キャッチサーフのオディシーを持って、

サンオノフレに行った。

あいにく満潮で、ほとんどブレイクしていなかったが、

たまに来るセットに乗って、

どこまでもゆるやかに遅い滑走を楽しんでいたら、

ラホヤのデヴォン・ハワードがラインナップにいて、

しばし日本話をする。

俺のスポンジボードに目をやり、

彼の視線がゆるやかになったのを感じていた。

「最新鋭でなくても乗れるし、

ターンのときに制御を失うのもまた楽しいんだよね。

これが車だったら大変なことになるけど、

サーフだったらワイプアウトするだけだから」

俺たちは、そんな自問自答みたいな会話をした。

デヴォンが言うには、

この水温は南カリフォルニアでは、

35年ぶりに温かいらしい。

それでも23度くらいしかないので、

トラックス&タッパでは、

セッション後半頃から猛烈に震えて、

プチアラスカサーフトリップを味わった。

天気が悪いです。

ちょうどイトイ先生の

「誤釣生活」

という本を読んでいて、

その一節がとても印象に残り

この表紙画像の下に引用させていただいた。

(やはり文章はオフィスで書くのが一番書きやすい)

【前略】

ゲーリー氏と、私は、どうやら釣りに対する姿勢が違っていたようなのだ。

私たちのバスボートの船長であるゲーリーさんは、目的が明らかで確かである。

大きなバスを、できるかぎりたくさん釣る。

一方、私の方は、目的があいまいでハッキリしない。

できることなら大きいバスを、なるべくたくさん釣りたいナ?

なのである。

【中略】

ゲーリーさんの釣りは、勝負であり、戦闘であり、

凝縮した人生そのものなのだ。

熱心でなかったら、死んでしまうというくらいの「すべて」なのだ。

私の釣りは、趣味で娯楽で、息ぬきで、遊びで、人生の円グラフのうちの、

ピザのひと切れ分みたいなものらしい。

【後略】

俺も昔はゲーリーさんのように、

パドリングの練習を半日もしていたり、

冬のハワイに向けて、泳ぎまくったり、

真剣に、命をかけて沖に向かっていた。

しかし、

いつもイトイさんのような遊び心は持ち続けていたから、

この説は、

両側から稲妻が体を貫いたように響いた。

「ゆるく軽くサーフする」

「遊びで息抜きのサーフィング」

最近はそちら側へシフトして、

それだからこそのボックスであり、

ビーターなのだと確信するのだが、

いざ波が出るとゲーリーさんのように猛烈に、

真剣に人生をかけてパドルアウトする自分もいる。

これはどちらが正しいのか。

答えはもちろんどちらも正しい。

さらに言うと、

個人プレイの極みであるサーフィンは、

極端な話、

人に迷惑をかけなければ、

ワイプアウトするのも自由、

沖に出られずに、あきらめて帰ってくるのも自由。

もっと言うと、

波の強弱や大小で、棄権しても誰にも迷惑をかけない。

NGは、

沖に流されて救助されたり、

人に危害を加えたりすることくらいだろうか。

俺はこうして遊びでやるサーファーたちも応援します。

同時にターンを突き詰めて、

膝の絞り方、

波の降下位置や意識の持ち方を気にする人もサポートします。

波乗りって、

本当に多種多様だと思うし、

あと100年後も多くの老若男女をも魅了し続けるものと信じているから。

波乗りは「生き方」。

そんなことをサーフ歴30年を越えた諸先輩センパイたちから聞くことが多いです。

旧い車がかっこいいように、

歴戦のサーファーのようにふくよかで、

幅が広い遊びとタタカイでありますようにと祈った夏の夜。

デザートを食べるのも緩い生き方の象徴だと思う。

こうして二人乗りも。

ゆるくやさしく、

楽しく、幸せに。

それではまた明日!

今日も来てくださってありがとうございました。

少しは涼しくなりましたか?


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