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naki's blog

【GW特大号】1959年式のキャディラック_戻ってきたONE_どうして私は海に向かうのか?_(4333文字)

こんにちは、

いかがお過ごしですか?

友人たちはみんなゴールデンウイークというわけではなく、

まだ半分くらいは仕事をしていました。

昨日は友人に会いに北のサーフブレイクに行き、

その帰りにサンタモニカに寄り道すると、

この1959年式のキャディラック62シリーズに裏道で出会った。

カメラを持っていないことを悔やんだが、

iPhoneがあったのでことなきを得ました。

アメリカ車の黄金期を象徴するフロントグリルと、

それは巨大なテイルフィン。

運転者の人となりもあって、

全てが上品で威厳のある印象を受けました。

走る芸術品ですね。

ここで出会えてラッキーです。

【Golden Week企画アートシリーズ】

4回目の今日はドノバンの“ONE″です。

これはおなじみの作品

“Touch of Heaven”ひとつ前のコマ。

失われた作品でした。

というのは、

当時はデジタルでなくフィルムで写真を撮っていました。

この次のコマはサーファーズジャーナル誌に行き、

表紙作品となって晴れがましく手元に戻ってきたが、

このコマはビラボンのアートディレクターが広告に使い、

その後、行方不明になっていた。

けれど、それから10年の時を経て、

ビラボンから「これNAKIの作品でしょ?」

と突然戻ってきたのです。

そんな裏話がこの写真にはあるのです。

https://www.nakisurfshop.com/SHOP/30262/30628/list.html

友人のOさんから、それはすてきなメールが届きました。

あまりにもすばらしいので、

即掲載とさせていただきました。

波乗りのすばらしさを再確認しました。

Oさん、ありがとうございました!

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こんばんは、毎日楽しく拝読させていただいています。

昨日は、

D先輩の291ムービーコンセプトにやられた一人です。

このことをお伝えしようとメールを綴っていましたら、

「どうして私は海に向かうのか?」

というものが書けました。

なんだか自分の半生記みたいな文章になってしまいましたが、

ここに添付いたします。

サーファー仲間のみなさんにこの気持ちを共有したいので、

よろしればお使いください。

抜粋しても、一部でもどのような形でも結構です。

どうぞよろしくお願いします。

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自分は今年51歳になりました。

海のそばの町で生まれて、

高校のときにバイト仲間とサーフィンを始めましたが、

別にローカルだからとか、

ビジターという隔ては一度もしたこともありません。

ですが、周りの人はそうでない人もいて、

閉口することもしばしばあるので、

これを機に平等化できたらいいと思います。

どうぞみなさん、よろしくお願いします。

サーファー同士、広く大きな心で接して、

ハッピーグライドの輪を拡げていってほしいです。

私はどうしてサーフしているのか考えてみました。

元々はサーフィンブームがあって、

かっこいい、女の子にもてるかも、

そんな理由でした。

それで、実際にやってみると、

まともに波にも乗れなかったのに、

めちゃくちゃ疲れてしまったことをおぼえています。

私は当時テニスをやっていたので、

運動能力と体力はそこそこ自信がありましたので、

それがあんなに疲れるということに驚きました。

しかもサーフィンをしているときは、

夢中だからか、

または負担が少ないからか疲れている感じがしないのです。

しかし上がってくると

じつはとても疲れていることを実感するのです。

テニスとはまったく違う筋肉を

使っているのだと気がつきました。

パドリングの際にグラグラするので、

たぶん体幹に効くだろうということと、

絶えず体を動かし続ける有酸素運動なので、

心肺機能が強くなると気がつきました。

サーフィンがおもしろいのは、

たとえスープでも乗っていくと、

他の何にも代えられないほどのスリルがあります。

最初は上手く立てなくて、

ほとんどが転んで波に巻かれてしまったのですが、

それが怖いときもありますし、

逆に楽しいときもありました。

人間普通に生きていたら、

あんな格好で海の中を転がっていくことはありません。

それまで海では泳げなかったのですが、

今では何も問題なく何キロも泳げるようになりました。

サーフィンの利点は、胸と背中の筋肉が付く。

体のバランスが良くなる。

日焼けができる。

食べものがよりおいしく感じられる。

より上手にサーフィンしたいので、

体に悪いことはしたくなくなりました。

酒は控えめに、夜は早く寝て、

食事も体に良いものを摂取するようになりました。

知り合いのお医者さんに聞いてみたのですが、

サーフィンは血流改善となり、

内分泌系機能を好転させ、

心因性の消化不良などにも効果があるそうです。

毛細血管まで血流が良くなり美肌効果があって、

さらには脳機能にもとても良いそうです。

波に乗る効能は計り知れないです。

そして男性女性問わずプロサーファーたちは、

すらりとしていて、美しい筋肉で、

みなさん若々しい肉体と笑顔を持っているように見えます。

不肖、私もサーフィンをしていない同年代の人とくらべて、

10才以上も若く見られます。

残念ながら、思っていたほど女性にモテはしなかったのですが、

波に楽しく乗っているだけで健康と若さを手に入れることができて、

人生がとても楽しくなったし、

なんだか永遠に死なないような気分さえしてきました。

まだ話が長くなってしまうのですが、

もう少し書かせてください。

私の友人にCさんという人がいて、

3年前のゴールデンウイークのときに

「サーフィンをやってみたい」と言うので、

ご一緒して道具とか波の場所を手ほどきしました。

Cさんが言っていたのは、

それまでは運動が苦手で、何もうまくできた試しはなく、

いつの間にかスポーツを見ることすらしなくなっていたそうです。

でも、健康診断の際に体を動かすようにと医者に言われ、

ジョギング、ウオーキング、水泳と試していたそうですが、

単調でどうも長続きしなさそうな予感がしたそうです。

こうなったらダメ元で、

若い頃の夢だったサーファーになれたらと思い、

私に声をかけてくれたのだそうです。

今ではCさん50歳、私は51歳です。

まるで子供の頃の友だち同士のように毎日連絡を取りあって、

波のこと、ボードのこと、サーフトリップの計画を練ったり

サーフィンを始める前よりずっと仲がよくなり

家族ぐるみのつきあいをする、大切な友人になりました。

(これもサーフィンのすばらしいところですね)

さてここで飽きっぽい私が、

なぜここまで飽きずに35年間もサーフィンを続けているのか、

この機会に考えてみることにしました。

古来から人が海に出ていくためには、

泳ぐか船を使うかだと思うのですが、

サーフィンは舟系だと思います。

通常舟を出すというと、それは大変なことで、

小脇に抱えて砂浜に降りられるものではありませんが、

サーフボードがあれば、

ほぼどの海にもアクセスできるところがユニークだと思います。

サーフボードを使って沖に出て、陸を振り返って見ますと、

今まで岸側にいてあくせく生きていたことから解放され、

海側から岸世界を見ることが簡単にできます。

特に波の大きい日は、

岸が遠くに、そして広く見えますので、

自分がずいぶんと遠くに来たという不思議な気持ちになります。

大げさに言いますと、

宇宙飛行士が宇宙から地球を見ているような気分です。

さらにサーフィンしていると風の動きだとか、波の小さな凸凹、

水温による季節の変化、海流のこと、波の下の地形の違い、

太陽の位置、夕日や朝日の美しさ、

潮の干満から知る月の満ち欠け、魚や海洋生物との遭遇、

そんな海の息吹のようなものを感じることができます。

屋内にいる時と違い、肉体の感覚はいやでも鋭敏になります。

他のスポーツではこうはいきません。

それと、ウエットスーツを着るだけで別世界に飛び込めます。

ジッパーを閉めたら、見慣れた風景が別なものに見えてきます。

スポーツは総じて非日常的なものですが、

大方のそれはプールやコートやグラウンドに行かなかればなりませんし、

相手や仲間を必要としますが、

サーフィンは自分だけでできます。

私は自分にとってのホームブレイクというのがあって、

そこで主にサーフィンしています。

けれど、「波はいつも違う」という話がありますが、

それは本当で、波の大きさ、うねりの向き、

うねりの発生の仕方、風、潮の流れだったり、

さらに潮の満ち干き、地形の変化などから、

とても複雑なかけ算があって、

その結果、その時の波が現れるので、

いつだって違う波がそこにあります。

毎分4~10本もやって来る波。

その中から自分の好きな波を選び、

波の一番良い位置から漕ぎ出して、

ボードが波の中に滑り出した瞬間は

いつも興奮で震えてしまうほどです。

このホームブレイクに加えて、たまに他の土地に行くのも楽しいものです。

他の土地の食べもの、文化、スタイル、

そしてそれぞれの特色ある波に乗って、

切手のアルバムではありませんが、

それらの波を心のアルバムに綴じ込めていっています。

さらに先日のD先輩のジャワの旅記ではありませんが、

波に引きよせられて行った土地、

その食べ物や名所旧跡なども味わえるという付録もあります。

私が最初に波に乗ったころは、

背丈の3倍ある波に乗ることなどは、

信じられないことでした。

けれど、年月が経ってくると、

3倍あっても乗れる波、

そうでない波ということがわかってくるものですね。

ビーチの流れがあって、

強く炸裂しているブレイクしている場所だと、2倍の高さでも無理です。

しかしリーフやポイントブレイクで横にチャンネルがあれば、

最初はショルダーの背丈ちょいくらいから、

そしてだんだんとピークに近づいていけばいいのです。

考えてみれば、

どんなに長くても20秒くらい波に沈められるだけです。

平静でいられさえすれば、

怖がりの私でも大きな波に乗るのが可能でした。

壁を乗り越えてしまえば、それはもはや壁ではありません。

大波に乗ったことを自慢しているわけではありません。

サーフィンをするようになって、

私は仕事でも人間関係でも、

限界という壁を心の中に作らないようになりました。

波から教わったことは

私の人生をより良いものにしてくれたと思っています。

サーフィンに感謝です。

他のサーファーの皆さんともこの想いを共有したいと

偉そうに長々と書いてしまいました。すみません。

サーファー同士で尊敬しあい、ニコリンサーフをしつつ

夢を高めあっていけたらいいなと思っています。

Cさんとは後30年は波に乗るぞ~と意気込んでいますので、

どこかでお会いできましたら幸いです。

長くなってしまいましたが、

ここにみなさんのご多幸をお祈りして筆をおかせていただきます。

平成25年 福春


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