こんにちは、
土曜日をいかがお過ごしですか?
一番ブイは、「14ft@15sec.」とそのサイズを下げた。
反射的に感じたのは、今日はイナリーズだろうということ。
うねりの入射角が285度から300度と、北寄りになった。
これが何を意味しているかと言いますと、
イナリーズにより角度がついたうねりが入ってくるのです。
しかも波間隔が15秒と、
いまだにモンスター級なうねり。
これならイナリーズが大とまでいかなくても爆発しているはずだ。
「6時にノースショアを出発します」
という早川さんに
「ラカ法王のご加護を」
とお伝えした。
到着すると、
オフショア、
充分すぎるうねり、
ミドルタイド(多すぎず、少なすぎない潮)、
快晴と、
パーフェクト・イナリーズが登場していた。
「やっぱりイナリーズですよね。
ものすっごいのがブレイクしているんですね?」
と呆れたように感想を漏らす早川さん。
「あれなんか喰らったら、
背骨を骨折するんじゃないですか?」
と評する彼に
「そうなんです。かなり強烈なんですけど、
写真だと伝わりづらいですよね」
「本当ですね。
いつもブログでは見ていましたが、
実際にこうして生で見てみると、スピードというか厚みというか、
なんだか全てが嘘みたいにものすごいですよね?」
「平面(写真)で見ていると、
“喰らっても平気だ”とか思いがちですが、
実際に波を目の当たりすると、
どんなことをしてもインパクトの下にはいたくないですよ」
「はい、あれじゃあばらばらになっちゃいますね」
といつもの会話をしながらサビタは上流に向かった。
到着し、早川さんは6’8″のピストルで、俺は5’0″のBD5 。
「しかし、笑っちゃいけないと思うのですが、
こんな波の日にそのボードに乗るのかと思うと、
ついついにやけてしまいます」
「そうですか?」
「はい、これで入ったらどうなってしまうのだろうか?
と思うとつい笑っちゃうんですよね。失礼で、すいません」
そんな会話をしながら、
さらに上流に行ってからパドルアウトした。
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昨夜読んでいた本が、
大藪春彦作の『蘇える金狼』。
コアで意気込んでしまう文章というのかな、
ブルース・リーの映画の後に
「アチャー!」
とやっちゃうのと同じで、
今日の波を、そのハードボイルド文体で書きたくなった。
なので失礼して、
ここからはその文体で表現してみます。
題名もペンネームも付けちゃいました。(笑)
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『滑降の挑戦者』
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作:大鯖春彦
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特徴的なサーフボード、
ポリエスター製のBD5は、
魚のような5フィンボンザーフィンの鰭を海底に向けて、
イナリーズの沖に浮いていた。
長短、
そして薄く入ったボンザーチャンネルの溝が官能的であり、
ありとあらゆる波を睨むように精悍だ。
水平線を隠すようにしてセットが現れた。
北西300度で入射してきたその怪物は、
目の前で盛り上がるようにその姿を変えた。
船木は、その波に目を凝らし、
位置を確かめながらBD5を岸側に向けた。
すると、右側から熱光に感じられる太陽を受け、
視界は一瞬何も見えなくなった。
左右、左、右と全力で、
リズムよくパドリングを展開していく。
そのパドリングが佳境にさしかかったころで奴が追いついてきた。
こちらを向いた水の壁、
青い海底をより暗く、群青色とさせながら、
そのたっぷりと太った腹をみるみると切り立たせていく。
左側からは轟音を発し、
右側は、遠くまで伸びた奴の腹がたっぷりと伸びていた。
突然、両足を持ち上げられ、
船木はそのパドル速度を失うことなく、
奴の腹に飛び込むように入っていった。
両肩が軋み、
墜落にも似た速度によって何倍もの重力を受けた両足が悲鳴をあげる。
奴の腹は深く湾曲しはじめ、
自身の内部に立ち上がった船木をすっぽり包みこんだ。
奴は「自分のなか」にいられることがじれったいのか、
突然、ぶれるような動きをしたり、
湾曲面を変えていった。
船木は両足を閉じ、そして低くし、
テイル部だけに意識を集中していた。
出口までのプロット。
最短距離を、
そしてたったひとつしかない「路」を探す。
船木は自分の滑走位置とBD5の角度を調節して、
それに満足すると、
右手を落とし、さらに体を小さくした。
戦闘機のように、
信じられないスピード感と倍増した重力が存在していた。
出口付近に垂直近くなった斜面が見える。
船木は、前足にあるアクセルをさらに踏み込むと、
瞬時にBD5 は吠えた。
音という音は消え、
目の前の視界を満たしている奴の腹がさらにへこんでいった。
速度が上がりすぎ、
テイルが浮き上がるのを抑えた瞬間に奴が弾け、
後方から爆発音がした。
後から押されるように霧状の爆風が届く、
霞みかかった内部、
1m先で閉じゆく出口。
断末魔に伸ばされた泡に左肩を叩かれながら船木は、
奴の前に出ていた。
右手を大きく挙げ、征服したことを奴に知らせると、
あれだけ手強かった怪物は白く、小さくなって、
海の上を弱く動いているだけだった。
(いつかに続く)
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昨日すっかり忘れてしまった「標語」だが、
今日は「九死に一生を得た。」
としてみました。
一本、すごいテイクオフとなり、
絶体絶命だったのだが、
髪の毛一枚ほどの薄さでレイルが噛んでくれて、
なぜかメイクしてしまった。
そのときに感じた気持ちです。
とにかく、全てがスリリングな日でした。
結局すごい長い時間をサーフして、
海に入る前にフレちゃんに電話していたので、
その履歴で4時間44分のゾロ目時間をサーフしたと知る。
やはり友人と一緒にサーフは楽しいですね。
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その友人。
ご学友ならぬ、ご波友ですね。
彼にこうしてカメラを向けると、
「だめですだめです。もう少し焼けてからお願いします」
とおっしゃる早川さん。
もう真っ黒に焼けていますよー。
「じゃあ俺が撮りますよ」
とカメラを取り上げられたので、
新しい盟友BD5とパシャリしてもらいました。
波はいつもこうしてサビタの上から撮っているのですが、
それも撮っていただきました。
こんな風に見えるのですね。
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連日の波は日本から届き、
海がつながっていることを実感している。
予想天気図を見ると、
15日頃にまた大寒波となるようで、
そのうねりが入ってくるのが23日。
凍りつくような思いをするのか、
または笑顔でいられるのか。
それまでしっかりと鍛えておきます。
今日もNAKISURFにお越し下さって、
ありがとうございます。
「サタデーナイトフィーバー」
という映画がありましたが、
もうその言葉すら死語になってしまいましたね。
ではまた明日!
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