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naki's blog

【平成天皇誕生日特大号】日本書紀黒白猫_(4103文字)

Catch Surf Odysea® Skipper Fish x JOB Pro 6’6″

VEKTOR Fins

Photo by Brian Miller

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奇妙な夢を見たのは、
八咫烏(やたがらす)について調べていたからだろうか。
もしかすると、それは全ての伏線だった。

そんなプロットの小説を書きはじめた。

サーフにまつわるテーマではないが、

こうして太古から変わらない海で遊び、

泳ぎ、潜り、ふと気づくと、

海の上にあった

「息吹」

「賛」

みたいな種子を得ることがある。

今朝はまさにその原感覚だった。

昨日までのブログで、

四国のブルードラゴンから、

グリーンドラゴンとなり、

そして江島神社ドラゴンと一昨日着地した。

すでに鎌倉比企谷(ひきがやつ)の伝説に入り始めていて、

それは奄美由来であり、

ノースハワイの記憶を刻んだ鎌倉中村家の”引きよせ”みたいなものだが、

人生とは不思議であります。

平成最後の天皇誕生日とやっていると崩御したみたいなので、

そのまま進みます。

少し前に自分の中で結実したものがあり、

それはBlue誌次号にその心象の顛末は記録した。

Catch Surf Odysea® Skipper Fish x JOB Pro 6’6″ Special Fins

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閑話。

ミラーがまだいたときの奄美大島。

私たちは時差ぼけでおよそ2時くらいから目を覚ます日々だった。

カリフォルニアから来ると、

たいてい深夜1〜2時に目を覚ましてしまう。

それから睡ることは困難に等しいほど目が冴える。

グリーンヒルに泊まっており、

原稿の締め切りが二つあった。

よって、目が覚めたのを幸いと、

そよそよと階段を降りていき、

大食堂に腰掛けてクビキ茶を飲みながら作業していると、

夜明け頃になってミラーが部屋から降りてきた。

きっと彼は自部屋で写真の整理でもしていたのだろう。

朝焼け海写真を撮ろうということになり、

外に出ると、

前の小径ではネコたちが朝の集会をしていた。

グリーンヒルは手広の丘の頂上付近、稜線沿いにある。

そんな地形もあって、

人はもちろん犬猫も集まっている。

豊かな食物資源がそう連想させるのか、

「イヌネコならあそこ」

そんな文体で猫や犬がいつのまにかやってくる。

直近では、

「ペットホテルに預けられたまま連絡が付かなくなった」

という小型犬がやってきた。

やさしい人たちがここに集まっていて、

犬もやさしく、ネコもおとなしい。

マヤというネコがここにはいて、

それは代々マヤ(奄美語でネコという意)という名前を襲名して、

マヤ三代目全盛の頃に三毛ネコのミーちゃんが北方からやってきたという。

マヤは細身顔だったので、

奄美のネコは古代猫系だったと思っていたらそうではなかったらしい。

この三毛ネコはまるまると太って、

よく食べ、いつもどこかにゴロゴロと転がっていた。

すると、太っていたのではなく、

子猫をたくさん産んだのでお母さんだったと知った。

そして奈々ちゃんが、その内の一匹、黒白模様にパンダと名付けた。

奈々ちゃんは緑くんの妹であり、

大智くんのお母さんであり、

牧野家の妻であり、

水泳の鹿児島県高校記録を持ちつつ、

グリーンヒル・カフェ&サーフを切り盛りしている人です。

カメラを部屋まで撮りに行ったミラーを待ち、

ややあって浜まで降りていくと、

このパンダが私たちの後を付いてきた。

ネコが人にくっついてくるなんて珍しい。

この黒白ネコは、

パンダというよりはマダラシャチのような模様で、

口の横にホクロまで付いている。

そのシャチネコはモコモコと歩きながら、

緩い下り坂を右に折れ、

てくてくトコトコ

付いて来ます。

まだ夜を残す木陰の下。

落ち葉を踏み踏み、

ガサガサかさかさ

まだ付いてくる。

木陰の向こうから大きな家が右手に見えてきた。

家を覆うような大木の根が、

コンクリートで固められた地面をふくらませている。

そのから入る陽模様にしばし見とれた。

奄美大島に朝がやってきた。

パンダは道から逸れて、

暖かそうなところに行った。

ネコは涼しいところ、

暖かいところの判別に長けている。

海に行こう。

「パンダ行くよ〜」

自分の名前に反応するのか、

「パ・」と聞こえるやいなや、

尻尾をまっすぐ持ち上げる。

こちらに向かって歩き始め、

人が歩けるだけの幅の小径に戻って、

朝露で濡れた道路を音もなく歩いている。

私が足を止めると、パンダも止まる。

止まったついでに左脚を伸ばし、

その内側をザリザリとなめている。

パンダは黒いネコに見えるが、

忠犬ハチ公の生まれ変わりかもしれない。

そんなことが閃きました。

実際に犬が猫に輪廻転生したとはあまり聞きませんが、

神話、例えば『日本書紀』には、

コマイヌ、サル、ヘビ、イノシシ、

そして冒頭に書いたヤタガラスが主役級を担い、

ツル、オオカミ、シカ、カメ、

ウサギとネズミまでもが出てくるのですが、

ネコは出てきません。

調べてみると、

『今昔物語』で初めてネコの記述があります。

唐から偉大な文献群を持ち帰ってきた吉備真備。

彼と一緒に日本にやってきて、

種子島に漂着したのが九尾の妖狐とされていて、

「そのキツネが聖武天皇の官に取り憑いていた」

という話を読み、

崇神天皇紀や、

在位60年で崩御、99年で崩御という項を見て、

その数字がほぼ伝説に近く感じられるのは、

日本書紀という文献のみに頼っているからだろう。

ちなみにこの日本書紀は養老4年、

皇紀1380年に書かれたもの。

西暦720年のことだから、

今から1298年も前のことです。

ちょうどその100年前、

『天皇記』が聖徳太子らによって編纂され、

日本ではそれが最も古い正史だった。

だが、それら書物は乙巳の変で焼けてしまった。

蘇我蝦夷等誅されむとして悉に天皇記・国記・珍宝を焼く

前出した『日本書紀』によると、

「皇極4年6月条に蘇我馬子が焼いた」と書いてある。

よってこの日本書紀が現在日本の正史となっている。

そこまで調べた。

とにかく唐の長安から種子島に漂着した妖狐が人に取り憑いたように、

ハチ公の生まれ変わりが日本のあちこちにいって、

奄美までやってきてパンダに入ったという仮説ももしかすると、

もしかしているかもしれません。(笑)

坂を下ります。

右カーブで下っていきます。

まだ濡れているのは日陰。

けれど、陽が当たっているところはもう乾いている。

最後の坂道は総日向。

脚からこの陽を感じているパンダの気持ちとなって歩く。

やがて小径は、

小型車がようやくすれ違える幅の道路と合流します。

山側から車が来ました。

坂の下からすでに飛ばしています。

「あ」

そう思った瞬間、かなりの速度で私たちの前を通り抜け、

怖かったのかパンダはいなくなってしまった。

「わ」ナンバーでした。

それにしても速すぎる。

きっと子どもが遊んでいても気づかないほど速い速度だった。

これだからヨソモノサーファーは嫌われてしまうのです。

これはヨソモノサーファー全員に言っているのではなく、

こうしてたったひとりの「わ」ナンバーが、

または他県ナンバーがやってきて、

普段の生活のリズム、

さらには海沿いの豊かで美しい気持ちを壊すからでありましょう。

よって、やがて、そして確実に観光客は嫌われていくのであります。

100人の観光客がいたらきっと99人が「分かっている人」でしょう。

けれど、1人がその「分かっていない」から
「他県ナンバー来るな」
「ローカルオンリー」
「BBQ禁止」

そんな看板への発端となることがこういうことだと、

そんなことをテラさんのNALU誌に書きたくなった。

けれど、

私たちに怖い思いをさせたレンタカーサーファーは、

他のサーファーに大声で「おつかれさまです!」

などと言いながら、

いち早く波をチェックしているのが下に見えた。

むむむ。

パンダは消えてしまった。

でも、

「もしかしたら」そう思って『パンダ!』と呼ぶと、

待ち構えていたかのように

ごそごそという風体で茂みの中から現れた。

さすがである。

そして勇敢でもあります。

「すごい!」

そうほめたらうれしそうに尻尾を立てている。

車道に出た私たちはパンダを連れて、

てくてくトコトコと駐車場を目指し、

そして駐車場の東側の土手を伝って、

海が見えるところまでやってきました。

海が前に見える。

潮騒というか、ちょっぴり騒がしい。

猫はこういう水場が苦手でしょうから、

もしかしたら怖がってはいないだろうか?

そう思って見てみると、

パンダは「グニャァ」と言いながら寝転んでしまった。

あれあれ、

それから小川を越えて波打ち際まで付いてきた。

パンダはネコ界ではもはや伝説でしょう。

波を見終え、

越えた小川を戻るころに

夜明けがやってきました。

ミラーのところでまたのんびりして、

ナッキーのところにやってきて、

夜明けを一緒に見ているパンダ。

さあ、そろそろ帰りますか。

波に乗る時間ですと、

パンダを呼んで一緒に帰ると、

中間地点の小径にやってきた白いイヌ二匹。

パンダは突然吠えられて、

畑側に逃げていってしまった。

無事に戻って来られるか心配になった。

途中で何度も呼ぶが、往路のように姿を現すことはなかった。

グリーンヒルに戻ると、ネコたちがエサを食べている。

複数のお皿にキャットフードが盛られていて、

棚の天辺にある正方形スペースでは、

パンダのお母さんのミーちゃんがパリバリと食べていた。

もちろんパンダはいないし、お皿は空いていない。

「パンダごめん。朝ご飯食べられなかったね」

空腹のパンダの気持ちになったその瞬間、

「グニャァ」と声を出して、パンダが帰ってきた。

「おおっパンダ!」

すると、

彼は黒い尻尾をぴこりと立て、

自分以外のネコが朝食に集中しているのを見るや、

ゴロンと横になり、右脚をなめている。

「食に対して気を立てないのが幸せ」

パンダから教訓を得た。

波乗り支度をしてから戻ってくると、

皿は全て空となっていて、

ミーちゃんがいた最上位置を見ると、

パンダはそのちょっぴりの食べ残しをパリポリと食べていた。

(おわり)

美しい海。

ラカ法王の笑顔。

奄美のご飯。

そして鎌倉。

Life is good.

螺旋宇宙のはじまり。

Be happiness.

Happy Surfing!!