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naki's blog

【正月号】サーフ自由主義_(1865文字)

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naki

サーフ自由主義

 

カリフォルニアのメジャーブレイクを見渡すと、多種多様なボードデザインが見られ、以前よくあったロングボード禁止等の制限がなくなっているように思える。

タイラー・ウオーレンやアレックス・ノスト、ジャレッド・メルというニューブリードたちをはじめとし、新種アンディ・ニエブレスやコーリー・コーラピント(17歳)までもがミニボード、フィンレスからログボードまで、優雅かつ個性的にサーフしている。

彼らのことを総称してオルタナティヴサーファーと呼ぶが、なぜこんなムーブメントが発生したのか?(オルタナティヴ=Alternative, 形容詞。違う選択、代わりの、異質な、型にはまらない)まずはサーフィングの歴史が長い、ということが挙げられる。さらには個人主義が確立していて、万人と同一ではないということと、さまざまなスタイルで波を楽しもう、という思想がこのオルタナティヴサーフの源流となっているようだ。

20年ほど昔、トム・カレンがさまざまなサーフボードで多様なサーフィングを見せた。そんな思想を受け継いだジョエル・チューダーがデヴィッド・ヌイーヴァに傾倒し、歴史的ボードの大きさを拡大させ(10フィート以上のログボードまで拡げた)、クラッシックなトリムやノーズライドをリバイバルさせた。そしてその種子がその次世代=チルドレンを育てたのが、第一次オルタナティヴサーフ時代だろう。

そして上記したタイラーやアレックスたちを擁する第二次に突入している。一次と二次の隔たりは少ないのだが、あえて分けるとするのならボード選択の理念が「波に合わせて」となっていることだろうか。彼らは、フィッシュやミニボードを走らせる波ではそれらに乗り、バレル系ならミッドレングスやガン、緩い波だとログと使い分けていて、第一次の多くのサーファーのように「どんな波でもロングボードで乗る」ということではなくなっている。現在サーフ業界は、オルタナティヴブランドの台頭が著しく、逆にそれがメインストリーム(主流)になっていくかのような勢いがある。

“COOL”を究極とし、穏和を好むこのムーブメント。そして今日、サーファーは誰もが個人の自由な意思に基づき、自らの判断で、ボードデザインやスタイルを自由に選んでいる。これが『サーフ自由主義』の始まりである。

『サーフ自由主義』は、“単一のボードでそれぞれの波を乗る”ということではなく、好きなボードでさまざまな波に乗る、ということを定義としている。歴史的な板、美しい板はもちろんのこと、友人のボード、どこかで見つけたボロやワルボード、さらには発掘ボードや変わり板を持ち出して、それぞれのサーフブレイクに仲良く集う。そこには競争はなく、協奏という思想のもと、シェアライドをしてお互いを称え合い、個々のファインラインをそれぞれのサーフボードによって主張している。そんな広大さを持つ解釈が『サーフ自由主義』の真骨頂だ。波に乗る多様さのすばらしさに加え、より多くの人が波を分かち合おうという考えに基づいている。これによってコンテストでのルールと、テリトリーを主張するハイパフォーマンスや、旧式のサーフィングから脱することができるだろう。

現代において、個人の自由で独立した選択に敬意を表し、ボードの個体差における隷属(れいぞく。この場合は浮力による支配を指している。またはその反対)を防ぐことも必要だろう。

「波乗りは楽しい」とされてから半世紀以上が過ぎ、サーフ人口は膨張し続けている。乗ることができるささやかな波の数と、その愛好者の数をくまなく合致させるためには、このサーフ自由主義者たちのCOOLで寛大な心が必要となってくる。

たった1本の波で人生は変わる。このオルタナ属のリベラリズム・サーファーたちは、常に究極の滑走を目指し、永遠に続く精神世界への架け橋を探している。

サーフ世界を拡張するこの原理ムーブメントはすでに始まっている。波乗りの内面から自らを解放し、しん(真、心、芯、新、深、神、進)の自由と、至福を獲得する日はすぐそこにある。■(了、2015_03_01)

初出自Blue. No.52 20153月号

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オーシャンサイドからエンシニータス、サンオノフレ経由でクリスチャン・ワック家に行き、グラブルズとBlue誌と抱井さん_(1959文字)

それではまた明日もここで!

Have a great new year day!!!