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豊かか、そうでないかという対比は、幸せか、またはそうでないという図式ではない_コールの今日_とがったノーズ論がサーファー誌に_(1618文字)

まだ濡れたサーフボードを載せ、

夕方定刻に出発したアラスカ機は、

北に、

時差をさかのぼりながらロスアンジェルスを目指す。

夕陽と、山並み、

そして海だけの視界。

人の痕跡は象形文字みたいな路や道だけだった、

ずいぶんと経ってから窓の下に目を落とすと、

真っ暗だった眼下が宝石箱みたいになった。

アメリカ国境を越えたようだ。

この(元)大地を覆った文明の証。

車が時速110kmで自由に無料で移動できるフリーウエイ。

ボタン一つでさまざまな電気が灯り、

栓をひねれば、

いつでも熱いお湯が出るという日常がそこにはある。

巨大な映画館、ものすごい設備の病院、

観客席を従えた野球場、美しい建築の学校、

ハイテク会社、映画スタジオ。

そこには思いつくもの全てがある。

少しまでいた南は、

その逆とまではいかないが、

ほぼその通りと言ってもいい2013年の初頭。

誰が悪いわけではなく、

さらには近代化を恨んでいるわけではなく、

少し前、

つまり手塚治虫氏の時代にこの状況を想像できたのだろうか?

この進化の速度で未来をちらりと見るのなら、

きっと車は太陽光パワーで空を飛び、

ほとんど全てのことが携帯電話でできるようになるのだろう。

メキシコ対ロスアンジェルスという対比をまざまざと感じ、

大きく息を吸い込んでみた。

けれど、これこそが旅の理由で、

そう感じられるのが大事なことなのかもしれない。

この豊かさを楽しむ自分を恥じながら読んでいた本を閉じた。

さとるさんの待つ空港に行き、

またサンクレメンテに向けて滑らかなフリーウエイを南下していく。

その時間がオープン時であれば、

ロスから南下する際には、

必ず寄らせていただくのがカフェヒロさん。

ここのオーナーシェフであるヒロさんの作る料理は、

国境を越えて、時間をも超えているのでありました。

http://www.cafehiro.com/

さて、晴れない朝がサンクレメンテにやってきた。

「なぜか暖かいのです」

というさとるさんの言葉を聞いて、

ここと陸続きのはるか南にあるサユリータが真夏だったのかを理解した。

あの寒気団はどこかに行ってしまったようだ。

けれど曇天。

コール工場に行き、

遅れている全てのボードに目を入れ、

そしてそれらを鋭意渾身シェイプしてもらえるようにしています。

迷いがあるオーダー用紙に手を加えて、

コールの考える最適なものにしていく作業。

厚みというのは中央の最大値で、

幅というのも同様。

同じ19インチ幅でもノーズ幅、

テイル幅の違いでどのようにもなります。

厚みも同様。

全体的に厚くするのか、

またはレイルを削いで落としていくかによって浮力は千差万別となる。

ユーザーの体重身長、

サーフィン歴、技量、そして目的とする波、

そして既存のボード情報から数値を割り出していくコール。

この道40年の智慧と経験が導き出す造形。

ジアァは、

MPツインモデルにリアフィンを加えて、

より安定を求めていた。

不安定さがツインの魅力なのだが、

逆にこうすることによって、

「超高速になりました」

というドライブ性能が出現したのだから、

なんでもやってみるものだ。

業界の習いで、

本屋よりも2週間も早くコールに届くサーファーマガジン見本誌。

ゲイブ連載の今月のお題は、

「とがったノーズは何のため?」

というシュールなもので、

タイちゃんこと、

タイラー・ウオーレンが俺と同じ意見で、

「まったくいらない」

と切り捨てていて痛快だった。

他のシェイパーたちは、

「見てくれがいい」

としながらも、

「何かあったら武器になる」

という皮肉的なものまであって、

読者を煙にまくとはこのことだろうか。

ライアン・イングルのまじめな回答にニマリとさせられた。

東京は雪のようですね。

とするとこちらにも寒波はやってくるのだろうか?

地球はつながっているので、

激烈なことも遠くに感じられません。

すてきな週をお楽しみください。

それではまた明日!

どうぞ温かくしてお過ごしください。