波乗京(サンクレメンテ)を跋扈する魑魅魍魎(プロサーファー&妖怪サーファー)に剣、
つまりサーフボードを供給し続ける稀代の刀工(とうこう)コール・シムラー。
その彼が削った6’4″シングルフィン。
Cole’s 6’4″ Single round pin
Z1 Surfsuits Black and White 3/2mm zipless
さて、
ハッピーサーフの聖地サンオノフレに美しく、
ちょっぴり硬派なハリケーンからのうねりが届き始めた。
サーフ業界にいる私には、
やれこういうときはドヒニが良いだとか、
ソルトクリーク、いやニューポートポイントだという声が聞こえてきたが、
例によってーー『フォードア』に行くと、大潮での満潮時であった。
海から上がってきた友人たちは口を揃えて
「さっきまでは最高だったのに」
そんなことを言う。
が、これは逆に空いているのだから幸運であると、
ウネクネ式に喜び、勇んでパドルアウトすると、
それは美しいAフレームで、
アメリカお嬢さまのような強さを持ち合わせた波がやってきた。
テイクオフからの角度そのまま、
バックウオッシュで跳ねるような波壁に斬るようにレイルを押しつけていると、
計りしれないほど奥深き、つまり幽玄なる滑走があった。
その直後に迷妄が去った真理を得た。
人の世を、人ならぬもの(つまり波)に乗り、
ときめき続けた胸の、
奥深くまで入り込んできた歓喜の日。
メインストリームサーフィングではなく、
少数派のオルタナティヴで、
さらにはその中に派生したウナクネ流で生きる喜びを再び知った日。
その独創的なウナクネ観は、自然と一緒に私たちを魅了し続ける。
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