新品・中古サーフボード販売、カスタムオーダー、ウェットスーツ、サーフィン用品など。NAKISURFは、プロサーファー、フォトグラファー、サーフライターで知られるNAKIのコンセプトサーフショップです。

naki's blog

2014年COLEが今なお究極を求めていることについて_デールのスカイショット_完璧なセッション@グラブルズ_(3505文字)

こんにちは、

関東地方は積雪だそうですね。

春に向けて季節は進んでいるようです。

先ほどノースハワイの写真ファイルをバックアップしていたら、

手つかずのフォルダーを発見し、いくつかの作品を得た。

201401_Inaris_7376

これがその一枚。

朝陽のふくよかさ、ノースハワイの美しさ、

そしてイナリーズ波の重さが表現できている気がします。

波写真は大好きなので、

こういうものを自分で撮ることができる、

そしてここにいた幸せを感じていました。

これからしっかりとCOLEサーフボードの話をします。

なぜならば、

今日はオーバーヘッドのグラブルズで、

COLEのカーブボールに乗って、

まるで夢のような完璧なセッションを得たからです。

そして、コールとの出会いから、

自分がサーフィングを始めたときまで記憶は鮮明に蘇り、

そしてそれがたっぷりとあふれてきたのです。

それでは、書き始めます。

1980年になりたての頃、

私はサーフボードで、波に初めて乗った。

確かその頃はロングボードというものはあまり見ず、

「ほぼ全員がショートボード」

という時代だったのだろうか、

誰もがショートで、

そのチョイスもショートボードしかしなかった。

これについて、

アメリカではどうだったのかを確認したかったので、

ハービー・フレッチャーにインタビューしたときに聞いみると、

「あの頃はな、みんながショートボードに乗りはじめたんだ。

あのドナルドでさえだぜ。

ファー!それならオレはロングにこだわるぜ。

しかもロックンロール系で激しいのでな。

そんなことを決心した時代だったね」

こんな答えが返ってきたのを思い出した。

ドナルドとは、

故ドナルド・タカヤマのことで、

ハービーたちは創成というか、

サーフィング時代の膨張というか始まりを見てきたのですね。

そのハービーの一万字越えのインタビューは、

こちらのリンクからどうぞ↓

https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/42772

Thrill is Back. Life is Surfing._ハービー・フレッチャー2012

昔のサンクレメンテ写真を探すと、

デルマー通りから手前がオラビスタ、

そしてエルカミノ通りを見上げているものを発見しました。

山の上には一軒の家もない。

今度この位置から同じように写真を撮ってきますね。

old_san_clemente

車が詳しい人ならこの年を推定できるのでしょうが、

私はそこまで詳しくないのですが、

銀行のロゴやお店からきっと1960年代と推測してみました。

ハービーは、

こんなゆるやかな時代からアバンギャルドを貫き通し、

『そして今なお輝き続けている大師範』

だということに感動させられてしまった。

話を戻すと、

私が波に乗り始めて

ーーその1980年代からずっとショートボードに乗ってきた。

ちょっと前に

『フィッシュデザインから派生したミニボードブーム』

が自分にやってきて、

ごく最近にロングやミッドレングスにも乗るようになり、

先日「ショートボードの究極」

という触れ込みのライトニングキッカーに乗ったら、

その扱いやすさ、速さ、激しさに驚かされた。

その動画はここにあります。

http://youtu.be/lkebfn42ZLY

そして、

初めてコールボードに乗ったときのことを思い出していた。

1996年のことであります。

いつもマジックボードというものを探していた。

そのマジックボードが見つかると、

またさらにその後継を探していた。

当時はシェイプデザインコンピューターも、

マシンカットという概念もないから、

全てがハンドシェイプだった。

テンプレットでアウトラインを描いて、

ノコギリでクラークフォームを切りだし、

それからプレーナー(電気カンナ)で剥くように削っていた。

削りすぎないようにキャリパーという厚みの計測ハサミと、

テープメジャー、

そしてルーラーと呼ばれる金定規が頼りだった時代。

その中からすばらしいシェイパーは、

ことごとくマジックボードを誕生させて、

そうでないシェイパーは、

マジックボードの現れる日を祈ってブランクスと格闘していたのだろう。

さて、

私にとって、

コールのマジックボードと出会うことは突然始まった。

彼への最初のオーダーボード。

今では考えもつかないが、

私は1990年代にPSAA(現在はASP/USA)

というアメリカプロサーフツアーがあって、

それに参戦していたときに知り合ったジョー・マクナリティ、

そしてディノ・アンディーノ(コロヘのお父さん)たちが口を揃えて、

「世界一のショートボードを削るのがいる。

彼はちょうどサンクレメンテに戻ってきた。

一度でいいから彼のボードに乗ってみろ」

そんな案内と賛辞があって、

彼らの計らいで5’10″をオーダーした。

今思うと、それは現在で言うHPSだったのに違いなく、

スキップ・フライではないが、

かなりの時間が経ってから完成して、

ありがたく受け取り、

ボードキャリア付きの自転車でトレッスルズまで降りていった。

アッパートレッスルズの長い斜面の奧からそのボードに乗ると、

その比類ない速さと、切り返しの愉快さに驚かされた。

伸びるターン、その足へくっついてくる接着力は、

永遠に感じられるほどの熱いセッションだった。

「もう1本、もう1本」

と中毒的になって上がれなくなり、

予定よりも3時間も遅れて上がってきたときには、

干潮の玉石を踏みながら、

これこそがマジックボードの中のマジックボードだと感じ、

駐車場からコールのシェイプルームに直行し、

その興奮と感動を伝えに行ったことがまざまざと思い出された。

COLE_3069

あれから20年近くの時が経つけど、

コール自身は何も変わることがなく、

ただサーフボードシェイプの究極にたどりつこうとしている。

COLE_3036

「ライアン・イングルやタイラー・ウオーレン

という新進気鋭のシェイパーが出てきていますが、

それについてはどう思いますか?」

という質問を浴びせてみると、

「サーフボードで大事なのはフォルムとデザイン、

そしてラインなんだ。

才能ある彼らから学ばせてもらっているけど、

自分にできるのはこのラインをさらに突き詰めていけば、

きっと究極があるだろうし、

そこに行き着いたらまたさらなる高みもあるだろう。

とにかく体が動かなくなるまでシェイプし続けて、

ひとつの究極を得たい」

そんな熱い言葉が返ってきた。

それを聞いたとき、

自分が閃いたり、煌めいたり、

または昂揚するのかと思っていたけど、

そうではなく、

ただ淡麗な満足感が足の下からやってきて、

全てを満たしていくような感覚となっていった。

コールシェイプが今なお完成を求めていること、

そして今が2014年ということを確認すると、

小さな電撃を受けたようになり、

期待と決心、そして希望にあふれてきた。

たかがサーフィング、

つまり波に乗ることだけど、

真剣にやってみると、

サーフボードには深い世界があります。

COLE_0922

A man who works with his hands is a laborer;

a man who works with his hands and his brain is a craftsman;

but a man who works with his hands and his brain and his heart is an artist.

IMG_4334

上記した本日のソルトクリークに行くと、

孤高の写真家デール・コベティッチがいた。

デールはめったに外に出ないので、

こんなところで会えたのは、

天才マックスが呼び込んだ偶然だろうか。

IMG_4337

彼は自作RCヘリコプターを飛ばして、

ソルトクリークとグラブルズを空撮したのだそうで、

これがその彼の作品です。

s creek

photo by Dale Kobetich 2014

グラブルズは右側に見えます。

今日吹いていた南東の風はサンクレメンテだと横風ノーグッド。

ソルトクリークならほぼオフショアというコンディション。

この風の強さと向きが、

ノースハワイのトレードウインドみたいで、

かなりうれしいセットアップとなった。

昨日の夕方から届き始めた新しいうねりが幾方向から入ってきて、

いくつもの美しいピークを作っていた。

s creek

photo by Dale Kobetich 2014

そして終了してみると、

これまでにないほど完璧なセッションで、

無傷も無傷、

どこにも傷も、

ワイプアウトもないセッションでした。

マックス、ロボ、そしてアンディにありがとう。

そしてこれはみんなのセッションでもありました。

201401_Inaris_alt_6081

バレルこそING、

つまりサーフィングの究極だと思います。

全てにありがとうと感じている寒い夜です。

さあ、今日はお酒を飲むとしよう。